[発行日:2003.09.25] vol.2 コラム C.W.ニコル氏、 スクールビオトープづくり支援について 他2件

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
☆ 
☆     QQ     【スクールビオトープ メールマガジン】
☆  ⊂≡⊃‡⊂≡⊃
☆  ⊂≡⊃‡⊂≡⊃       vol.2
☆     |
☆     | テイコク環境事業企画室
☆  
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆[発行日:2003/09/25]☆☆

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


  もくじ 【1】 スクールビオトープコンクール応募状況
     
      【2】 スクールビオトープづくり支援について
         
      【3】 スクールビオトープ実践校のご紹介
        
      【4】 コラム C.W.ニコル氏


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


こんにちは。株式会社トンボ、環境事業企画室の小桐です。
創刊号はいかがでしたか、今号から本格的にビオトープに関
する情報をお届けします。

今回はビオトープづくりの課題やそれを生かした授業につい
ての取材をさせていただきました。


―――――――――――――――――――――――――――――――――
    ★  全国学校ビオトープコンクールの応募状況  ★
―――――――――――――――――――――――――――――――――


○ 第3回全国学校ビオトープコンクールの審査が進んでいます。



トンボやカエルが暮らす場所、学校ビオトープは、子どもたちが自然の仕
組みや大切さを体験し、また地域住民と交流する場として、その価値が世
界的に認められています。

そこで日本生態系協会では、優れた学校ビオトープの事例を紹介し、日本
における学校ビオトープのより一層の普及と環境教育の発展に貢献するた
めに、2000年に日本で初めて「全国学校ビオトープ・コンクール」を開催
しました。

コンクールは今年で3回目を迎えますが、昨年同様全国から70校を超える
応募をいただき、現在も引き続き問い合わせを受けています。

現在、ご応募いただいた書類をもとに第一次審査(書類審査)を進めてお
り、10月以降に審査を通過した学校に対して第二次審査(現地審査)を行
います。

来年 2004年 2月14日(土)に開催される
「第3回全国学校ビオトープ・コンクール発表会」では、最終的に選ばれ
た受賞ノミネート校の児童・生徒らが、映像や劇など、創意工夫に満ちた
表現で審査委員に対して最後のアピールを行い、賞が決定します。

発表会には、一般の方にもご参加いただけます。
詳しい内容は、当協会ホームページ

http://www.ecosys.or.jp/eco-japan/ をご覧下さい。

         (財)日本生態系協会 / ECO−JAPAN 担当 佐山次長


過去2回の授賞式において子供達の研究の成果を拝見しましたが、どれも素
晴らしいものばかりで感動で涙が溢れてしまいました。
来年も楽しみに参加したいと思っています。(小桐)   


―――――――――――――――――――――――――――――――――
    ★  スクールビオトープづくり支援について  ★
―――――――――――――――――――――――――――――――――


第2回全国ビオトープコンクール最優秀校の「稲毛第2小」のビオトープ
作りを手がけ、いまも稲毛第2小以外の近隣校のビオトープづくりの指導
もされているグループ2001代表 横田 耕明氏にお話を伺いました。


○ 横田さんとの出会いは偶然でした、でもどこかで繋がっていました。


有る日、稲毛第2小に私どもで新しく開発した小学生の課外活動用のベス
トのモニターをお願いしようと訪問した際に、横田さんがビオトープの打
合せにこられていて偶然お会いしました。
お話を聞くとなんと偶然にも私どもの東京支店の社員の一人と親戚である
事が分りました。
NPOとしての立場から学校ビオトープへのかかわりや思いについて取材
をさせていただきました。


○ ビオトープを作ろうと考えたきっかけはなんだったのですか?


私は岡山県の東部の田舎の出身、小さい頃山や田んぼで遊び、自然を満喫
して育ちました。千葉市に住んでいますが、自分の子供を田舎に連れて行っ
ても遊び方を知らない、まして近所のこども達が、自然に触れるきっかけ
がない。

それならば、自分の家に池をつくり、自然の大切さを「擬似自然体験の中
から子供達に学ばせたい」の思いで始めたのがきっかけになりました。

私が小学生の中学年の頃、農薬を使った農業が始まり、農薬散布の日は休
校となり、その後池や川や田んぼの生き物がことごとく死に、生き物が消
えていった、追い討ちをかけるようにして水路がコンクリートの3面貼り
になり、完全に生物が死に絶えたということを自身の体験として持ってい
る事も行動の原点です。


○ 学校でのビオトープ作りは簡単だったのでしょうか?

その後、横田氏自身のお子さんが通う学校にビオトープを作ろうと進めた
が、ビオトープのよき理解者の校長転任後の新校長の理解が得られず、結
果夏休みに取り壊されたことがあるそうです。その学校では以後ビオトー
プづくりは行われていません。


○ 学校ビオトープを作りはそれで終わったのですか?


ビオトープに理解ある校長の転任先稲毛第2小では、校長を先頭にPTA
のみならず地域ぐるみの参加でビオトープが作られました。子供達はビオ
トープとともに生き生きと過ごしています。
今も学校授業の休みの第4土曜日に学校の授業とは全く別のビオトープを
使った学習会が「いのちの日」として小学生以外に地域の人や卒業生(既に
高校生になった子)も参加して行われています。もちろん年間計画を組み立
てるのはNPOの横田さんの仕事。建築士という忙しい仕事もこなしなが
ら子供達の笑顔を見たくてと頑張っていらっしゃいます。



○ ビオトープの効果はなんでしょうか?


ビオトープの教育効果が分からない、先生方は、ビオトープはやっかいも
のでしかないように感じると言われる横田さん。確かに休みもボランティ
アで出なくてはいけないし、地域や行政との交渉また付き合いもあり、時
間的には厳しいです。

しかし、ビオトープを作って子供達が人間以外の生き物の命の尊さも人間
と同じことに気がついたときに、子供達は何が大切なことかの本質に気づ
き、生き生きとするのです。

それが教育の基本となることを分っている先生はビオトープを通した教育
を理解し、支援してくれます。早く多くの校長先生や先生方に理解して欲
しい。だからこそ私は色々な学校のビオトープ作りを支援しています。今
でも複数の学校のビオトープ作りに協力しているところです。



―――――――――――――――――――――――――――――――――
      ★  スクールビオトープ実践校のご紹介 ★
―――――――――――――――――――――――――――――――――


茨城県石岡市にある石岡小学校。関東3大明神祭のひとつ「総社祭(そう
しゃまつり)が行われる総社宮のすぐ傍にあります。
学校の敷地は奈良時代の国府がおかれたところで、今でも運動場には遺跡
が埋まっているとか。
お祭りを一週間後に控えた9月8日にお伺いしました。

石岡小は前号に寄稿いただいた「NPO法人アサザ基金」の飯島さんの指
導で4年前にビオトープを作り、学習の様子はTBSで「ぴょんぴょん池
でみーつけた」という番組で紹介されました。

取材にご協力いただいたのは本多校長先生、藤代教頭先生、それに今回ビ
オトープを使った授業を実践されている4年生の担当 吉沼 育子先生。
3人の先生方は今年4月より一緒に石岡小学校に赴任されたとのこと。


以下インタビューの内容をお送りします・・・


★4年前にビオトープを作られて、いますが、ビオトープを使った学習は
 ずっと続いているのでしょうか

残念ながら、途切れてしまっているようです。今年4月に赴任してから
ビオトープがあることを知り、それではやってみようと始めました。

★4年生を対象にした学習ではどんな点に注意をされましたか

総合学習で育てる力を明確にして、単なる体験で終わることなく活動する
ことが大切であること。しっかりしたカリキュラムと指導計画を立て、教
科学習との関連性を図りつつ、豊な学力、確かな学力を身につけさせる事
この2点に注意をして年間計画を4年生の先生方で話し合われました。

4年生の現状分析では
・進んで課題を見つけたり、考えを練り上げる力が弱い。
・挨拶や会話するなどのコミュニケーションを苦手とする子が多い。
・自分の考えに自身を持つことができず友達の言動に左右されることが多
 い。


これを改善する為のポイントとして以下の対策を実施しました。
・地域の自然に働きかける自然体験・社会体験を積み重ねる。
・地域の人材を始め多くのゲストティーチャ―に話を聞く。
・調べ学習や発表会だけではなく、話し合い活動を重視する。

★具体的にはどんな成果がありましたか

身近な学校ビオトープと触れ合う体験をすることにより、子供達は具体的
な課題を見つけることができ、解決していこうとする意欲が生まれた。

6/28に中間発表を行うことを告げ、計画を立てさせました。6月には
自然博物館の職員の方にきていただき自然観察会を実施。
その後6/30にアサザプロジェクトの方が来られて環境授業をして下さ
いました。その時に学校にビオトープを作ったいきさつ、そして霞ヶ浦へ
への思い。と環境保全の大切さを知り、子供達は次の課題を見つけること
ができました。

奇しくも7/5に鹿島鉄道の石岡駅の構内にアサザプロジェクトの皆さん
が「駅ビオトープ」を作る予定だったことを知り、4年生20数人と教師
保護者らも参加して「ミニ霞ヶ浦」をつくりました。
ミクリ、オニバス、アサザ、マコモなどの植物を植え付け、学校の池から
メダカやタニシを採って移しました。地元の新聞が取材して下さいました。
このビオトープの名前も子供達が命名、各クラスで3−4個の候補を考え
投票で決定。ビオトープにたくさんの生物や人が集まって欲しいとのこと
で「あつまれ池」に決定。自分達で看板を作り、夏休みに駅に掲示しまし
た。

今後10/6にアサザの植付けに参加、10/17にはアサザの群生を見
る予定になっています。


★活動のステップを教えてください。


 月  ステップ        活動内容
―――――――――――――――――――――――――――――――――
4月 課題を掴む わくわくタイムの活動を進めるためのオリエンテーシ
         ョン。 
         ビオトープを調査する上での疑問、課題を明確にする
         グループ編成し、内容検討。解決方法を考える。

5− 調べる  課題解決にむけ、調査、聞き取り、実験、観察などの
7月 @A   計画を立て、実行。ゲストティーチャ―の話を聞く。
        研究発表をもとに自分なりに、中間発表をし、意見交
        換。内容をビオトープから霞ヶ浦に発展させ自分達の
        考えを話し合う。

7− 調べるB 実際に恋瀬川、霞ヶ浦へ見学に出かけ、動植物の様子を
10月     観察。護岸工事の見学、水質調査を行う。アサザの植付
        を行う。クラスの枠をはずし、課題ごとにグループを再
        編、活動の見直し、修正を行う。

10−まとめる 各グループの課題に従ってまとめを行う。発表会実施。 
11月     調べたことを聞き手に分りやすく伝えるよう工夫する。

11月 生かす 研究の結果を掲示板で知らせたり、全校児童にむけ放送
        したり、街角情報センターに掲示したり、地域の人に配
        布したり、呼びかけして学びの共有化を図る。


★4ヶ月の間にいろいろなことができましたね。


ひとつは学校のバックアップ、校長先生始め、4年生の先生方の協力をい
ただきました。
2つ目は アサザプロジェクトの方や自然博物館職員の方などゲストティ
ーチャ―の方々そして地域の方との触れ合い、PTA方々の協力です。

環境教育は学校の中だけではできません。専門家、地域の方々との連携が
大切です。

― ありがとうございました。 

ここに紹介できなかった詳しい資料をいただいています。
関心のあるかたは最後のメールアドレスまでご連絡ください。


―――――――――――――――――――――――――――――――――
  ★  コラム 「そういえばそう、考えても見なかった」  ★
           トンボの生態を見て気づいたこと
―――――――――――――――――――――――――――――――――
                 C.W.ニコル氏


イギリスにいた少年の頃、私はしばしば釣りに池や川へ行ったものだ。
そしてトンボがぐるぐる旋廻したり、ビューと早く飛んだりするのを眺め
て楽しんだものだった。
イギリスではトンボを「狩をする奴」「追いかける奴」「突進する奴」な
どに識別している。

一番大きいトンボは皇帝トンボ(Anax imperator)で、それらは温かい、
晴れた日にだけ飛び回る。大きさといえば全長10cm以上と大きい。
もう一種の大きい奴はブラウン ホーカー(茶色の狩する奴)だ。
突進したり追いかけたりする種類のトンボは自分の縄張りへの侵入者に対
して追い払ったり、捕食したりする以外は長い間留まる。

私はイトトンボはトンボと殆ど近い種類だということは知っていた。
しかし、それらが、同類とは思ってみなかった(西洋では同種になってい
ないため)、イトトンボはやせていて弱弱しく飛ぶ。休むときは羽を背中
にくっつけるし、頭の上にある目は、離れていてくっつかない。それらは
魅惑的でもなく、興奮もさせないが、強い従兄弟(トンボ)に比べると愛
らしくて、カワイイ。

私が12歳の時、生物学の先生が私たちに生きているヤゴの生態を詳しく
教えてくれた。ヤゴはオタマジャクシや小さなトゲウオを捕まえる。私た
ちはそれを聞いて恐れた。

しかしながら、トンボの交尾の様子をみてすごいことだと発見したのはつ
い最近のことだ。水の中から這い出た時にはまだ成熟しきっていない。

オスがつがいになる準備をするときには、自分の腹部の端にある精嚢をは
がす。そして体の下側にある別の袋にしまう。
交尾したいメスの周りを飛び回りながら、一匹のメスを見つけると飛びな
がらメスの頭の傍を足で捕まえる。
飛びながらオスは自分の尾を下へ巻いてメスの頭の後ろをしっかり掴む、
それで足を絡める。オスとメスは前後一列になって並び、それが数時間続
く。結局はメスはオスの腹部の下にある袋から精子をとるために自分の尻
尾を中に引っ張る。

メスの卵はこのようにして受精させる。このつがいは自分達の卵を植え付
けるまでは一体となって飛びつづける。

他のことでも、私が気がつかなかったことある。これまで何千回もトンボ
を見ているのに、それは何かというと トンボは留まったり、掴んだりす
ることはできるのに、足を使って歩けないということだ。

不運なことにイギリスでは汚されていない流れや、みずみずしい植物の生
い茂った土手のある池が大変減少している。したがってトンボは大きく減
少している、しかし蚊のように害を成すその他の水生の昆虫は減ってはい
ない。

高知県中村市のトンボ王国のように、日本では自然環境の大切さに気付い
た人たちがトンボの住処を取り戻そうとしている。しかし、トンボの棲む
美しい環境を取り戻すのにはまだまだ、時間がかかりそうである。
なぜならば、それはまだ多くの市民と企業と行政を巻き込んだ裾野の広が
りをみせていないからだ。

 


★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

┃  発行者: 株式会社トンボ  環境事業企画室
┃ 【スクールビオトープ メールマガジン】
┃       〒700-0901
┃       岡山市厚生町2−2−9
┃       Tel 086-232-0304 Fax 086-223-5644        

┃     URL:http://www.tombow.gr.jp          

★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★


前のデータを表示

後のデータを表示

バックナンバートップへ