[発行日:2008.08.30] vol.46 ネイチャーゲームを活用した理科授業 横浜市立井土ヶ谷小学校

★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★
┃ 
┃     QQ     【スクールビオトープ メールマガジン】
┃  ⊂≡⊃‡⊂≡⊃
┃  ⊂≡⊃‡⊂≡⊃        vol.46
┃     ┃
┃     ┃       株式会社トンボ 環境事業企画室
┃     ┃

★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行日:2008.8.30 ━★



※文字フォントは、MSゴシックの等幅フォントで最適に表示されます。
※登録・解除は下記のページよりお願い致します。
https://www2.tombow.gr.jp/merumaga/eco.php

――――――――――――――――――――――――――――――――

  ★☆★トンボ・エコフォーラム掲示板を開設しました★☆★

 環境学習(自然環境教育・消費者環境教育)に関心のある先生や
 NPO法人会員、保護者の方の情報交換の場としてご投稿をお待ちし
 ております。お気軽にご利用ください。
 http://www2.tombow.gr.jp/eco_project/eco_forum/index2.html

――――――――――――――――――――――――――――――――


こんにちは、トンボ環境事業企画室の小桐です。8月2回目のメールマガジ
ンです。各地で局地的な集中豪雨が発生しています。たまたま一昨晩は、埼
玉で大雨に遭い、水没して通れない道路を体験しました。8年前に名古屋で
体験して以来の集中豪雨の経験です。アスファルト、コンクリートで固めら
れたため、地面の吸水力、保水力が低下したということをまざまざと感じま
した。これからは台風の季節でもあります。お互い気をつけたいものです。



   もくじ 【1】ネイチャーゲームを活用した理科授業
            横浜市立井土ヶ谷小学校 

      

◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆


      【1】ネイチャーゲームを活用した理科授業
           横浜市立井土ヶ谷小学校
 

◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇


去る8月2日、3日に東京にてネイチャーゲームでひろがる環境教育という
シンポジウムが開催されました。社団法人日本ネイチャーゲーム協会、体験
型教育研究会、自然体験学習実践研究会の主催でしたが、その中で事例発表
として行なわれた熱心な学校の取り組みをご紹介します。

<ネイチャーゲームとは>
ネイチャーゲームは自然学校での体験型プログラムとして環境学習の中に取
り入れられていて有名ですが、いろいろなゲームを通して、自然の不思議や
仕組みを学び、自然と自分が一体であることに気づくことを目的としていま
す。
自然に関する特別な知識がなくても、豊かな自然の持つさまざまな表情を楽
しめるのが、ネイチャーゲームです。日本には 約11,000人 のネイチ
ャーゲームリーダーがいます。
       http://www.naturegame.or.jp/index.html

<プロジェクト・ワイルドとの違い>
プロジェクト・ワイルドについての授業は以前バックナンバー34,35号で
紹介しました。幼稚園児から高校生までを対象にした野生生物と自然を考え
る環境教育プログラムです。全国的に学校の先生方やNPOの方を中心に1万3000名ほどが資格をもたれています。
 http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=3503

私たちひとりひとりが、野生生物と自然資源に対し、責任ある行動をとれる
ようになることを目標とした環境教育プログラムです。
   http://www.projectwild.jp/projectwild.php

双方のプログラムは共通する部分も多く、両方の資格をたれている指導者の
方もいらっしゃいます。それぞれの良いところが環境学習の中で生かされれ
ば良いと思います。

< 学校でのネイチャーゲームの取り組み >
横浜市立井土ヶ谷小学校は、横浜駅から京浜急行に乗って5番目の井土ヶ谷
駅のすぐ傍にあります。商業地と住宅地に囲まれたまさに都会の学校という
趣の学校です。
「表現と学びあい」で如何に子どもが自然に対して気がきをするか? 教師
がその視点を持つ事が大事と学校全体でネイチャーゲームを自然体験と結び
付けて授業に生かされています。

< ネイチャーゲームを取り入れるメリット >
空間の整理が時間への発展に繋がり、指導の進化が可能だと理解されていま
す。例として卵を観察することで、卵 →幼虫 →さなぎ →成虫 という
 将来の姿、未来を教える事ができるのです。
空間、時間は自然科学の基本的フレーム。なりたい未来を確認できる力にな
る。存在がそのままに終わらずに広がりイメージを持つことができるとのこ
とです。

< ネイチャーゲームへの導入時期 >
学校としてネイチャーゲームのリーダー養成に力を入れたのはH18年で
す。7,8月にリーダー講習を受け、30名の教師が皆リーダーとなりまし
た。現在では先生方の異動もあり、2/3の20名の方がリーダーとして授
業で活用されています。

< 取り組みのきっかけ >
取り組みのきっかけになったのは、文部科学省初等中等教育局視学官の
日置氏が同校でネイチャーゲームを使った教育について講演をされて
から。15年前から普及と実践をされている日置氏はこの8月のシンポ
ジウムでもネイチャーゲームの持つ可能性について熱く語られました。

< アクティビティの活用科目 >
実際の授業では、理科教育において取り組まれることが多い同校ですが、ネ
イチャーゲーム協会のメンバーの指導を受け、朝、集いの時間にも実施。国
語の授業で詩を書く時の展開に活用したりしているそうです。

< 学年での取り組み 3年生 >
理科 光の性質の単元では「めざせ光レンジャー」として導入でネイチャー
ゲームを取り入れ、太陽の熱を手のひらで感じる事ができました。
その他、昆虫と植物では、アクティビティ「動物交差点」を実施し、昆虫に
ついての学習のまとめを昆虫ビンゴ フィールドビンゴで思考、技能、知識
を高めました。友達とやって楽しかったし、生き物の知識が増えました。

< 学年での取り組み 6年生 >
6年生 生物と環境 1枚の葉から始まるという単元で、アクティビティ 
カモフラージュを実施されました。葉の光合成や葉脈の役割などを学んだ後
で、カラフルな洗濯バサミなどを使い、自然の中に溶け込む色やそうでない
ものなどを確認したりしました。
学習の後、1年生に葉っぱについての絵本を書いてプレゼント。1年生から
御礼の寄せ書きを貰ったそうです。
詳しい授業実施内容はこちら
  http://www.tombow.gr.jp/Biotope_melmaga/08.8.27/3.jpg


< 校外学習での取り組み >
また、4,5,6年生は宿泊体験学習があるのでそのときにはネイチャーゲ
ームを取り入れた学習を行なっている。ネイチャーゲームは特にふりかえり
が大切だと皆認識しています。

< ビオトープの活用 >
井土ヶ谷小学校には、小さな池があります。そこをビオトープとして
5年生(今年は6年生)が管理しています。池にはマコモやセリが茂り、水
の中には地元にいたクロメダカを入れています。シオカラトンボのヤゴも棲
んでいるそうです。いつの頃かオオフサモが生えてきたとのことで、児童が
見つけるたびに抜くそうですが、中々絶滅しません。

このビオトープの隣には学年ごとの畑があり、6年生のカモフラージュのア
クティビティなどは、このジャガイモ畑や池を使って実施しました。
他の学年も、ネイチャーゲームを実施するときのフィールドとして活用して
いるそうです。
 http://www.tombow.gr.jp/Biotope_melmaga/08.8.27/2.pdf


< 近隣の自然との交流 >
町の中にある井土ヶ谷小学校ですが、校区内に横浜の谷戸の自然が残
っているところがあります。永田自然園と言う場所で、面積250坪
ほどの個人のお宅ですが、「登り窯と永田の自然を守る会」が管理をしてお
られます。田んぼはありませんが、ここには、今でも湧き水が出て、雑木林
もあります。 
 http://www.tombow.gr.jp/Biotope_melmaga/08.8.27/1.pdf

「登り窯と永田の自然を守る会のホームページです。    
 http://members.ytv.home.ne.jp/noborigama/

< 永田自然園と学校の交流 >
永田自然園には四季折々に在来の草花が咲き、春には、井土ヶ谷小の2,3年
生が日本タンポポの観察に訪れたりします。
また、湧水は横浜市の助成「町普請」事業で湧水路を整備。来年からゲンジ
ボタルを育てたいと今年は、近くの舞岡というところからカワニナを連れて
きて飼育を始められました。6年生の児童も協力、学校でカワニナを育てて
います。また、自然園の木道作りにも協力しています。
湧水路の終点には池があり、ここには、井土ヶ谷小学校から持ってきたクロ
メダカが泳いでいます。このほか、同小学校の陶芸クラブが横浜で唯一の登
り窯で焼き物作りを教わっています。

< ビオトープ今後の課題 >
地域の自然や近隣の方とも付き合いの深い同校ですが、池を中心とした学校
ビオトープ自体は歴史も浅く、面積的にも広くないので、どのように位置づ
けて、利用していくかが課題です。

子ども達は池好きで、自然に親しめる場としては活用したいが、池に石を投
げ込む児童も居るので啓蒙もしていかないといけないと説明を受けました。
地元の自然が残る永田自然園との交流で地域の自然の大切さを子ども達が理
解し、自分たちの学校にも地域の自然を残そうと考えたときに、次のステッ
プが始まるような気がします。

ビオトープは児童、先生だけでなく、PTA,地域の方々+専門知識の支援
ができる団体の協力があって継続に続けていくことができます。
「登り窯と永田の自然を守る会」の方々と井土ヶ谷小学校のさらなる交流が
キーポイントと感じた今回の取材でした。





★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★
┃ 
┃  【スクールビオトープ メールマガジン】

┃   発行者: 株式会社トンボ  環境事業企画室      
┃        〒700-0985岡山市厚生町2-2-9
┃        Tel:086-232-0368 Fax:086-225-6680
┃        [東京分室]
┃        〒136-0071 東京都江東区亀戸2-34-4
┃        Tel:03-5626-2257 Fax:03-5626-2268

┃   □ URL:http://www.tombow.gr.jp/eco_project/

★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★


前のデータを表示

後のデータを表示

バックナンバートップへ