[発行日:2008.06.30] vol.42 地域と共に足立区立桑袋ビオトープ公園, コウノトリの生息地を守り育てる新田Eプロジェクト 他1件

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★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行日:2008.6.30 ━★



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  ★☆★トンボ・エコフォーラム掲示板を開設しました★☆★

 環境学習(自然環境教育・消費者環境教育)に関心のある先生や
 NPO法人会員、保護者の方の情報交換の場としてご投稿をお待ちし
 ております。お気軽にご利用ください。
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こんにちは、トンボ環境事業企画室の小桐です。明日からは7月です。梅雨
の最中の日本列島ですが、田んぼでは中干しも近づく頃でもあるようです。
今号は3つの話題をお送りします。一昨日は豊岡市で汽水域の葦原に棲むヒ
ヌマイトトンボや世界で一番小さいハッチョウトンボを見る事が出来まし
た。棲むことができる環境があるからこそ続く命を強く意識しました。


  もくじ 【1】地域と共に 足立区立桑袋ビオトープ公園
 



      【2】コウノトリの生息地を守り、育てる新田Eプロジェクト
 

           

      【3】全国学校ビオトープコンクール報告書完成



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      【1】地域と共に 足立区立桑袋ビオトープ公園


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< ビオトープの名前がつく公園 >
東京都の東北部に位置する足立区。桑袋ビオgープ公園は開設4年目を迎え
ました。閉校した旧桑袋小学校の跡地に作られた都内でも珍しい ビオトー
プの名前がつく公園です。スタッフの谷口さんにお話を伺いました。
ここは、すぐ傍を日本で一番水質の悪いといわれる綾瀬川が流れ、水質を改
善のために国土交通省が中心となり、清流ルネサンス事業として浄化を実
施、園内に水質浄化施設も併せ持っています。

< 水質が悪い理由 >
この公園は綾瀬川と伝右川に挟まれていて、伝右川の水をバイオコードを使
った施設で浄化して、1秒間に220リットル(風呂1杯分)を綾瀬川に、そ
の1/10を園内にある池に流しています。
綾瀬川の水質が悪い背景には、川の勾配が緩やかであることとこのあたりが
感水域で(真水と海水が混ざる手前の真水だが海の干満の影響を受ける地
域)であることも要因として上げられるとのことです。

< 桑袋ビオトープ公園の動物 >
汚いといわれる綾瀬川ですが、川の中や沿岸、周辺部には結構生き物は棲ん
でいます。
ビオトープ公園の池には当初いなかった生き物でヌマチチブ(ダボハゼ)、
モツゴ、ハゼ類、ドジョウなどが浄水槽を通ってきたりや鳥によって運ばれ
てやってきています。
鳥類はバンが営巣をしており、今年は1羽の雛が誕生。年複数回産卵するバ
ンはその年の長兄が後にうまれた雛の世話をするというけなげな鳥ですが、
アオダイショウやハシブトカラス、ハシボソカラスなど卵・雛の天敵は多い
とのことです。
そのほかにも、カワセミ、カワウ、カワラヒワなどの鳥がやって来ます。近
所に大鷲(おおとり)神社の社寺林があり、営巣しているようだとの声。さ
らに、今年からカルガモが営巣をするようになったとのこと。この日もカワ
ウがやってきて池に潜っては魚を獲っていました。

< 池の中の植物 >
池の中を見渡すと、池の周囲には色々な植物が見られます。ガマが2年目か
ら、アシが3年目から生え始めたとのことです。いつのまにか柳も入ってき
ています、ハンノキは事前に植栽しました。このビオトープ公園は、保護で
なくて、開発される前の元もとのこの地区の自然を復元しようとするものな
のです。園内のもうひとつの池には珍しい大賀蓮が植えられていて、地域ボ
ランティアの方々が増えすぎ無い様に管理されて
います。

< さまざまな人が利用 >
区立の公園だけあって様々な人に利用してもらおうと色々な取り組みがなさ
れています。近くの小学校にはビオトープが無いとのことで子ども達は学校
が終わると普段でもこのビオトープ公園に遊びにやってきます。
近くの保育園の園児が毎月体験にやってきたり、養護学校の生徒が遠足に来
たり、近隣の桜花小学校からはクラス単位で年に2〜3回授業にやって来ま
す。
また、「環境アート作品展」と題して地域の園児や児童が撮影した植物、動
物の写真パウチにして公園内に貼ってあって、解説版の役割も果たしていま
す。土日や祝日を中心にしたクラフトや観察会などのイベントも開催されて
います。

< ボランティア育成は教育から >
中でもユニークな取り組みは、地域のボランティアの人たちと一緒になって
ビオトープの維持管理を行っているところです。それも、ボランティア応募
者には月1回 2年間里山の管理の大切や生物多様性の大切さなどを伝える
講義も行い、月2回の施業を一緒に行っています。3年目からの3年間は自
主活動を水辺中心に行ってもらっています。

これまでに1期生8人、2期生12人が契約して活動中。1期生は平均60
代、2期生は50代が中心と少し若返りをしているとのことですが。仕事を
持ちながらでも休日に自然復元の仕事をしたいという人の若年齢化が進むの
であれば裾野が広がって、喜ばしいこととは説明してくださった谷口さんの
弁です。

谷口さん達は出前授業で区内の小学校にも出かけ学校ビオトープづくりの指
導もしています。園内のあやせ川清流館ではさまざまな体験ができるコーナ
ーや水槽で魚が観察できるコーナーもあります。

写真 
地図 http://www.city.adachi.tokyo.jp/031/d07300216.html
HP http://www.adachi.ne.jp/users/biotop/



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   【2】コウノトリの生息地を守り、育てる新田Eプロジェクト 


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< コウノトリと共に暮らす町 豊岡 >
兵庫県の北部にある豊岡市、この町を南北に流れる円(まる)山(やま)川は勾
配の非常に緩やかな川。河口から12kmの所でも海水があり、カレイやア
ジが獲れるそうです。この町はかつて日本のどこにでもいたコウノトリとも
う一度、一緒に暮らせるようにしようと一度は絶滅した野生のコウノトリの
人工飼育を行い、43年かけて増やし自然の中で繁殖できるように環境整備
を進めている町す。

< 流されたポプラの木 >
この町を襲った台風で円山川の堤防が70年ぶりに決壊したのは2004年
10月のこと。小学校の校庭のシンボルだったポプラの切り株が流されまし
た、ただ、流されたポプラの木は偶然田んぼの中にあたかも根付いているよ
うに立っていてモニュメントとして残しました。
その後萌芽更新もし、若木を挿し木にして校庭に植えています。

< 新田Eプロジェクト活動開始 >
毎日100人以上のボランティアが自分たちの生活の復興のために活動を
し、全国からの励ましや支援物資を頂いた。御礼の気持ちを伝えたくて自主
的に企画、開催した新田小学校の「新田感謝祭」。この経験から「新田Eプ
ロジェクト」が発足しました。新田は小学校名からとりました。「E」の4
つの意味 1.エコロジー(人と自然の関わり) 2.人を取り囲む環境  
3.緊急非常事態 4.楽しむことをあらわしています。メンバーは新田小
学校の児童・卒業生で編成、現在53名が参加しています。(5年生から中
3まで)

< 新田Eプロジェクト活動内容 >
子ども達は、自分達が台風を経験したことから、世界各地で発生した異常気
象に目を向け、世界は繋がりあっていることを認識し、自分の行動がはるか
に海を越えて繋がることを学びました。2006年9月に地元では、コウノ
トリが長い人工飼育を経て放鳥されました。環境問題を捉えるには地元の事
をもっと知る必要あると考え、新田のことを調べ始めたのです。新田はもと
もと穀倉地帯、翌年田んぼの役割を認識しました。

< コウノトリを育む農法を学ぶ >
コウノトリとの自然共生を目指すために行われている「コウノトリを育む農
法」=たんぼの生態系を生かして無農薬で稲作を行い、コウノトリが棲める
環境を作ること を知ったのです。
自分達もその農法をやりたいと、改良事務所の指導を受け実践しました。冬
水田んぼにしようと、田んぼに水をはった当日にコウノトリがやってきまし
た。

< コウノトリが野生で生活できるために行うこと >
コウノトリが棲めるビオトープをつくるのに予算が30万円かかるがない。
自分達で森林組合に木材賛助をお願いしたり、PTAの人の協力を得たりし
て魚道設置ができました。おかげで、ナマズも、メダカも見られる冬水田ん
ぼとなりました。 

田んぼの中にあるトロトロ層、これが重要だと学び自分達で実験。米ぬかを
撒いてアミミドロを発生させました。はじめは臭かったが攪拌して匂いがな
くなり、雑草も生えずに、生物も豊かになることを確認しました。
田植えはトロトロ層を壊さないようにするために、みんなで入らずに、田植
え機で植え、最小限のダメージとしました。でも、ホウネンエビ コナギが
いなくなってしまったのです。トロトロ層が十分でなかった、ビオトープ作
成時に一時、乾かしたことも原因かなどその後調査も行いました。昨年まで
に4回実施しています。

< コンビニミニストップでのおにぎり販売依頼 >
出来た米はすでに、学校給食では月2回ほど使っています。このコウノトリ
を育む農法でつくった米のおにぎりをコンビニで販売してくれるように学校
の近くのコンビニに依頼しています。がまだ実現はしていません。本部に話
してくれたか定期的にコンビニの店長を訪問しているそうです。

< 学校としての支援体制 >
素晴らしい活動を展開する新田Eプロジェクトですが、学校の授業ではな
く、任意の活動です。学校としてもこの活動は続けていけるように今年から
サポートする先生を2名に増やしました。校長先生も活動の日には一緒に参
加することもあります。このほかにもコウノトリ観察隊というグループも活
動しており、いかに学校の環境授業として取り組むかはこれからの課題で
す。余談ですが、縁あって、今月アサザ基金の飯島代表が同校を訪れ、環境
授業をしました。

< これからの活動 >
田んぼだけを良くしてもコウノトリは自然の中では暮らせないということに
気づき、かつて営巣をしていた近くの里山、三(み)開(ひらき)山の保全につ
いてこの夏休みに地元の方々のお話を聞いて保全活動を始める予定です。里
山の保全活動により、水をきれいにすることとアカマツの林を復活させ、営
巣を可能にすることを狙いとしています。

< 利用されなくなった里山 >
かつては、アカマツを燃料として使い暮らしていたが燃料革命により森から
の恵みを活用しなくなり、孟宗竹が生い茂る山になっているという現状を近
所に住む方からたまたまお聞きする事ができました。三開山につながる北東
部に現在、コウノトリの郷公園があります。アカマツの植林のための幼樹が
植えてありましたが、丈は70cmほどでした。アカマツ林の復活の先は長
いようです。

< つながる命、つながる未来 >
翌日、豊岡市長のお話を聞く機会がありました、説明の中に48年前に小学
校に通う子ども達の横にいるコウノトリの写真がありました。そしてコウノ
トリの放鳥後再び同じ光景が戻ってきたという写真も見ました。2羽のコウ
ノトリが学校に通う子ども達を見送る光景です。

人工巣塔を設置し懸命に守ろうとする命、その巣塔を利用し育とうとする
命、人とコウノトリ 形は違っても心はつながっているのです。
田んぼの中に色々なものが帰って来ました。カエル、ドジョウ そして子供
たち。 子ども達の活動が未来を育む気がしました。

新田小学校、並びに近隣の写真です。コウノトリも見る事ができました。
 http://www.tombow.gr.jp/Biotope_melmaga/08.6.30/1.pdf
 
新田小学校のHP
 http://www2.city.toyooka.hyogo.jp/edu/school/nitta-es/

兵庫県立コウノトリの郷公園
 http://www.stork.u-hyogo.ac.jp/



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      【3】全国学校ビオトープコンクール報告書完成


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「全国学校ビオトープ・コンクール2007」報告書の無償ダウンロードサービ
スを開始しました。下記のアドレスで「目がかがやいているね、ビオトー
プ」の画像をクリックすれば、ダウンロードが開始されます。
 アクセスはこちらから  http://www.ecosys.or.jp/eco-japan/

また、印刷物の報告書(A4判)も無償で配布いたします(送料別。配布部数が
終了し次第締め切ります)。ご希望の方は、氏名、所属、連絡先(TEL、 FAX、
e-mail)を明記し、返信用封筒(角形2号[A4判]、240円切手同封、宛先明
記)を添えて、下記までお送りください。

▼お申し込み・お問い合わせ:
(財)日本生態系協会 コンクール報告書係
〒171-0021 東京都豊島区西池袋2-30-20音羽ビル
電話:03-5951-0244



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