[発行日:2006.03.03] vol.16 全国学校ビオトープ・コンクール2005発表会報告 他1件 

★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★
┃ 
┃     QQ     【スクールビオトープ メールマガジン】
┃  ⊂≡⊃‡⊂≡⊃
┃  ⊂≡⊃‡⊂≡⊃        vol.16
┃     ┃
┃     ┃ 株式会社トンボ 環境事業企画室
┃     ┃

★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行日: 2006.3.3 ━★
※文字フォントは、MSゴシックの等幅フォントで最適に表示されます。
※登録・解除は下記のページよりお願い致します。
https://www2.tombow.gr.jp/merumaga/eco.php

◇―――◇―――◇―――◇―――◇―――◇―――◇―――◇―――◇
   もくじ【1】全国学校ビオトープ・コンクール2005発表会報告

     【2】バングラデッシュでジャージ活躍!
◇―――◇―――◇―――◇―――◇―――◇―――◇―――◇―――◇

こんにちは。株式会社トンボ 環境事業企画室の高橋です。
寒冬と言われたこの冬も3月に突入し、陽気はすっかり春になってきまし
た。今年の桜の開花は例年より早くなるとの予想。たしかに桜の木々を見る
と枝がピンク色になっていました。
 
  今回は弊社も協賛させていただいている「全国学校ビオトープコンクール
2005発表会」のご報告です。発表を聞きますと、ビオトープ活動をして
いる子ども達はしていない同年代と比べると精神的にずいぶん大人になって
いることを感じます。
  自然保護が大きな目的ですが現代の子どもたちに足りない部分、自分で考
え行動し学び取る能力が開発されており、人間教育としても寄与しているこ
とがよく分かります。
  今回の応募校数は全国で1000校を超えるそうです。多くの子どもたちが育
ってきていることがわかります。今後もこういった子どもたちが増えていく
ことを期待すると共に我々はその環境づくりのお手伝いが出来ればと考えま
す。


┌────────────────────────────────
│ 【1】全国学校ビオトープ・コンクール2005発表会
│         ―広い世界が見えてきた―
└────────────────────────────────

日時:2006年2月11日(建国記念の日)10時〜17時
場所:国立オリンピック記念青少年総合センター カルチャー棟 大ホール

今回で第4回目を迎えるコンクール。今年はこのコンクールの開催趣旨に賛
同し、秋篠宮同妃両殿下が御臨席されました。

【開会】
<開会のご挨拶>
八千草 薫 ((財)日本生態系協会 理事)
  この全国学校ビオトープ・コンクールをきっかけに多くの皆様がビオトー
プのすばらしさを考えていただければよいと考えます。

<来賓のご挨拶>
小池 百合子(環境大臣)
  学校ビオトープが新しく入学する生徒に引き継がれ活動が広がると、町中
に「水」と「緑」が見えてくる。ビオトープが国土全体の自然のネットワー
ク化に繋がる。これからも息の長い取り組みを期待。

吉野 正芳(文部科学大臣政務官)
  皆さんがやっているビオトープは花も昆虫もみんな兄弟だということを地
域の方々にも広めていってほしい。

北側 一雄(国土交通大臣(代読: 柴田高博 国土交通省 都市・・ぢ地域整備局
長))
  学校ビオトープは学校のみならず幅広い世代や地域全体の水と緑のネット
ワークとなる。わが国の目指す持続可能な発展を支える大きな力となる。今
年度より国土交通大臣賞を創設。

ヘンリク・・ぢシュミーゲロー(駐日ドイツ連邦共和国大使)
  ドイツでも日本と同じように多くの子どもたちが学校ビオトープに関わっ
ています。ビオトープを通じて環境のことをよく考え、そして自然との共生
の必要性について知る良いきっかけになっています。

【上位の賞のノミネート校による事例発表】

【1】松本市立 清水小学校(長野県)
学校ビオトープ「せせらぎ」は生き物と人が集まるビオトープを目指し学校
とPTAと地域が協力して5年前に作成。各学年でテーマを設定し、1年から

年までの全校生徒が総合的な学習の時間でビオトープに関わっている。6年
生は新たな取り組みとして「清水虫公園」を作成。子どもが中心に地域の動
植物などの調査やどういうビオトープにするのかなどのプランも行なった。
「蝶を呼びたい」から生態や食性を調べて植物を植えるなど、積極性が芽生
えた。

【2】函南さくら保育園(静岡県)
子どもは0歳〜6才で163人。保育士は30名。地域は田んぼなど自然が
豊かだが道路沿いから見るだけ。子どもたちが遊びながら自然と触れ合うこ
とができるように、地域の農家に土地を提供もらい「遊子トープ」としてビ
オトープを作成。田や畑で収穫までの成長過程を観察。食農への関心や食べ
物の大切さを再確認。子どもたちが、動植物に興味を持ち、図鑑を調べ、蛙
の卵の大きさから成長後の大きさを推測するなど科学的な思考が育ってい
る。維持管理は保育士と地域を集めて維持管理研修会を行なっている。

【3】福岡県立 北九州高等学校(福岡県)
学校ではなく部活動の「魚部」が主体としてビオトープを提案し、承認を得
て学校の中庭を改造して作成。北九州市で住みかを失った「ニホンバラタナ
ゴ」「デンジソウ」の保護が活動の中心。小学校などの見学を受け入れるほ
か、小学校のビオトープづくりの手伝いや週一で学校に行って管理の手伝い
や勉強会などもしており、市や地域への啓蒙活動も精力的に行なっている。

【4】きのくに子どもの村中学校(和歌山県)
日本一自由な学校きのくに子どもの村中学校。「彦谷ビオトープ」はそのク
ラスの一つ「動植物研究所」のプロジェクト活動。 2002年にスタート
し4年目。池、水田、雑木林多様な環境を整備し、多くの生き物が帰ってき
た。また個人ごとにテーマを設定し動植物の研究も行なっているなど授業全
てがビオトープ活動といった特殊な環境の学校。調査・考察をまとめ「彦谷
ビオトープ」といった本を作成し地域の書店で販売。スコットランドの「キ
ルクハニティー子どもの村」に行き外国のビオトープも勉強するなど広く活
動している。

【5】北海道標茶高等学校(北海道)
釧路湿原の水質汚染の原因の一つに酪農からでる牛の糞尿があげられ、植物
による水質浄化を研究するためビオトープに取り組む。1年目は湿原植物の
増殖や越冬の実験を行い、2年目に浄化実験。ビオトープは全長約220m
  高低差4.3mと学校ビオトープとしてはかなり広く、上流、中流、下流
で水質変化を調査。湿原を守るため地域の酪農家とも協同し共生する仕組み
の構築も進めている他、地域の小学校の受け入れ、建古武湖の希少植物の保
護活動も行なっている。

【6】磐田市立 向笠小学校(静岡県)
2002年に「向笠っ子にふるさとの自然を残す会」が中心となり、磐田市
と地域の支援を得て活動。活動テーマは昔たくさんいたベッコウトンボを呼
び戻すこと。向笠小のビオトープの面先は1万平方メートル。学校の中にあ
るのではなく、ビオトープの中に学校がある。現在34種類のトンボを確
認。春から秋はトンボで冬は川底にいるヤゴを調査。地域の幼稚園の受け入
れも行い、4年生が中心となって教える。テストに合格すると「トンボ博
士」の認定がもらえる制度があり、子ども達も積極的に取り組んでいる。大
きなプロジェクトとして地域の学校ネットワークを通じてアキアカネの南北
縦断のルート調査も行なった。

【7】仙台市立 栗生小学校(宮城県)
仙台市100年の森づくりの一環としてビオトープ「観察の森くりりん」づ
くりを始める。最初は市の関係で外部から樹木をもってきていた。今は地域
の樹木を実生から育てている。1年生には入学時にビオトープとそこでの決
まりごとを上級生が教える。土曜日には「土曜環境スクール」といったビオ
トープ研修会が行なわれ、親子で参加するなど学習とコミュニティーの場と
しても機能している。最初は興味を持たなかった子どもも興味を持ち自然に
ついて考えるようになったり、学校へ行くのが楽しくなったりと効果がでて
いる。これからはビオトープネットワークづくりに取り組む。

【8】宍喰町 宍喰中学校(徳島県)
地域のお年寄りに昔ハッチョウトンボがいたとの話を聞き、2001年にビ
オトープを作成。自然観察園(小屋)を作成し、そこではメダカや植物など
の観察を行なっている。このコンクールに出ることで地域の関心が高まっ
た。ビオトープの活用や地域との取り組みはこれからの課題。

【9】豊田市立 上鷹見小学校(愛知県)
全校生徒50人の学校。17年前からササユリの保護活動を行なっており、
高見の里ビオトープはその延長で取り組み始める。地域の山と田んぼを借り
てビオトープにした。田んぼでは無農薬の米づくりを行なうなどPTAや地域

連携し活動を行なっている。豊かな自然の中にいても自然への興味が薄くな
っていた子どもたちも、ビオトープに関わることで興味を持つようになり、
「進学してもビオトープの勉強をしたい」など自然への愛護の心が芽生えて
きた。

【10】湖西市立 知波田小学校(静岡県)
  「夢クラブ21」 流れ込む生活廃水で破壊されていく浜名湖の保護活動
として、「ビオトープ
の水をもっときれいにしよう!」と学校内に水質浄化の機能を取り入れたビ
オトープづくりを開
始した。竹炭や植物を利用し4段階の浄化システムを設置し、きれいな水を
浜名湖に流して
いる。生活廃水に着目したことで家庭での排水についても考えるようになっ
た。子どもから親への気付きを与えられたこともこの活動の成果のひとつ。
将来はメダカやドジョウが生きることができる生活廃水になるよう地域と協
力。

【審査結果】
文部科学大臣賞    松本市立 清水小学校(長野県)
環境大臣賞      磐田市立 向笠小学校(静岡県)
国土交通大臣賞    豊田市立 上鷹見小学校(愛知県
ドイツ大使館賞    きのくに子どもの村中学校(和歌山県)
日本生態系協会会長賞 仙台市立 栗生小学校(宮城県)

【全体講評 佐島群巳(東京学芸大学名誉教授/帝京短期大学客員教授)】
  それぞれ地域の自然を生かしたビオトープづくり、地域とのコミュニケー
ション、生きた教材としての学習への活用が出来ている。環境保全の有用性
を理解され環境を守っていこうとする心が育っている。この活動を持続的に
展開し発展させて、さらに学校・地域をあげてビオトープのキーステーショ
ンとして町づくりを。

【閉会の挨拶 池谷奉文(財団法人 日本生態系協会会長)】
  これからの日本を背負う子どもたちにどういう教育をするかはたいへん重
要なこと。戦後は目先のお金を追いすぎた。心を大事にすることが重要。世
界的にも、子ども達が将来を考えた国づくりをすることを「持続可能な社
会」という。持続可能な社会を作るための3つのポイント。
【1】自然環境をまもる。
【2】その自然を壊さないような経済をつくる。
【3】自然と共存していく社会をつくる。
  最も優先されるのは環境教育。これからも学校ビオトープを活用し、人も
自然も心も美しい日本を皆さんでつくっていきましょう。


┌────────────────────────────────
│ 【2】バングラデッシュでジャージ活躍!
└────────────────────────────────
  ビオトープとは少し違いますが、弊社の近況のご報告です。
  バングラデッシュ低湿地帯の支援活動をしているNPOと知り合いにり、
現地で活動支援している青少年に当社のジャージを提供したところ、大変重
宝されました。以下はその報告です。

一度サイクロン【台風】が来れば、国土のかなりが水没危機にさらされる海
抜の低いバングラデッシュ。
井戸水は汚染され、汲み取り式トイレの中味が道にあふれ出て、また極端に
湿気が高く湿気た室内は、当然健康的ではありません。
水を含んだ毛布やシーツで寝る人もいるという生活環境ですが、低所得者が
多いので医者にもかかれず、その医者や診療所も少ないところから、疫病も
多発しています。
着るものは、現地で手に入りやすい綿織物が中心ですが、濡れたまま洗濯も
せず、毎日同じモノを着ている人も多く、これまたあまり健康的とはいえま
せん。
洗濯回数が少ないのは、洗えば縮んで着られなくなるから? と悲惨な状況
のようです。

そんな悪条件の中で、ボランティアをしてくれている現地の青少年【男が多
いそうですが】に、活動しやすい衣服を無償でと要請されて、社内を見渡し
考えたのが、デッドストックのジャージです。
デッドストックといっても、翌年4月の新入学に向け作り溜めしておいた特

学校向けの指定ジャージが学校の都合でモデルチェンジになってしまったな
どの理由で出荷できなくなったもの。
もちろん新品で、不良品などではありませんし、日本国内で同じデザインを
採用している学校などはないことが確認できた時効商品です。

ジャージの特性上、サイズに余裕があり、少々腕が長かろうが、体が細かろ
うが(現地ボランティアにはあまり太った人がいないそうです!)、何とか
着られる上に、合繊なので洗濯バンバンOK,おまけに速乾性! 超丈夫と
いいことづくめ。カラフルな色も現地の好みだそうで、大変好評のようで
す。 

一般に衣料のデッドストックは、保管にも経費がかかり、一定の期日が来れ
ば焼却や埋め立て処分するのが普通ですが、今回は、たまたま条件が合っ
て、役立てることが出来ました。
燃やしたり、埋めたりすればただのゴミであり地球温暖化に一役買ったり、
貴重な石油資源の無駄遣いとなるところ、有効に使われてうれしく思ってい
ます。
もちろん環境に一番良く、ビジネス上も良いのは、デッドストックが発生し
ないようにすることなので、出来るだけ無くすように勤めていきます。
★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★
┃ 
┃  【スクールビオトープ メールマガジン】

┃   発行者|株式会社トンボ  環境事業企画室
┃        〒700-0985
┃       岡山市厚生町2-2-9
┃       Tel 086-232-0304 Fax 086-223-5644

┃   □ URL:http://www.tombow.gr.jp

★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★


前のデータを表示

後のデータを表示

バックナンバートップへ