[発行日:2005.02.14] vol.10 コラム C.W.ニコル氏 日本のきつつきウェールズにてりんごを植える、他2件

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  もくじ 【1】 ビオトープ取材記事
          A.これから始まる 
          自然を生かした学校ビオトープ
          B.快適環境推進村の学校ビオトープ
      
      【2】 コラム C.W.ニコル氏
          日本のきつつきウェールズにてりんごを植える

      【3】 エコプロダクツ展の報告   
             
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こんにちは。株式会社トンボ、環境事業企画室の小桐です。
2005年も早2月の半ばを過ぎ、少しずつ春の気配が感じられそうな今日
この頃です。
今月は環境については新たな展開を迎える月です。
16日に京都議定書の発効され、マスコミではこれらの環境への取り組みに
ついて様々な角度から報道をしています。
来月は愛知県で環境博覧会 愛・地球博が始まります。
環境を意識した生活が少しずつでも広がりを見せて欲しいものです。
未来を担う子供たちと、大人の協力があってこそ実現すると思います。
ビオトープを通した人や自然との関わりは様々な広がりを見せます。今年も
様々なビオトープのあり方を紹介していきたいと思います。
今回は私たちの地元、岡山の小学校のビオトープ2校をご紹介します。
第10号の発行が少し遅れましたことお詫びいたします。
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    ★     1.ビオトープ取材記事       ★
         
        A.これから始まる 
        自然を生かした学校ビオトープ    
                   
―――――――――――――――――――――――――――――――――
岡山市の北部の岡山空港の麓にある馬屋上小学校、今年で開校131年を迎え
る歴史ある小学校です。周りを豊かな自然で囲まれており、初めて訪問しまし
たが、これまで訪ねた学校ビオトープとはかなり違う感じという印象です。
担当の中島先生にお伺いしました。ビオトープづくりのきっかけは、岡山市教
育委員会から、市内の小学校にビオトープつくりの募集があり、応募しました。
創立130周年の記念行事という意味合いもあります。
今回整備したビオトープは、学校の敷地内にある雑木林の一部でかつて憩いの
広場として利用していた場所です。
ここは山から水が流れこみ、湿地帯を形成、湿地植物が多く見られ、沢蟹も生
息していた場所です。
ビオトープ作りの直接の指導は財団法人九州環境管理協会にお願いしました。
昨年の4月より勉強をはじめました。どんなビオトープにしたいかは児童の意
見を重視、残念ながら施工の途中で変わっていったところもあります。
一番苦労したのは湿地帯の水路の確保。常に水がある状態を確保するのが結構
大変でした。
夏休みも整備作業を行いました。児童、保護者、先生のほか、地元の方々(殆
どが馬屋上小のOBです)が一緒になって作業をしました。
これにより、地域の連携、絆が一段と強まりました。
整備は生息湿地植物の一時移動、仮置き作業を行い、10月には杭打ちや竹柵
の設置、11月には丸太橋を架け、12月に完成。17日に「いずみのひろば」
のお披露目式を行いました。
ビオトープと授業の関わりですが、着工前に、児童達がビオトープ付近の昆虫
や植物を採集し標本作りをしました。巣箱を作り野鳥観察が行えるようにしま
した。いよいよ今年からが本格的にビオトープを使った授業が始まります。
ビオトープを通した自然環境保護を授業で行っていきます。指標種として沢蟹
とトンボを選びました。これからどうやったら増えるかも観察していきます。
今回、これまでに取材させていただいた学校ビオトープの運営の仕方、授業で
の活用の仕方の資料をなどを説明させていただきました。
馬屋上小としてのオリジナルな環境教育を地域と共に実行されることを期待し
ます。
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    ★     1.ビオトープ取材記事       ★
         
       B.快適環境推進村の学校ビオトープ
            
                   
―――――――――――――――――――――――――――――――――
古代より栄えた吉備の国、倉敷市の北側に位置する清音村は自然豊かな土地柄で
す。清音小学校の近くには一級河川高梁川そして少し東に向かえば吉備国分寺の
五重塔があります。
平成9年に「快適環境推進の村」宣言をした同村はその具体的施策としてドイツ
の環境政策の視察を行い、清音地区の代表とも言える3箇所に環境整備事業を展
開しました。
ひとつは「清音ふるさとふれあい広場」:緑や水や生き物とのふれあい、さらに
スポーツ施設が同居する施設、高梁川の河川敷の作られた「ふれあい親水公園」
そして今回お伺いした、清音小学校の中にある「いずみの森公園」です。
いずみの森は単に学校の中のビオトープではなく地域の自然環境の復活や地域
住民が親しめるものとして作られたものです。今年で7年が経過しました。
広さは4200u、樹木600本 落差6m 全長150mの流水路があります。
子供たちが触れ合うということで、ウサギや小鳥の飼育小屋、ローラー滑り台、
ブランコなどもあります。そのほか芝生も生えていて子供たちには居心地のよい
場所であるような感じがします。
担当の金澤教頭先生にお話を伺いました。造成に当たっては鋼土を突き固め、そ
の上に山土を盛ってビオトープを作りました。造成には多くの石も必要であった
ために、児童も一緒になって近くの高梁川の石を広い集めたり、植樹、芝貼りに
参加しました。
実際の運用では自然ならびに、人的な課題が出たようです。できるだけに自然の
植生に任せようとしたため草刈は殆ど行わなかったところ草がぼうぼうとなり、
子供たちが危なくて近寄れない状況に、さらに浮浪者の居所になったり、食べ物
のかすを放置したまま帰る人が居たりと地域の自然のふれあいが逆の結果を産む
こともありました。
そこで草刈を行い、見晴らしと見通しを良くして安全の確保をしました。
植生の変化で言えばいつのまにか、外来の植物が増え、メリケンカルカヤ、アレ
チノヌスビト、セイタカアワダチソウが茂っています。地域の植生調査をされた
岡山大学の先生にアドバイスを頂き、見つけたら抜くようにしています。
外来種は植物だけでなく、動物も、いつのまにかブルーギルやブラックバスが居
るとのことです。これも今は放置状態。青さぎも来て魚を食べますが、壊滅とい
うわけには行かないようです。
ビオトープだから自然のままにということで造成から3年間放置し、実際に学習
に使い始めたのは平成12年から 3年生をビオトープを使って学ぶ学年として
います。次年度4月からは全学年で観察、管理をすることにしています。
さらに楽しくビオトープを活用するために、草木染やジャム作りなどにも挑戦す
るように考えています。
昨年茶毒蛾やイラ蛾が発生し、児童が刺されたので、木の消毒をしようとしたと
ころ、下草が生い茂って入れないということでPTAで下草を刈りました。
部分的に人の入らないゾーンを残し、児童が活動できるように今後下草を刈るこ
ととしました。
また、7年経つと川の流れの変化や池の水際の崩れ、丸太橋の腐食などが起きて
います。これまでは村の経費で修理してたものが、総社市との合併で今後は予算
面の確保がどうなるのかは現段階では分らないとの事です。
これまでの取材で感じたのは ビオトープ継続がうまく行くケースとそうでない
ケースがあり、うまくいかないケースは以下のような共通点があります。
 
・ビオトープに関する関係者の共通認識がない。だれもある意味かかわりが薄い。
・ビオトープを管理する中心となる組織が出来ていない。
・ビオトープを使った授業がどれだけ効果的かの認識が学校関係者の間で共通の
 理解がこれまではされていない。
・ビオトープを使った授業で指導のできる教員が不足
・専門家に相談するも総合的な維持管理、活用を含めたノウハウや現場指導がで
 きていないというものです。
情報と人脈ネットワークがキーポイントになります。
・ビオトープを作った後の活用と維持管理に関する情報の不足。やはり広くノウ
 ハウを共有していかないと継続は難しいようです。
・また、中心となる方(地域や保護者からの掘り起こし)と専門家、学校関係者
 の結びつきです。先生方は転勤で交代するだけにいかに地域が中心となり、動
 けるしくみを作るかです。
読者の皆様からのさらなる、ノウハウ、情報提供をお願いします。
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    ★     2.コラム 日本のきつつき      ★     
     
         ウェールズにてりんごを植える
 
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2005.2.3 ウェールズ、カーディフにて   C.W.ニコル氏

20年程前、私は一枚の手紙をきっかけに長年遠く離れていた故郷ウエールズに
戻った。南ウエールズは産業革命以来の石炭の採掘により自然が破壊され、ボタ
山だらけの荒んだ場所になっていた。
ところが、そこから来た手紙は『ウエールズの気候風土に適した日本の木はどん
なものが良いか?』というものだった。
この奇妙な問い合わせに私は早速現地を見に行った。
信じられないことに、そこには若い森が蘇っていた。
住民たち一人一人の努力が月の裏のような谷間の景色を緑に変えたのだ。そして
そこに日本の木を植えたいという。
石炭が石油に取って代われ、隆盛を極めた炭鉱は次々に閉鎖された。当時の失業
率は37パーセントで人々は辛い生活を強いられていた。
その時、彼らは日本の企業に救われたのだ。ウエールズ人は日本の木を植えるこ
とで感謝の意を表現したがっていた。
その後、私はこの森の復活に感銘を受け、日本の長野県にある黒姫で荒れ果てた
二次林を買い、豊かな生態系が戻って来るよう努力を始めた。
そして2002年、その事業が認められ財団法人の認可を取得した。それを契機にウ
エールズの再生された森の公園と姉妹森締結をすることになった。
そして、記念として公園の中に日本の庭を造ってくれることになったのだ。
庭のデザインは『漢字』をテーマにしている。ウエールズに住んでいるたくさん
の日本人とより良い交流をする為の場所にしたいと考えていた。
そこで、ウエールズの友人、クリスチャン・奈都世サール夫妻、公園の管理責任
者であるリチャード・ワグスタッフ、住み込みの日本人のファミリーや企業など
が働きかけ、共同体「ウッドペッカーズ(きつつき隊)」が設立された。
今、ウッドペッカーズはビジネスマン、主婦、10代の若者や子供まで約80人
ほどいる。彼らは日本の庭を守り、木を刈り込むために森林公園に集う。
そして、森の生き物や歴史について、あらゆることを学ぶ。レンジャーとともに
働き、ピクニックをし、ブラックベリージャムの作り方や、わらびチップスの作
り方の情報を交換し合う。
参加するために責任も、負担も、制限もなく、いつも30人ほどの人々が集まっ
てくる。友達も初めての方も大歓迎!森はウェールズと日本の素晴らしい交流の
場となった。スタッフはフレンドリーで親切。
ビジターセンターでは、わけ隔てなくウェールズの家庭流の紅茶、コーヒー、ジ
ュースなどのもてなしを行っている。
1月30日、ウッドペッカーズは公園にりんごの木を植えるために集まった。
日本のりんごと同じくらい古くからあるウェールズのりんごの品種を含め、3、
4年の若木を選んだ。ビジターセンターの上のゆるやかな坂に植樹し、まっすぐ
伸びるように杭をたて、鹿から守るための囲いをつけた。
数年後、この公園にはりんごの花と実でいっぱいになるだろう。
そして大人にも、子供にも伝え教えていくだろう。このりんごが、角材の原料だ
けでなく、景観の美しさや食料としても、そして、言うまでもなくここに集う生
き物たちの平和や、南ウェールズと日本の人々の友好のかけはしとなってゆくこ
とを。
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   ★      3.エコプロダクツ展の報告      ★         
     
 
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去る12月9日〜11日まで有明にある東京ビッグサイトにおいて
エコプロダクツ2004が開催されました。
入場者も3日間で昨年を1万人上回る 124,829人となり、日本で一番大
きいエコイベントです。
昨年で3回目の出展でしたが、学生の入場者が増えています。特に目立つのは中
学生。当社ブースへの訪問は小学生、中学生の比率が半分ずつに近づいています。
また、最終日の土曜日には山梨からも小学生が来場してくれました、聞いてみる
とKID`S ISOプログラムに取り組んでいるとの事で、朝6時過ぎに山梨を出て来
たとの事。確実にエコに対して真剣に取り組みが広がっていると感じました。
ブースに来てくれた方々に10分程度の環境授業を実施。
なぜ、リサイクルが必要か、制服はペットボトルリサイクルして作られる、とう
もろこしから生分解性繊維ができる。みんなで自然と共生した生き方をと説明、
このほか当社のビオトープ作りに関する資料も持って帰っていただきました。
日本は昔 秋津州とも言われ、秋津とはトンボのこと。トンボがたくさんいるこ
とは自然の生態系が豊かなこと。トンボにちなんで環境活動を支援していること
などをお話すると、「最近はトンボが少なくなってきたよね。」と自然の復元に
共感される方もいらっしゃいました。
スクールビオトープについてもアピールをしていきたいと意を強くしました。
今年は12月15日から17日までの3日間 東京ビッグサイトで開催されます。  


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