[発行日:2006.12.29] vol.21 ビオトープ訪問紀  埼玉県 越谷市立大袋東小学校 自然環境教育と消費者環境教育への取り組み 他3件

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┃     QQ     【スクールビオトープ メールマガジン】
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┃     ┃ 株式会社トンボ 環境事業企画室
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★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行日:2002.12.29━★

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https://www2.tombow.gr.jp/merumaga/eco.php

こんにちは、いよいよ2006年も大詰めとなりました。殆どの皆様が
迎春の支度にお忙しい頃と思います。
今年一年、トンボスクールビオトープメールマガジンお読みいただきあり
がとうございました。来年もさらに充実した内容をお届けできるよう努力
してまいります。ご意見等も是非お寄せください。では、良いお年をお迎
えください。


もくじ 【1】アサザ基金 湖がよろこぶ野菜
       進む霞ヶ浦環境改善への取り組み
                
    【2】ビオトープ訪問紀  埼玉県 越谷市立大袋東小学校
       自然環境教育と消費者環境教育への取り組み

    【3】体験記 自然環境指導者セミナー  
       思いを伝える技術を学ぶ

    【4】エコプロダクツ展2006報告
 
    
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        【1】アサザ基金 湖がよろこぶ野菜
           進む霞ヶ浦環境改善への取り組み

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2006年の11月から、「湖がよろこぶ野菜たち」が霞ヶ浦の流域で店舗を展
開している地元スーパー「カスミ」の8店舗で販売が開始されました。
その第一陣として、霞ヶ浦流域で展開するJAやさとのキュウリを流域の
皆さんにお届けしています。
「湖がよろこぶ野菜たち」とは一体どのようなものでしょう。湖もヒトと
同様に、栄養がたまりすぎると具合が悪くなります。富栄養化と言われ、
水質悪化の要因のひとつです。
アサザプロジェクトの魚粉事業は、湖にたまりすぎてしまった栄養を取り
出して、野菜の栽培に使います。湖がよろこぶ野菜がたくさん栽培され、
販売されれば、湖は綺麗になって行きます。そして野菜を食べてヒトも元
気になります!湖もヒトも喜びますね。
では湖にたまってしまった栄養をどのように取り出し、農業に使うのでし
ょうか。富栄養化の要因の元素はチッソとリンです。これは植物が育つた
めに必要な元素(=肥料)でもあります。チッソとリンは、食物連鎖を通
じて、魚の体にたんぱく質として、骨として蓄えられています。つまり魚
をたくさん獲れば、水質浄化につながるというわけです。しかし最近の霞
ヶ浦の漁業は存亡の危機といっても良いほど衰退してしまいました。衰退
してしてしまった要因のひとつに、いわゆる外来魚問題というものがあり
ます。外来魚は、漁師さんたちが漁獲して糧とするワカサギやシラウオを
食い荒らし、生態系をも脅かしています。この外来魚を駆除することで湖
の栄養を取り出します。獲り上げた外来魚は飼料工場で魚粉という使いや
すい形に加工します。できた魚粉を流域の農業で肥料(=栄養)として使
っています。

農業の現場では、このような声が聞かれました。いわく「魚粉は以前から
肥料の原料として使っていた。でも、霞ヶ浦産の魚粉と聞いて、こちらに
切り替えた。なぜって、地域のためになるしね。霞ヶ浦の上流に住むもの
として、水質浄化や生態系のことを考えれば、これは使うべきでしょう」
外来魚の水揚げ現場では漁師さんが「俺たちの魚粉はとても評判がいいっ
て聞いたよ。うれしいことだ。それから、ドック(水揚げ現場)にこんな
に人が居るのを見るのも久しぶりだ」

流域の農業者に育てられた野菜は昨年の2月から首都圏向けに出荷されて
いました。そして昨年の11月に、ついに地元流域の大手スーパーで販売さ
れることになったのです。
魚粉で漁業と農業と商業と流域の住民の皆さんがつながりました。いわば
環境保全と経済活動の両立、地域活性化を果たすビジネスモデルの構築で
す。アサザプロジェクトは、あらゆる生き物の営みと人間の営みを共に尊
重しうる新しい社会システムに向けて、活動してきます。どうか応援をお
願いします。

お問い合わせ 
環境パートナーシップ市民事業事務局 アサザ基金 片貝、加茂

ホームページ
 http://www.kasumigaura.net/asaza/topnews/index.html#20061117

(株)カスミ 「湖がよろこぶ野菜たち」販売店舗
土浦ピアタウン店、つくば市の梅園店、学園店、大穂店、つくばアッセ店、
ひたち野牛久店、 フードスクエア牛久店(牛久市神谷)、つくばLALAガー
デン内のグラン・プルシェ店



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   【2】ビオトープ訪問紀  埼玉県 越谷市立大袋東小学校
       自然環境教育と消費者環境教育の取り組み

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第一回全国学校ビオトープコンクールで最優秀賞を受賞した南越谷小学校
を指導された寺田先生がいらっしゃる越谷市立大袋東小学校を訪ねました。
案内してくださったのは、九ノ里校長先生と寺田先生のお二人、自然環境
教育と消費者環境教育の両面のお話を伺うことが出来ました。

まずは、ビオトープを中心とした自然環境教育から、
以外にその歴史は古く、体育館横の楢林を1993年に日本生態系協会のアド
バイスも得てビオトープとして、整備、1995年に作り直しを行い、現在も
補修を行いながらも授業に、遊びに、環境教育にと継続的に活用している。
昨年からはビオトープの一区画に以前遊び場として埋めたタイヤがあり、
その撤去などを生徒、PTA、地域の協力を得て実施し、池の改修なども
行っています。ビオトープ内の木には、名札がつけられ、簡単に名前が覚
えられるようになっています。

◆ビオトープの維持管理
ビオトープの整備に関しては、助成金をうまく利用されています。
(1)越谷市環境保全課助成 
(2)埼玉県より環境ボランティア派遣による環境授業
(3)NTT ドコモ 教育助成金 不要タイヤ抜き取り、タイヤ運搬、雨水
   利用、池整備等 100万
(4)グリーン基金:東京電力協会 太陽光発電、風力発電  200万 
   この12月より太陽光発電装置の設置

ビオトープの活用に際しては、切った木は持ち出さず、敷地内でカブト虫
の幼虫の育成場を作るなどして有効活用。
観察路には越谷市環境資源課より、木のチップをもらい、敷いている。
まだ、すべては完成はしていない。また、杭は5年生が林間学校で行く、
福島県にある森の間伐材を送ってもらっている。
現状、ビオトープだけについて言えば、地域の環境関連団体との直接のコ
ミュニケーションは今はないとのことでした。

◆ビオトープを使った教育の実践
直接的なビオトープを使った生活科、総合的な学習の内容です。
1年生 花、生き物、遊びに行く、植物を育てたり、ビオトープを活用
2年生 野菜を育て自然を深く理解し、地域の自然にも目を向け、自然
    の移り変わりを感じ取る。
5年生 なら林を見守ろう ビオトープとしてのならばやしのあり方を学
    び、生き物のために出来ることを考え、計画し実践する。
    
同校の自然環境教育はビオトープにとどまりません。4年生はつる性植物
(へちま、瓢箪、ゴーヤ)を育て、グリーンカーテンを実施、その他栽
培活動により、植物の生態を知り、食について関連付ける教育を実施して
おられます。
3年生 むだから抜け出す第一歩 として日常的な無駄を意識し、無駄か
    ら抜け出す手立てを考え、環境問題に関心を持つ
6年生 6年間にわたるエコ活動を振り返り、今後の生活に生かそうとする
    態度、心情を育てる。物事の本質を見出す力を身につける。


ビオトープの写真です。
http://www.tombow.gr.jp/Biotope_melmaga/06.12.25

◆消費者環境教育 取り組み内容としては
(1)エコフェスティバル 6月、10月に企業・団体を学校に招いて、出前環
   境授業を開催。グループに別れ30分で5−6コマ回る。これを3回経験す
   ることで全学年がその企業を知ることが出来るようにローテーションを組
   んでいる。
(2)こどもエコクラブの取り組み
(3)エコプロダクツ展見学 3年生、5年生。
(4)牛乳パックの洗浄、開封  市内公立小中で実施。などがあります。

同校の環境教育の実施背景には以下の委嘱事業による教育実践があります。
・17,18年度埼玉県教育委員会委嘱 
 「学民ジョイントプロジェクト推進校」(環境領域)
・17,18年度越谷市教育委員会委嘱 「環境教育」の実践。
 環境教育=心の教育 「かしこく」「なかよく」「たくましく」
これらを実践するための基本計画書を作っておられます。
心豊かに生き生きと活動する児童の育成
研究の方向性 
「自然、人、物との関わりを生かした環境教育、道徳教育の実践」
 
(1)授業研究部会  低学年、中学年、高学年のブロックに分け、各教科、
   総合的な学習の時間の特性を生かした学習指導の工夫と環境教育の取
   り組みを通して課題発見能力の育成と自ら学ぶ力を育てる、さらに生
   活に生か そうとする力を育てる。
  ・低学年:動物や植物と進んでふれあい大切にする。身近な環境を大切
   にする。物を大切にして再利用
  ・中学年:自然と積極的にふれ合い、自然の移り変わりを感じる。身近
   な環境美化に進んで参加。身近な環境問題に関心を持つ。
  ・高学年:自然の素晴しさや命の大切さに気付き、美しいものに感動す
   る。身近な環境美化に積極的に取り組む。環境問題に関心を持ち、主
   体的に捉える。

(2)専門部会 環境部、省エネ推進部、栽培部、経営部 を配置し、体験
   的活動を取り入れ、学び方を学び、豊かな心を育てる学習環境を作る。
   ことで環境教育の実践を行う。

来年10月12日に同校において、環境教育の全国発表大会が開催され
ることになっているそうです。なるほどこれくらい、きちんとした教育
方針のもと、毎年の実行計画を立てておられれば、全国に発表できる発
表ができると納得したものでした。多くの学校が同校と同じレベルの取
り組みができると素晴しいですね。



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        【3】体験記 自然環境指導者セミナー 
           思いを伝える技術を学ぶ
 
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環境の大切さを伝える学習の一環で「思いを伝える技術を学ぶ」というセ
ミナーに参加しました。子供たちだけでなく、日常のコミュニケーション
活動にも役立つプログラムと感じましたので掲載させていただきます。
講師は鈴木 智子さん 「きょういく事務所 ぐりーんふろっぐ」代表。
小学校の「総合的な学習の時間」のプログラムの年間講師や、2001年は
「山口きらら博」の環境教育ゾーンのプログラム開発やディレクターを勤
め、02年からは千葉県エコマインド養成講座講師というキャリアの持ち主 
きょういく事務所 ぐりーんふろっぐのホームページです。

      http://greenfrog.air-nifty.com/
                                  
  
取得資格も多彩、樹木・環境ネットワーク協会 グリーンセイバーマスタ
ーや社団法人日本ネイチャーゲーム協会リーダー、財団法人公園緑地管理
財団プロジェクトワイルド ファシリテーター、財団法人河川環境管理財
団プロジェクトWET JAPANファシリテーター他

セミナーはじめの挨拶もネイチャーゲームから取った子供向けのプログラ
ムを使っての互いの紹介から始まりました。6項目の準備された質問を一
人の相手にひとつだけ質問して、お互いに理解を深めて、みんなで知り合
いになるという手法。
・今日ここに来るまでに一番気になったものは何ですか?
・家の近くにどんな自然がありますか? などその日の対象者に合わせた
簡単な質問をして、お互いにどんな人かを理解するスターとメニューです。
その人の理解をして早く意思疎通を図るという良い方法でした。

◆インストラクター、ファシリテイター、インタープリターの違い
インストラクターは指導者、伝授タイプの性格 制度の資格保持者や登録
した人「教師」「指導員」、環境省のパークボランティアや森林インスト
ラクターなどが自然関係のインストラクターとして有名。資格を持って知
識を伝える。前述のグリーンセイバーのライセンスを持って指導すること
もインストラクターです。
ファシリテイターは促進者、触媒タイプの性格である事を容易にする役割。
「進行・引き出し役」として相手から引き出す人
柔軟性や相手に合わせる能力、決断力も必要。参加者の体験をリードする。

インタープリターは直訳では翻訳者。解説者や仲介タイプ。自然界で起こ
る事を人間の言葉で置き換えたり、ある事の背景に有るものを伝えたり、
相手のイマジネーションを広げたりする。

同じ内容を、伝えるにしてもこの3つの立場によって相手の受け取り方も
違ってくるということです。相手に合わせた伝え方が重要。

第3のステップは ブレーンストーミングとスパイダーWEB(くもの巣)ミ
ックスの手法で討議。 大きな紙に テーマに関連した語句や文章を皆で
き込み発展させていくもの。今回のテーマは「あなたが人」の前に立つと
きに「必要だと思う事」。
私は「姿勢と笑顔」「身だしなみ」「相手の好感を得る印象作り」と書い
たのですが、「事前準備」「下調べ」「絵を使ってわかりやすく」などま
ったく違った角度からの意見もありました。みんなで自由に自分の言葉を
書き、人の言葉に発展させて、完成させましたが、今までの日常感覚とは
違う言葉が飛び出してきたりしました。 「相手の発言を待つ」「時間を
気にしない」これはインストラクター発想では出ない言葉、ファシリテイ
ターやインタープリターならではの発想からの言葉。

これまでの自分が如何にせかせかしていたか、共通の知識を早く社員に理
解させ、戦闘員として養成しようとしていた自分の姿が浮き彫りになりま
した。この心のスタンスでは 「人に思いを伝えよう」としても心には響か
ないのではないか。教育とは授ける事だけで無く、育む要素も大切なんだ
と痛感した次第です。まさにコーチングの大切さ、基本を体験しました。


もうひとつ この研修ですばらしい言葉に出会いましたので付け加えます。
・何事も全知全能を集中せねば成就せず。
・感謝を知る人は幸福である。
・急がず長い目でものを見、その道の達人となれ。
・考える人は尊い。然し考えを実行に移す人はさらに尊い。
・凡才を嘆くな、努力の足らない事を嘆け。



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       【4】エコプロダクツ展2006 のご報告  

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先日開催されたエコプロダクツ展2006ですが、昨年の入場者を12000
人以上も超え、3日間で過去最高の152,966人が来場しました。

弊社のブースにも沢山の方がおいでになりました。メインのお客さんとな
ったのが、東京、神奈川、埼玉から来てくれた小・中・高の生徒さんたち
200名ほどの生徒さんたちがグループで授業を聞きに来てくれました。

今年のブースは、会社とエコ商品の紹介、トンボ絵画作品ギャラリー、そ
して小中学生への環境授業スペースの3ブロックの構成で秋の稲刈り前の
田んぼの風景をかもし出すハイタッチな見せ方としました。

展示ブースの模様はこちらからご覧ください。

  http://www.tombow.gr.jp/eco_project/products/ecoten.html

21年目を迎えた「トンボ絵画コンクール作品」(当社協賛)は多くの方
の関心を集め、優秀作品を掲載したトンボの下敷きは1000部はあっと
いう間に配布終了。毎年これが楽しみでというお客様もいらっしゃいます。
今年の優秀作品は下記の頁でご覧いただけます。

  http://www.tombow.gr.jp/eco_project/kaiga/index.html

環境授業のスペースでは、トンボクイズや紙芝居を置いて、子供達に受け
る演出を行いました。一番人気があったのは苦労して作った赤とんぼの帽
子。これはトリックスターといって、小学生へのつかみとして重要と前述
の鈴木さんに教わったものでした。
大きな目玉と羽、尻尾を縫いつけたのですが、会場の中を歩くとみんなが
振り返るものになりました。赤のトレーナーとの愛称も良かったようです。

綿とポリエステル混の制服から取れるバイオエタノールがE3ガソリンの
燃料となることを説明すると多くの方が興味を示されました。また、とう
もろこしから出来るPLA(生分解性)の繊維も子供達は興味を示してく
れました。


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┃ 
┃  【スクールビオトープ メールマガジン】

┃   発行者: 株式会社トンボ  環境事業企画室
┃        〒700-0985
┃        岡山市厚生町2-2-9
┃        Tel 086-232-0368 Fax 086-223-6680

┃   □ URL:http://www.tombow.gr.jp/eco_project/

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