[発行日:2007.10.31] vol.34 熊から考える日本の自然破壊、プロジェクト ワイルドの紹介 他1件  

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★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行日:2007.10.31 ━★


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こんにちは、トンボ環境事業企画室の小桐です。まもなく11月霜月です。で
すが、あと2ヶ月近くで年が変わるとは思えない晩秋の季節感です。今月は
私が10月に参加した環境教育を中心におおくりします。



   もくじ 【1】熊から考える日本の自然破壊 
            

       【2】「高校生が里山保全活動体験」
            東京都立南平高校 1年生


       【3】小学生がゲーム体験から考える自然の大切さ
            プロジェクト ワイルドの紹介



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       【1】熊から考える日本の自然破壊
                 

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森は植物と動物によって形作られています。しかし、このところの温暖化の
影響で、奥山、里山での生物相が変化を起こしているところもあり、生態系
のバランスが崩れてきています。
そうなると一番初めに被害を受けるのは大きな動物。
今日本では、ツキノワグマが絶滅寸前、ツキノワグマが絶滅するとき、森も
破壊され、豊かな水も枯れ、将来的には日本人自体が滅びると言う研究家の
発言もあるようです。

現在日本に棲むツキノワグマ(以下クマ)は約1万頭。この数字多いと思いま
すか?少ないと思いますか?
人間は1億2700万人以上います。しかも昨年だけで、クマは公表数字47
00頭が捕殺、実質6000頭が捕殺されています。
なぜ、捕殺するかというと表向きは害獣。里に現れて作物を食い荒らすから
ですが、実はそれだけではない人間の経済欲が絡んでいます。 
熊の胆といえば 貴重な薬として知られていますが、この胆だけで1頭50
万円から100万円の値段がつくそうです。奥山では貴重な収入源として考
えられています。
クマは本来、森の奥にひっそり棲んでおり、見かけと正反対で大変臆病、9
9%が草食で肉食は1%蜂蜜とともに蜂などの昆虫を夏に食べるそうです。

クマはなぜ、里へ降りて来るのか、数が増えたからだと勘違いがあります
が、山での餌不足が原因です。戦後の針葉樹の植林で広葉樹が減り、それに
加えて酸性雨でドングリの木が枯れたり、温暖化の影響で、昆虫の生息域が
変化して、マツノマダラカミキリやクサブ~オトシが北上し、成熟途中のど
んぐりを落としたり、木の成長点をいためたりして、ドングリの数を少なく
しています。だから、これまで食べないといわれたアラカシを熊が食べてい
るそうです。
温暖化は、さらに、次のような影響を与えます。ブナ、ミズナラの花の咲く
時期が変わると昆虫の発生にも影響が出て、自然のサイクルが狂う。また、
落葉前の積雪で枝が折れる結果、翌年実をつけるべき枝が減り、どんぐりが
減る。冬の寒さが足らないと芽ぶきの時期を木が間違え、寒さが続いている
中で小春日和に春と勘違いして芽を出し、結果ナラ類の芽などが凍害に遭
い、葉が出ないなどの弊害がおきます。

クマはある意味、害獣でなく、被害者と言えます。クマが棲めない森は、人
間にとっても悪い環境なのです。間伐もしない針葉樹の森は、保水力の低
下、土砂崩れの危険性の増大を招き、林床を含めた生物の多様性を失う事に
なるのです。さらに、温暖化は空気中の水蒸気含有量を増やすため、私たち
が使える水はさらに減るのです。
クマが棲む森は人間にとってもありがたい森です。クマが絶滅するときに、
私たちも生きてはいけない環境に森はなっているのです。

このクマと私たちが棲める森を守るために15年前から中学生と女性の先生
が兵庫県で保護活動を始めました。クマを守ることが自分たちの将来を守る
と分った子ども達は、高い志を持ったそうです。その瞬間から、勉強しろと
いわれなくても自主的に学習し始め、クラスのいじめもなくなったそうで
す。そして、自分のためでなく、誰かのために行動することの素晴らしさを
体験したそうです。
そのグループが、現在 日本熊森協会となって活動を続けています。この先
生は、自分が立ち上がるしかないと教師を辞められ、日本国中を回っておら
れます。 下記のHPにアクセスしてみてください。

    http://homepage2.nifty.com/kumamori/




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       【2】「高校生が里山保全活動体験」
          東京都立南平高校 1年生


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東京都の西部、裏山が多摩動物公園に隣接する都立南平高校、この学校で新
しい学習が始まります。それは、里山を保全する体験授業です。
奉仕の時間に多摩動物公園に生える笹刈りを行い、里山を知り、同時に生物
の多様性を確保しようというものです。

この授業の指導をするのは、当社も支援する「森の聞き書き甲子園」の実施
母体のひとつであるNPO法人 樹木環境ネットワーク協会。
同協会が認定したグリーンセイバーという自然環境や生態系に関する系統だ
った知識の検定試験での合格者で、里山保全の技術を持った方々です。
里山とは何か、なぜ里山保全を行う必要があるのか、自分達が住む南平地区
はどのように変わってきたのかなど事前学習を行い、その意義を知ってから
笹刈りを行います。

私もこのメンバーに加わり、パワーポイントを使い、地球誕生の歴史、
化石燃料を使う今の暮らしが非持続的な暮らしであり、将来世代に負の遺産
を背負わせるものであること。有限な資源の埋蔵量の実態、自然とともに暮
らす里山の生活が必要であることを紹介しました。
その後は、里山の生活に関する詳しい解説を他のメンバーで行いました。
実際自分たちの住む暮らす町がどのように変化しているかを体験してもらお
うと、大正から平成まで7つの時代の土地利用について白地図に色鉛筆で、
色を塗り分けてもらいました。川はブルー、森林は緑、田や畑は茶、住宅地
は赤。そうすると昔多かった緑(森林)がだんだんと赤に変り住宅地が増え
ていくのがわかります。実際人口は大正時代と比べて20倍近くも増えていま
す。田や畑も少なくなってきた状況も浮かび上がりました。
話を聞くだけでは飽き気味だった生徒達も、白地図塗りは結構面白かったら
しく、雰囲気も打ち解けて来ました。
最後に11月から12月にかけて実施する笹刈について、はさみやのこぎり
などの道具の使い方、服装、注意事項などを説明し終了。だんだんと期待感
が高まる生徒の表情が見られました。

日本人のこれまで培ってきた伝統的な里山の暮らしは、化石燃料に頼らな
い、自然界のエネルギーをうまく利用し、自然の恵みを持続的に利用するラ
イフスタイルです。同時に様々な種類の生物が暮らせる生物多様性を実現す
る空間でもありました。化石燃料や資源を豊富に使った生活の中で育った今
の高校生に、里山の暮らしが如何に大切であり、これからのライフスタイル
として重要であることを今回の授業を行うことでどこまで伝えれるかが課題
であると同時に、体験してくれた彼らがどのように価値観を認め、興味を持
ってくれるかが楽しみでもあります。



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      【3】小学生がゲーム体験から考える自然の大切さ
         プロジェクト ワイルドの紹介


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アメリカで開発された環境教育プログラムでプロジェクトワイルドというア
クティビティ集があります。
実に160を超えるアクティビティプログラムが用意されていて、幼稚園か
ら、高校生までそれぞれが、レベルに応じてゲームを体験しながら、環境、
生態系について知り、考えることができるようになっています。

アクティビティを実施する人はファシリテーター、エジュケーターと呼ば
れ、日本では、上級指導者ファシリテーターは350名、エジュケーターは
8500名ほど存在しています。
学校や地域などの自然環境教育の場でアクティビティを行っています。

今回、東京都杉並区のすぎなみ環境博覧会2007の中で、子ども達と一緒
にアクティビティを体験しました。

様々な動物の写真を用意して、野生動物と家畜、ペットの違いを考えさせる
アクティビティや、野ねずみが狐につかまらないように餌をたべる鬼ごっ
こ、鹿が生き延びるために必要な、水、餌、棲家を「要素」と「鹿」に分か
れて求め合い、数が増えたり、減ったりすることを体験するゲームなどがあ
りました。

ゲームの後は、なぜ、生き残ったのか?それはどのようにしたからなど振り
返りを行い、そこから自然とは、野生とはどのようなことなのかの解説を行
います。子ども達が感じ、考え、行動する力を育てるアクティビティプログ
ラムとして、継続的に学校教育の中で実施できるならば未来を担う人材が育
つのではないかと感じた体験でした。

プロジェクトワイルドのHPは以下です。

       http://www.projectwild.jp/projectwild.php



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