[発行日:2010.05.27] vol.67 森の聞き書き甲子園が映画館で上映、ビオトープは人と未来をつなぐ生きた教室 船島小学校ほか

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┃     QQ     【スクールビオトープ メールマガジン】
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┃  ⊂≡⊃‡⊂≡⊃        vol.67
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┃     ┃ 株式会社トンボ 環境事業企画室
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★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行日:2010.5.27 ━★


こんにちは、トンボ環境事業企画室の小桐です。
4月に続き5月も寒暖の差が激しかったように感じる月でした。
天候の不順は、植物への影響があり、当然野菜の価格に反映する、自然
の恵み無しには生きられない事を強く感じている今日この頃です。

今秋、生物多様性に関する国際会議が名古屋で開催されますが、少しず
つその話題が周りでも感じられるようになりました。さる22日は国際
生物多様性の日でした、各地で植樹のイベントなど開かれたようですが、
皆様如何過ごされたでしょうか? 今回はその日の取材と弊社にまつわ
る話題を提供させていただきます。


   もくじ      
           
      【1】森の聞き書き甲子園が映画館で上映 
        
         
      【2】ビオトープは人と未来をつなぐ生きた教室
           東海市立 船島小学校

      
      【3】オーガニックコットンに挑戦

       
            

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       【1】森の聞き書き甲子園が映画館で上映
                 
           
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前号でもご紹介した高校生「森の聞き書き甲子園」。これまで8年間の実
績がいよいよ社会に広く紹介される時がやってきました。

失われつつある日本人の伝統的な暮し方、自然の恩恵を活かし、自然と共
に生きてきた祖先の暮らし。それを支えてきた伝統的な森、山、里の仕事。
ここで途絶えてしまうかもしれない日本の伝統を高校生達が取材を通し、
その価値を記録したドキュメントとして映画、TVで紹介されます。

COP10が開催され、日本人の持続可能な暮らし方が注目されるタイミングだ
からこそ、意味合いが深まる気がします。

これまでにグリーンTVでも紹介されていたのですが、
http://www.foxfire-japan.com/mv/movie02.html

本格的な映画としてこの秋から上映されます。
ドキュメンタリー映画「森聞き」(もりきき)として公開予定です。
監督は、一昨年に映画「ひめゆり」で話題となったプロダクション・エイシ
アの柴田昌平さん。
「森の名人」と高校生の出会いを、豊かな感性で描いています。
この夏からマスコミ向け試写を随時開催する予定です。
http://www.asia-documentary.com/morikiki/

映画の概要の他、三浦しをんさん、阿川佐和子さんのメッセージも御覧く
ださい。

また、NHK BSでも秋に聞き書きを紹介した1時間番組が放映されます。
詳しい日程は分かり次第ご紹介します。

映画はこれから、自分の人生を考える年代である中学生、高校生に是非
観て欲しいものです。今、トンボグループでは、第9期生の応募をして
頂くように全国の学校に告知中です。



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      【2】ビオトープは人と未来をつなぐ生きた教室
           東海市立 船島小学校
      
            
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国際生物多様性の日の5月22日 小職は今年の全国学校ビオトープコ
ンクールで「国土交通大臣賞」を受賞された 愛知県 東海市立 船島小
学校の総合学習とビオトープを通して地域の自然と人を守り育てる「船ビ
オ」総会の取材をさせていただきました。

2月のビオトープコンクール発表会では船島小学校のビオトープの住人
「フナビオ」と「ビオゾー」のマスコットキャラクターが大活躍。
その熱心さと校長、教頭のビオトープを使った教育への取り組みの素晴
らしさに惹かれての訪問です。 

この日は、登校日として予め決められていて全学年がビオトープを使った
公開授業を1日展開しました。保護者、地域、OBも授業の見学やサポート
を行い、「こんな授業見たことない」を経験させていただきました。

地域、専門家、家庭を巻き込んだあまりに素晴らしい取り組み内容と学年
ごとのテーマや学びの仕組みづくりは1回では紹介し切れません。
3回に分けてご紹介をしたいと思います。
 第1回目は 船島小学校とビオトープ紹介(ハードとソフト)
 第2回目は 授業における各学年の取り組みと外部のサポート
 最終回は  フナビオ総会と今後について

<ビオトープの歴史>
船島小学校は名古屋市の南、知多半島の付け根、東海市にあります。
6年前からスタートした同校のビオトープ活動、「昭和50年代の
東海市の豊かな自然を取り戻そう」を合言葉に活動が続いています。

<船島小ビオトープ活動の特徴>
@地域の自然再生と学校のビオトープ活動、それにビオトープを使った教
 育・学習活動が連携し、システムとして機能していること。
Aシステムとして機能するための組織整備と記録の蓄積がきちんと出来て
 いることです。
Bさらに人材のリンクがあります。専門家を含む多様な立場の人々が交流
 し、未来を創ろうと協力し合っています。

その母体となっているのが「フナビオ会」2005年11月にビオトープ
を作ろうという発足しました。フナビオは船島小のビオトープ略称です。

<フナビオ会とは>
同会は、学校の児童、教師、OB 、地域の方、ビオトープの専門家が集う
「ビオトープの創作・運営母体」です。
当初の児童達のこんなビオトープがあったら良いの思いを基に、学習、意
見交換を重ね、ビオトープ造成から今日の維持管理までに至っています。
年1回の総会開催と 毎月1回の活動日を決めてビオトープ維持管理活動
に取り組んでいます。

<総合学習の教育カリキュラム>
各学年が取り組むテーマが決められています。
1年生 生きもの、植物と触れあう
2年生     〃            
3年生 昆虫と自生植物の関わりを知る学習
4年生 樹木の関心を高める学習
5年生 地域の生きものがビオトープで繁殖するための学習
6年生 水をテーマに 学習

< 学習のスタート フナビオとふれあう会>
年1回 外部講師を招いた授業。 全学年がビオトープを使った取り組み
で年間の授業のテーマを体験します。それが取材日の授業でした。

保護者にも関心を持ってもらい、関わってもらう、未就学児童の関心を高
める、OBの愛着をさらに高める、児童には専門家による質の高い授業を提
供。非常に意義のある授業形態であると得心しました。

<ビオトープの紹介>
船島小は広い校庭の周りをビオトープが囲んでいます。林、草原、水辺が
あり、地域の自然とつながっています。もともと水辺はありませんでした
が、地下30mの井戸を掘り、水を汲みあげ、流れを作り、近隣の川へ戻
しています。 安全にも配慮してあり、近隣の幼稚園児が誤って転落して
も事故にならず、水辺の生きものも安心して棲める環境を作っています。
ビオトープの配置図、ならびにマスコットキャラクター、ビオトープコン
クール発表会の模様はこちらからどうぞ

http://www2.tombow.gr.jp/merumaga/save_up/5-file_ZwpLm5.pdf

<学習意欲を高めるフナビオレンジャー>
授業以外にフナビオ会のビオトープ維持活動に従事すると5回以上でレン
ジャー2級、さらに10回と検定試験合格で1級のレンジャーになれます。
レンジャーは見学者への説明など行なう事ができ、意欲を形として評価す
るシステムも出来ています。

メルマガで十分に紹介できない部分は船島小 ビオトープのホームページ
をご覧下さい。分かり易くかつ、詳細な説明があります。

http://www.funajima-e.aichi-c.ed.jp/k_biotop/biotopframepage.htm



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        【3】オーガニックコットンに挑戦
                 
            
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世界で一番多く着られている繊維は何でしょう?   木綿です。
世界で一番多く農薬を使う農業生産物は何でしょう? 木綿です。
株式会社トンボが創業時に作っていたのは何でしょう? 木綿の足袋です。

遠く平安の頃に崑崙人によって伝えられたといわれている木綿。日本では
江戸中期の1750年代頃から各地で栽培されるようになりました。

瀬戸内海に面する岡山県玉野市で起業した当社の前身三宅商店は、瀬戸内
で作られた備中棉の織物を使って足袋の製造を始めました。
その後、この足袋の生地を活かし、洋装化に合わせて小学生の制服を使い
今日に至っています。ただ、現在の制服は耐久性、高級感から羊毛とポリ
エステルから作られています。

岡山といえば制服とジーンズの生産が有名で、岡山地元の備中綿を使った
ジーンズも生産されています。国民文化祭の今年の当番県である岡山では
昨年から、地元備中綿を使った作品展示や商品開発などが盛んです。

当社でも、環境授業でそして見学者や社員へ、創業の頃は農業と繊維工業
が一体だったことを伝えたいと、プランターならびに社有地で木綿栽培を
始めました。

5月初旬に頂いた綿の種を蒔きました。昨年より、各地の和棉のタネを頂
く機会があり、河内木綿(大阪)、大島(東京)、備中紅綿、備中棉さら
には、アメリカ棉まで集まりました。それぞれ遺伝子汚染が起きないよう
に離して栽培しています。

専門家に栽培方法などを教わり実践中です。あくまで無農薬栽培にこだわ
るので除草や害虫も無農薬で手作業でケアをしています。
発芽して3週間ほどになりますが、今年にはなかなか気温が上がらず発芽
も5日から2週間ほどかかり、はらはらの毎日でした。 

やはり、地元の備中棉は土が合うのか発芽率が高いです。残念ながら、
米綿と備中紅綿がすべて発芽しないことが確定的となりました。紅綿は
プランターでも発芽せず、楽しみにしていた赤茶色の綿が今年は見られそ
うもありません。

藍も傍に栽培しており、こちらの生育は順調。藍染のオーガニックコット
でマイバッグづくりの授業をするという企画の第1歩目が進んでいます。

土作りの難しさ、害虫、雑草との闘いの厳しさを実感する毎日です。
生物多様性、食物連鎖という言葉を実感すると共に農業と工業はつながっ
ていると体感する良い機会です。

発芽した状況と現在の状況の写真はこちらからどうぞ、今後、成長の様子
もご報告します。
発芽した様子
http://www2.tombow.gr.jp/merumaga/save_up/5-file_zANYnO.pdf

本日の様子
http://www2.tombow.gr.jp/merumaga/save_up/5-file_ZXvHqM.pdf


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