[発行日:2010.04.26] vol.66 第8回森の聞き書き甲子園フォーラム報告,桜川中学校里山授業2年目の報告会ほか

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┃     ┃ 株式会社トンボ 環境事業企画室
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★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行日:2010.4.26━★


こんにちは、トンボ環境事業企画室の小桐です。
4月も末になりましたが、今月は寒暖の差が激しくでとても体調管理が
大変だったのではないでしょうか?菜種梅雨もいつもより長いと感じま
した。町では真新しい制服に身を包んだ生徒さんが多く見られます。
衣替えまで忙しさが続く制服業界です。

4月4日と8日にNHKで放送された 弊社の制服の残り布の高校生とのコ
ラボ企画はあちこちで色々な反響をいただきました。学校からの申込み
が全国から5校、NPOからの申込みが1件、他にも個人の方からも問合せ
をいただきました。多くの方々からの声に触れ、更なる社会貢献の意義を
感じる今日この頃です。

今回は前月行なわれた2つの発表会とアサザのその後をご紹介します。

   もくじ      
           
      【1】第8回森の聞き書き甲子園フォーラム報告
        
         
      【2】桜川中学校里山授業2年目の報告会

      
      【3】アサザ基金飯島代表 国土交通大臣に面会


      【4】トンボ 環境ホームページ一部リニューアル  

      

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       【1】第8回森の聞き書き甲子園フォーラム報告
                 
           
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去る3月28,29日に江戸東京博物館、江東区海の森埋立地でフォーラ
ムが開催されました。
今年から、森の聞き書きに加えて、「海の聞き書き」の5名が加わり、総
勢105名の8期生が無事卒業しました。

初日の江戸東京博物館では、森と海の名手・名人の認証、聞き書き甲子園
8期生の修了書授与に続き、
1.海と森の聞き書きに参加した高校生へのインタビュー
2.初めてとなった海の聞き書きの模様の映像の記録紹介
3.優秀作品を書いた代表高校生と名手・名人へのインタビュー形式での振
り返りが行なわれました。インタビュアーは例年通り夏の聞き書き研修の
指導を行なった阿川 佐和子さんとNPO共存の森ネットワーク理事長 塩
野 米松氏(作家)です。

初日の後半は、会場を移し、高校生が夏の研修グループに分かれて、名人は
どんな人で、聞き書きをとおして自分がどう成長し、今後どのように行動す
るかのグループ討議が行なわれました。明けて、29日は、東京都が進め
る都市での森づくり事業を体験するために、海の森と呼ばれる中央防波堤内
側埋立地での植樹と埋め立て中の土地の見学を行ないました。

< 基調講演 >
「農山漁村の暮らしと価値観」 
NPO法人 森づくりフォーラム 内山 節氏(東京世田谷生まれ 群馬在住)
東京生まれの演者が、都会と長野県の山村を行き来しながら感じる「森のあ
る暮らしの安らかさ」について語ってくださいました。

地域の人に助けられて生きている。何も不安のない安心した暮らし。
東京の暮らしはお金があるときだけうまくいっている。お金がなくなるとど
うしようもない、村はお金と違う安心。山菜が出るとお金がなくても一日の
おかずくらい出来る。 墓も上野村に作った。 という言葉が印象的です。 
同時に、村には沢山の神様が祭ってあり、自然そのものに神を感じた日本人の
感性は、無事で安心を保証する生き方だった、一方一生無事で生活する事が
難しい時代、世界レベルで無事でない世界。 昔の無事な時代を作ってきて
人たちに話を聞いて無事な時代を作って行くべきではないのかと締めくくら
れました。
詳細はこちらからどうぞ 
http://www2.tombow.gr.jp/merumaga/save_up/5-file_ZpzV13.pdf


< 優秀作品紹介 >
8年で800本以上の作品ができた。皆表彰したいが代表者に登壇してもら
った。聞き書きをしてくれて有難うと理事長で作家の塩野 米松氏の挨拶で
高校生達に終了証書が手渡されました。

今回は初めてとなった海の聞き書きの名人と高校生の取材の模様が映像で流
されました。
この映像も「聞き書き映像化プロジェクト」の作品として大学生が取材、
構成したものです。
海川の作品賞受賞  筑波大学附属坂戸高校 吉井萌さん。名人は神奈川県
横須賀市でシラス漁を営む 岩崎 晃次さん。

初めての「海の聞き書き甲子園」は、漁をする名人を中心に5人実施。 海に
興味ある人が手を挙げてくれました。 吉井さんは 海のない埼玉出身、海
に憧れ 海と森の関わりを見られたら良いと感じて応募。 普段目にしない
海が広がっていてびっくりしたとの感想。名人は3代目、家族経営、漁で捕っ
た魚を加工し、販売。漁師で金儲けをしようと思っていない。漁師は消費者
においしいものを届けるのが使命と語った岩崎名人。当日はシラス漁が忙し
くビデオでの出演となりました。
海で魚が育つには、川の水が大事。プランクトン豊かな 水を求めてシラス
が寄って来る。山がないと海が汚れる。名人は海のことだけでなく、川のこ
と山のことなどいろいろ知っていると吉井さんは感想を述べました。ビデオ
の内容はこちらからどうぞ
http://www2.tombow.gr.jp/merumaga/save_up/5-file_Fdyo7t.pdf

< 名人・高校生インタビュー >
その後、阿川 佐和子氏も加わり、名人と学生のインタビューが6組行なわ
れました。建築でどの木をどこに使うかを決める「木あて大工」でお宮の神
楽を教えたり、高校生に地域のことを教えたりしている名人。優良材生産の
名人。代々続く草木染めの名人など様々な話を聞く事が出来ました。
学校・授業がつまらないと感じて悩んでいた高校生が学校にいかなくても素
晴らしい仕事ができる名人がいたと新たな発見をしたり、名人の人生や仕事
の取り組み方に感動を受けたりと高校生から様々な感想が聞けましたが、異
口同音に名人は優しかったと語りました。森や海と関わり自然を相手に仕事
をする事がそのベースにあるのではないかと感じたインタビューでした。


2日目は森づくりの植樹活動を行いました。
自分達が植樹した後がどのような森になるのか期待しながらそれぞれの帰途
につきました。



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       【2】桜川中学校里山授業2年目の報告会
                 
            
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これまでに何回かご紹介してきた東京板橋区の区立桜川中学校2年生の里
山授業。この2年間で8回を数えました。昨年3月に続き、2回目の発表
会が3月12日に行なわれました。(現在は3年生になっています)

この1年間の授業の振り返りを「里山新聞」という形で全員がパソコンを
使い、写真や自分で調べたこと、体験したことを製作。さらに発表の練習
を行い、優秀者8名が全員の前で発表しました。講師役の樹木環境ネット
ワーク協会の桜川中サポーターとともに発表を聴講しました。

冒頭校長より、『桜川中学校の里山体験授業は今後も継続し、学校の教育
の特徴の一つにして行きたい』との発言あり大変嬉しく思いました。

この桜川中2年生の中には、都内読書感想文コンクール2年連続入賞を2
名の女子生徒が果たしていて、里山授業だけでない同校の教育の素晴らし
さを改めて認識しました。


里山授業の発表は8名が登壇、練習の成果を披露してくれました。抜粋で
ご紹介します。

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3回のフィールドワークで自然の強さ、楽しさを学んだ。笹刈りは楽しか
った、未開の地を開拓して動物が棲める環境を作ることが出来て嬉しかっ
た。ヨーロッパオオカミのコーナーの解説板を見て、昔ニホノオカミが日
本にもいたが1905年に絶滅した、それまでイノシシ、シカを食べてい
た生態系の頂点の動物がいなくなったことで生態系のバランスを日本は失
っている。失って初めて気づく(生物多様性の)重要性。生態系ピラミッ
ドを人間が壊している。
(自然を、環境を守るために)自分に何ができるか? 自然を好きになる
こと自然や動物を大切に思うことだと思う。

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里山とは、人が手を入れて管理してきた自然のこと、中学に入って知った
言葉。動植物の観察、植物の観察をすると エネルギーの元 4つの要素
を取り入れて生きている。 水、光、空気、土に植物は支えられている。
生物は光合成によって循環している。
人間はモノの大切さを忘れて自然を破壊している。里山が解決策だと感じ
る。里山をベースに香り、音、感触を学び解決する方向に向う事ができる。

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3回の保全活動、初めは余り興味がなかったが、森の中は楽しかった。
だんだんと楽しくなってきた。リース作りが一番楽しめた。班で協力して
作り、売られていないオリジナル品の制作ができた。
昔は自然の中に喜びを感じていた。自然から学ぶ。 エコ家庭チェック表
でチェックしてみた。自然と親しみ、共に暮らすことが本来だと感じた。

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里山に住む。生物を守るために保全活動をする。 炭の効果は ご飯を美
味しくする、水の浄化、消臭剤、木酢液の利用。
自然からの恵みを最大に活かす事が大切だと感じた。多くの生物を知ると
楽しい、楽しいことを伝えられる。聞いた人が興味を持ったら自然を大切
にする人が増える。

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事前授業で里山に関する知識がだんだん深まった。 古民家再生プロジェ
クトが印象に残った。ススキを使って茅葺屋根、壁は粘土質の土など自然
からできる材料が少なくなってきているのは温暖化のせい?
海外で日本の古民家が見直されてきているのはすごいことだ。自然を大切
にする意識が必要。今何ができ来るかを考える事が大切。
人が自然を守ることの大切さを伝えるNPOの役割を知った。


これまで、森の事など考えたことがなかった彼ら、木を切ることは悪いこと、
自然はそのままが良いと盲目的に信じてきた彼らが、森の中で様々な体験を
することで、しっかりした自分の意見を持つまでになりました。
この経験を生かして成長してくれることを祈ります。

新年度からは新しい学年での里山授業が始まります。
発表会の模様はこちらからどうぞ
http://www2.tombow.gr.jp/merumaga/save_up/5-file_CLbZWL.pdf



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      【3】アサザ基金飯島代表 国土交通大臣に面会
                 
            
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懸案の霞ヶ浦の水位問題、4月1日に飯島代表が前原国土交通大臣に面会
直接要望を行ないました。

みなさま

 昨日4月1日午後4時半、国土交通省大臣室にて、前原国土交通大臣と
会い、霞ヶ浦の水位問題と逆水門の柔軟運用案について要望を行いました。
その中で、前原大臣は「水位を下げられるか検討することを指示した。」
「逆水門の柔軟運用に関しては実現可能か調べる」と明言しました。
大きな前進だと思います。
尚、話し合いの場には、辻元清美副大臣と公共事業チェック議員の会会長
大河原雅子議員も同席され、問題解決に向けた有意義な意見を述べていた
だきました。
また、大臣とは霞ヶ浦で私どもが進めている市民型公共事業についても、
意見交換をすることができました。今後の施策に反映されることを期待し
ています。
 ただ、大臣へ国交省の官僚らが事前レクをしていたため、「アサザは増
えている」等といった偽りの情報を先に入れられてしまい、立て直すのが
大変な場面もありました。官僚というのは本当にスゴイ連中ですね。大臣
からの指示があったとはいえ、今後河川局側がもみ消しにかかることは必
至ですので、しっかりと攻めていきたいと思います。
みなさん応援よろしくお願いします。

                       アサザ基金 飯島 博




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      【4】トンボ 環境ホームページ一部リニューアル
                 
            
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NHKの全国放送の反響もあり、ホームページでの環境学習サポートのページ
を更新しました。学校からの素材提供や出前授業の申込みや成果の確認を
ビジュアルにお伝えするためです。

出前授業の実例や申し込みフォームも新たに付け加えました。
また、これまでの出前授業のメニューに加え「環境学習の総合コンサルティ
ング」を行えるように相談の申込みページを設けました。環境に取り組みた
いが何から始めたら良いかやビオトープづくり支援、これまでの環境学習を
基に総合学習の時間は削られるが他の教科とあわせてうまくやりたいなど色
々なニーズに対応するためです。これまでの活動により、環境学習のコンシ
ェルジェ(指南役)としての情報提供やサポートをさせていただきます。
といってもトンボが学校の全てをサポートするのではなく、他の団体、NPO
などとうまく連携しながら助成金の活用も提案しながら進めるものです。 
一度ご覧下さい。

環境学習サポートのページです。
http://www.tombow.gr.jp/eco_project/ecogakusyu/index.html


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