[発行日:2006.04.05] vol.17 コラム 杉村 光俊氏 「トンボ王国の本質」、第4回森の“聞き書き甲子園”フォーラム報告

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┃     ┃ 株式会社トンボ 環境事業企画室
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★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行日: 2006.4.5  ━★
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こんにちは。株式会社トンボ 環境事業企画室の高橋です。

 只今、私どもの会社は忙しさのピークを迎えています。新一年生のために
昼夜休みなく制服作りに追われる毎日です。それもあと数日の辛抱。10日
前後には入学式の日がやってきます。そのときは街のあちらこちらで新しい
制服を着た生徒達を見かけるようになります。生徒達の嬉しそうな笑顔はこ
の仕事の一番の至福の瞬間でもあります。

 先日、その制服の採寸で高知県四万十市の中村中学・高校に行くことがあ
りました。四万十市中村といえば「トンボ王国」ということで行ってきまし
た。実は私、恥ずかしながらトンボ王国は初めてでして、広大な土地にある
多くの“噂”のトンボ池をみることができただけで感動しました。残念なが
ら、この時期なのでトンボはいませんでしたが、トンボが飛び交う夏休みく
らいに、取材を兼ねて行こうと思っています。

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もくじ 【1】 コラム 杉村 光俊氏 「トンボ王国の本質」
                
    【2】 第4回森の“聞き書き甲子園”フォーラム報告



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    【1】 コラム 杉村 光俊氏 「トンボ王国の本質」
 
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 2002年7月、トンボ王国に四万十川を始めとする世界中の川魚を集め「さか
な館」がオープン。1990年オープンの「四万十とんぼ自然館」を拡張させた
作りになっていて、館の名称も両施設併せて「四万十川学遊館」となりまし
た。言うまでもなく、青息叶息となっていたとんぼ自然館、引いてはトンボ
王国そのものの浮沈をかけての企画。ただ、リニューアルオープン初年度こ
そ4万人近くの入館者に恵まれましたが、すぐに下降線を辿り2005年度(2005
年4月〜2006年3月)は2万5千人に届くかどうかという低迷振りです。

 ここに来て、私達はどうも本質を忘れていたらしいことに気が付きまし
た。確かに、今のトンボ王国にとって、運営に関わるスタッフの給与など少
なからぬ経済力が不可欠です。そのため即経済効果のある、館の経営ばかり
に気をとられ過ぎ、世界最初で種類密度日本一の、いくら「金」を積もうが
誰にも真似できないトンボ保護区のアピールがおろそかになっていたようで
す。

「学遊館」もまた、そんな保護区を守り育てているスタッフが心を込めて作
り上げた施設だということ以上の宣伝はなかったのではないでしょうか。将
来の環境保全を荷う子供達に、トンボやトンボが住める環境に触れ合う楽し
さを知ってもらう、それがトンボ王国の願いだった筈。そこで、このゴール
デンウィークには「子供が喜ぶトンボ王国」をキーワードに、「メダカまつ
り」など本質に立ち帰った活動を再開させるべく準備を始めています。もち
ろんホームページも完全リニューアルです。

       ↓トンボ王国写真↓
http://www.tombow.gr.jp/eco_project/ohkoku/index.htm



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    【2】 第4回森の“聞き書き甲子園”フォーラム報告
        
      〜環境事業企画室 室長 佐野勝彦、大江健一郎〜
 
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 ご存じない方も多いと思いますので、林野庁と文部科学省主催の『森の聞
き書き甲子園』をご紹介します。
 ちなみに、この3月26日(日曜日)東京は両国の『江戸東京博物館』で、そ
の成果発表があり、初めて参加した筆者は大変感激いたしました。

      ↓フォーラム写真↓
http://www.tombow.gr.jp/eco_project/morikiki06/index.htm

■概要

「森の聞き書き甲子園」は、日本全国から選ばれた100人の高校生が、こ
れまた森の名手、名人として認定された100人を訪ね、森の知恵や技術、
名人の考え方や生き方を聞き書きする活動。世界の中でも高いレベルを誇る
日本の林業や木工技術、あるいは循環型農業を可能にしてきた人々の森を大
事にする姿勢が、工業化進展の陰で、短期間のうちに、森に関わる伝統的職
人芸は衰退し、後継者もままならぬ状況となりつつありますが、それは森の
荒廃につながり、森がもたらす恵みがなくなる結果、漁業や農業不振はおろ
か国土の荒廃、人心のすさみに至るとの危機感から始められている事業で
す。

 皆さんも良くご存知のように、かつては有数の森を誇ったギリシャが、繁
栄を謳歌している一方で、森をおろそかにした結果、土壌流亡を招き、パル
テノン神殿など当時は森の木陰に見え隠れしていたものが、今や裸同然の山
に鎮座している有様。森の荒廃は文明の栄枯盛衰を引き起こすほどの問題で
あり、それに若い人の関心を向けようと始められたのが、この『森の聞き書
き甲子園』なのです。

 さて26日のフォーラムでは、その中で、特に優秀なレポートを作成した5
名の高校生と取材対象の名人5組が紹介されました。

■各名人の言葉と所感

【1】名 人:樵(きこり) 高橋清治郎
   聞き手:大友千尋(秋田 角館高校1年)
 高切りを得意とし、神社や仏閣の社木等、大径名木の伐採などを行う。そ
の他、公共機関の電話線や鉄道等、撤去困難な支障木の処置を行っている。
小さいころから森で育ち、本を買うお金もないという少年時代からの名人の
言葉は「森がわたしの学校だった」。

【2】名 人:焼畑農業 椎葉秀行、クニ子
   聞き手:緒方詞織(宮崎 五ヶ瀬中等教育学校4年)
 縄文時代から行われている伝統的な焼畑農業を行う。60年あまりも焼畑
農業一筋で、内外から多くの研究者を受け入れてきた。自然に左右される農
法であるだけに、自然の神に対する感謝と敬意を大切にし、火入れの儀式を
行った際には自然に対する契約と感謝の心を祝詞にして述べていた。

【3】名 人:炭焼き 小瀧寅夫  
   聞き手:橋本広史(栃木 矢板高校2年)
 製炭を生業とする名人。自宅にある窯で毎年高品質の炭を作っている。製
作者としてだけではなく、後進の指導も行っている。名人の顔はところどこ
ろ赤く腫れていた。それは高温に熱せられる窯との格闘の証であり、名人自
身の人生を言葉よりも何よりも、強く表すものであったと見るものに感じさ
せる。

【4】名 人:紙漉き アウテンボーガルト・ロギール
   聞き手:野口あゆみ(高知 幡多農業高校1年)
 故郷オランダで25歳の時に見た「和紙」の魅力にとりつかれ、高知県中
村に住み着く。日本人以外の名人は初。手作業だからこそ表現できる和紙の
質感や光に透かしたときの陰影や表情を語る名人の言葉には、愛情にもにた
感情が感じ取れた。四万十川の清流も、観光などで以前ほどの清水ではなく
なり、和紙を作るための命である水が汚れていることを、そこから切実に掴
み取ることができるのが残念なことだと感じた。

【5】名 人:茅葺き 岡本正志  
   聞き手:山本悠歩(福岡 福岡農業高校2年)
 岡山県の名人。昭和20年から屋根職人として修行を行い独立。多くの文
化財を修復し、平成15年には黄綬褒章を受章している。名人いわく「10
0%の仕事というものは今までない」という言葉が出たが、これは自分への
訓戒という一面もあるが、ひとつには川面や水辺に育つ、茅の質が落ちてき
ているのが大きい。窒素を栄養源として育つ茅にとって、汚れてしまった水
は、育ちすぎてしまい、やわらかく使い物にならない茅となってしまう。茅
の生長から環境を読み解く、深遠で、そして少し悲しいエピソードだった。

      ↓フォーラム写真↓
http://www.tombow.gr.jp/eco_project/morikiki06/index.htm

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┃   □ URL:http://www.tombow.gr.jp/eco_project/

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