[発行日:2003.11.28] vol.3 コラム 杉村 光俊氏 21世紀 学校ビオトープは 学校の必需品、自治体とビオトープのかかわりについて 

 
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☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆[発行日:2003/11/28]☆☆


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  もくじ 【1】 自治体とビオトープのかかわりについて
     
      【2】 ビオトープ管理士研修会の報告
         
      【3】 コラム 杉村 光俊氏 
           21世紀 学校ビオトープは 学校の必需品 

      【4】 エコプロダクト展に参加します
          

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こんにちは。株式会社トンボ、環境事業企画室の小桐です。
11月も早月末とはいえ、岡山では例年以上に暖かく、つい先日まで
夏物を着た日もありました。確実に温暖化が進んでいるのではないか
と危機感を募らせる最近です。


今回は行政、地方自治体とビオトープの関わりについての取
材をさせていただきました。


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   ★  1.自治体とビオトープのかかわりについて   ★
        佐賀市 「トンボ王国・さが」づくり
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○ 佐賀市 環境課、みどりの課に見る ビオトープの管理・運営


先月の半ば、弊社福岡支店の社員が 西日本新聞 10月12日で佐賀市
の中心部 神野(こうの)公園にトンボ池があると教えてくれたのがきっ
かけで、佐賀市役所の環境課を訪ねていろいろお話を聞いてきました。

JR佐賀駅に降り立つとあまり大きくは無いが、シルバーのトンボのオブ
ジェを発見。佐賀は以外にもトンボの里だったのだと再認識した次第です。
あまり大きくないのは目立ちすぎることはあまり好まない佐賀県の人の県
民性なのでしょうか そういえば今年歌手の塙さんが歌って有名になった
「佐賀」ですが、雨の日ということもあるのかしっとり、落ち着いた印象
の町です。

佐賀市の「トンボ池」づくりは歴史が古く、1989年のふるさと創生事
業がきっかけで始まったとのこと。
旧鍋島藩主の別荘であった神野公園の池を改良して出来上がりました。
トンボ池は50mプールを一回りほど大きくしたくらいの大きさでした。

池の中央には木製の渡り廊下が鉤状に作られており、池の真中からトンボ
が観察できるようになっています。
池の外の通路には陶板で色々なガイドがつくってあり、訪れた人が知識が
なくても、そこに飛び交うトンボの名前や、池の植物の名前がわかる様に
なっていました。

さらに池の端にある東屋には「トンボの一生」や「トンボの産卵の仕方」
「トンボの捕り方」を紹介した陶板があり、ここに来ればトンボの生態が
わかるようになっています。また、トンボのメガネというガラスで作った
複眼があり、トンボが見る世界を体験できるようになっています。
この他、小学生向けと中学生向けそれぞれにトンボクイズの陶板もあり、
楽しくトンボの事を学べるなと感心しました。

佐賀市の環境課を訪ねるとさらに熱の入れようがわかりました。
佐賀駅のオブジェ以外に佐賀市のシンボルとして「トンボくん」というマ
スコットキャラクターも誕生しています。
さらに、「トンボ王国・さが」のパンフレットも準備されています。

同市では環境教育については環境課が担当され、トンボ池の管理はおとな
りのみどりの課が担当されているとの事。
両課に委託を受けて支援をされているのが「トンボ研究会」というNPO
のグループです。
地元の先生やサラリーマンなどが集まり、1994年から活動をしている
との事です。HPも立ち上げておられ、しっかりした活動であることが分
ります。

神野公園のトンボ池は人工的に造成された池なので定期的な管理が必要と
のことで生えすぎた草抜きや外来種の駆逐など植生管理をトンボ研究会が
主体でされています。
頭の痛いのは外来種の移入。公園内の隣の池と水路がつながっているので
網はしているものの、外来種の魚の稚魚がいつのまにか入り込んで来ると
の事です。

同研究会は環境教育プログラムを実施されており、佐賀市が開催する「ト
ンボ教室」の内容立案や運営をされています。この教室は春から秋にかけ
て5〜6開催され、5回以上参加すると佐賀市が認定する「トンボ博士」
の認定証がもらえるようになっています。
「トンボ教室」のフィールドは佐賀市や近郊のトンボのいる森や川などで
毎年30人ほどがコンスタントに参加する教育プログラムとして定着して
います。

さらに「トンボ王国・さが」の目玉は「トンボ写真コンクール」今年で
14回目を迎えるこのコンクールは、高校生までの「ジュニア部門」と
「一般部門」があり、全国からの応募があります。

9月で応募は締め切られ、すでに入選者も決定、12月2日から7日まで
佐賀市立図書館で入選作品が展示され、最終日には表彰式が行われます。
同時にトンボの注連縄(しめなわ)づくりもトンボ研究会の方の指導で行
われるとのことです。自治体のしっかりしたビオトープに対する取り組み
とトンボ研究会とのタイアップのかたちがよく見えてきました。

神野公園には小学生たちが授業で観察にも来ているとの事です。佐賀市の
ビオトープとスクールビオトープの関わりや、トンボ研究会の方々の学校
ビオトープへの支援については今回お話が伺えなかったので、今後さらに
お話を伺いたいと考えています。   


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     ★   2.ビオトープ管理士研修会の報告    ★
  自然と共存する農村整備事業の実態
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去る9月16,17日 日本生態系協会主催のビオトープ管理士会の研修
会があり、参加しました。

先述の佐賀市のビオトープによる環境教育とは別の視点で、国や自治体が
農業の現場と関わりあいながら地域のビオトープづくりを支援するという
実例を学ぶ機会がありましたのでご報告したいと思います。


岐阜県内における 自然と共存する農村整備事業の実態見学

1.岐阜県 谷汲村
大垣市より北に1時間ほどの所に位置する谷汲村。太古の沼地を水田にし
て利用をされていますが、重い農機具を使うと地盤が沈むなど過酷な農業
条件。田んぼより、用水路が低く、生物が遡上しにくい状況をいかに近自
然工法を使い、遡上ができる条件をつくるかに取り組んだ事例です。

そもそも谷汲村は、絶滅危惧種1B のカワバタモロコの生息地として良
い自然環境環境を持っています。
ぜひ、地域の宝であるカワバタモロコとその生息地を残したいと、農林水
産省、岐阜県、地域の地権者方々の協力で、田んぼのビオトープが作られ
地元谷汲村小学校のビオトープ活動と連携して、村の誇りとして残し、維
持することができるようになりました。

田んぼのひとつを実験的に年間水をはることに了承して、さまざまな生物
の往来を可能にしました。
水を汲み上げるのにモーターを回す必要があり、電気代は毎月1万円弱発
生しますが、これは農林水産省が負担をしているそうです。

通常は水路と田んぼはほぼ同じ高さで、生息する生物は比較的自由に行き
来ができますが、谷汲村では田んぼと水路の高低差が3m近くもあります。
そのままでは遡上は不可能です。ではどうしたのか

3mの落差を10cmの段差で1u四方の広さの落差をつけて螺旋階段状
にしました。これまでの経験で10cm程度の落差は魚の遡上には問題が
無いだろうと言われていましたが、今回の実施で確認できたと、成果に自
信をもたれました。

この田んぼビオトープは地元の谷汲小学校の5年生が観察を続けています。


2.岐阜県 輪之内町
木曽川と長良川にはさまれた地区。ほ場整備によりカワバタモロコの繁殖
地が失われる可能性があるので、代替地として、近くの老人ホームと小学
校の間の水路と水田に谷汲村と同様の遡上施設をつくり、近くのマコモの
移植を行い、カワバタモロコの生息環境を作りました。現在も生息地を広
げている最中です。

この水路と田んぼは、近隣の仁木小学校のビオトープ学習の場ともなって
います。個人の田んぼではあるが自然環境を理解をしてもらい借用いてい
ます。しかし、ヌートリアが遡上して来るなど問題も出ているそうです。

仁木小学校は今年度の全国学校ビオトープコンクールに応募されたそうで
す。結果が楽しみです。



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 ★ 3.コラム 21世紀 学校ビオトープは 学校の必需品 ★
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トンボと自然を考える会常務理事          杉村光俊氏


インターネットや最新マルチメディア機器、留まるところを知らない情報
化社会は私達の暮らしを一層便利にしてくれています。一方、様々なメデ
ィアを通し絶え間なく流れ出てくる数多の情報は、時に私達を受動的生活
に陥れる危険性をもはらんでいます。

こうした高度情報化社会にあっては、自己の存在をしっかり認識したうえ
で、本当に必要な情報を選別する能力を身につけることが大切だと言われ
ています。
そのため折りに触れ能動的に行動する習慣を持つことが肝要で自らが意識
しなければ何も感じさせてくれない身近な自然との関わりは特に効果的と
思われます。

例えばセミやスズムシの声、草間を飛び交うイトトンボあるいは小径の傍
に咲く野の花、どれをとっても聞こう、見ようとしなければその存在にほ
とんど気付くことはないでしょう。

池や川の底泥に潜んでいるヤゴともなればなおさらです。それでは早速近
所の山や川にといきたいところですが、自然体験の乏しい子供達からすれ
ば大きな自然はいささか扱いづらいもの。
トンボを見に行ったつもりでも、ザリガニやカメに遭遇すれば興味の対象
はすぐにお引越し。ハチや毒ヘビ、ハゼの木など負(?)の材料の存在も悩
みの種。

そこで注目したいのが学校ビオトープ。
安全かつ適度な情報量を持つミニチュア自然環境の中で小動物の見付け方や
行動観察の方法などを勉強していけば、大自然の中でも集中力を失わず目
的通りの行動ができるようになること受け合いです。
さらにはこうした体験を通じ、情報化社会をよりよく生き抜く能力も高めて
いって欲しいと思います。

近くにきれいな川や海があってなお、学校にプールが必要であるように、
環境の世紀ともいわれる21世紀を背負う子供達にとって、学校ビオトープ
はなくてはならない必需品といえるでしょう。

 
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     ★  4.エコプロダクト展に参加します   ★
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来る12月11日〜13日まで有明にある東京ビッグサイトにおいて
日本最大のエコイベント エコプロダクツ 2003が開催されます。

弊社も昨年に引き続き、2回目の参加をします。

ブースは正面入り口のやや奥側 テーマ展示の左奥です。 
ブース番号は188番です。トンボ学生服/株式会社トンボのサインが
目印です。

今回の目玉は小学校5年生を対象とした「環境授業」です。
ペットボトルをリサイクルして作ったユニフォームやとうもろこしと綿
から作った環境にやさしいポロシャツの展示を通して、子供たちに
「なぜ、地球環境を守らないといかないのか」「地球はどうやってできた
のか」についてパワーポイントを使い10分程度の授業を行う予定です。

そのほか、当社が支援する「トンボ絵画コンクール」の作品も展示させて
いただきます。

時間の都合のつく方はお立ち寄りください。環境と子供たちの未来について
考えてみませんか。当日はトンボ学生服の法被姿でお迎えします。


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┃  発行者: 株式会社トンボ  環境事業企画室
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┃   □ URL:http://www.tombow.gr.jp          

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