[発行日:2010.08.30] vol.70 トンボを描く 未来につながるスケッチ会 島の暮らしに持続可能な未来を探すほか

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┃     ┃ 株式会社トンボ 環境事業企画室
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★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行日:2010.8.30 ━★


こんにちは、トンボ環境事業企画室の小桐です。
立秋を過ぎ、暦の上では秋ですが、厳しい残暑が続いています。
皆様いかがお過ごしですか?

潟gンボの地元岡山では、12日間連続の猛暑日で連日35℃を越す暑
さ夜も26日連続の熱帯夜となっています。
全国では、今夏4万人を超す方が熱中症で救急車で運ばれたとか
一方北海道では、猛烈な大雨で各地で被害がでました。

これから食卓に登るはずのさんまは今年は日本近海にはまだ居ないとのこ
とです。あきらかに異常気象というか、ついに気候変動の端緒が現れたと
言うべきなのでしょうか
これまでの私たちの便利を追い求めた結果が今現れていると反省し、これ
から少しでも気象への影響が少なくなるように行動したいものです。


   もくじ      
           
      【1】トンボを描く 未来につながるスケッチ会
            

      【2】3本柱の活動で、地域、自然、未来とつながる
           船橋芝山高校 科学研究部


      【3】島の暮らしに持続可能な未来を探す
           矢掛高校 白石島研修


      【4】オーガニックコットンに挑戦 綿(わた)が出来ました




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      【1】トンボを描く 未来につながるスケッチ会 
                 
            
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トンボの飛び交う豊かな自然環境を取り戻し、後世につなげたい。
その思いを形にしようと25年前より協賛を始めた「WE LOVE トンボ」絵
画コンクール(朝日新聞、朝日学生新聞主催)は今年で四半世紀を迎えます。

この活動を茨城県のNPOアサザ基金が側面から支えてくださり、毎年8月
に地元の小学生を対象に「トンボのスケッチ会」を開催してくださいます。
今回は、8月4日に、牛久市神谷小学校横のビオトープで行なわれたトン
ボのスケッチ会の模様を紹介します。

快晴の朝、スケッチ会に参加数する元気な子ども達が捕虫網とカゴを持っ
て集まってきました。親子連れも数組。最終市内の2小学校から20数名
の児童の参加でした。

ご存知の通り、神谷小のビオトープは、アサザ基金の指導のもと整備し、
色んな生きものが帰ってきたビオトープです。前回の学校ビオトープコン
クールでは、国土交通大臣賞を受賞。でもそれは、人間の判断。トンボな
ど多くの種類の生きものが帰って来てくれて初めて認められるのです。

「何種類のトンボが観察できるか楽しみだ」ととアサザ基金代表の飯島さ
ん、スタッフの面々と一緒に参加者は池の傍や林の傍などトンボが飛んで
いる場所をあちこち歩き網を振りました、もちろん昔昆虫少年だったお父
さんの目つきが変わったのはいうまでもありません。

最初に捕まえた種類は、シオカラトンボ、低空飛行をするアジアイトトン
ボ。ナツアカネもがんばって捕まえる事が出来ました。

ギンヤンマはスイスイ飛んでいてなかなか捕まりません。20分ほどして
やっと捕まえる事が出来ました。

池の横の林縁部では、オオシオカラトンボが発見できましたが、簡単には
捕まりません。木に止まった瞬間をねらってアサザのスタッフが一振りで
見事にゲット。きれいなブルーのトンボが網の中に居ました。
遠くウグイスの鳴き声も聞こえていました。オメデトウと囀ったか?

こうなるとなんとか捕まえたいのはオニヤンマです。先ほどの林とは反対
の方に側溝があり、木が茂って産卵できそうな環境に近いのですが水が少
なくてオニヤンマが現れるかな?そんな状況でしたが、参加者の気持ちを
察してか1匹のオニヤンマが登場です。結構高いところを飛ぶので子供の
高さでは捕まりません。

このスケッチ会のスポンサー茨城トンボの社員田村さんが動きを予測して
網を振ってとうとうメスを捕まえました。

その後は、虫カゴに入れたトンボを観察しながら思い思いの絵を描きまし
た。大きく描いたり、トンボを捕まえる風景を描いたりと千差万別です。
がんばって2作品描く児童もいました。トンボを描くだけでなく、どんな
ところに居たかも思い出して描くといいよとアドバイス。

そんな間に、ナツアカネがオオシオカラトンボに食べられてしまいました。
頭からムシャムシャと齧り、生存競争の厳しさを垣間見ました。
参加者の中から受賞者が出ると嬉しいのですが、それは審査員の方々にお
任せ。それ以上にトンボを追う、描く楽しさが原体験として残ってくれれ
ばこれにまさる成果はありません。そこから発展があれば又あり難いです。

当日の模様はこちらからどうぞ
http://www2.tombow.gr.jp/merumaga/save_up/5-file_SRgv1u.pdf



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    【2】3本柱の活動で、地域、自然、未来とつながる
           船橋芝山高校 科学研究部
                 
           
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これまで度々紹介している船橋芝山高校科学研究部。2月のビオトープコ
ンクール以来久しぶりの登場です。1学期終了前に新部長が決定、1年生も
初めての女子部員も含め4名入部し、総勢10名の所帯となりました。

同部は、芝山湿地の生態系の保存、ホタル生殖研究、地域との連携の3本
柱で活動を行なっています。
ビオトープコンクールでの受賞はあくまで経過点、それをベースにしてさ
らなる進化を続けていく姿がそこにありました。

女子新入部員の2名のうちの一人志津利さんに入部の動機を聞いてみました。
昔から生物には興味があり、入学後のヘイケボタルの水槽を観てそのおもし
ろさに惹かれて入部したとのこと。生徒も集まれば、先生も集まります。
顧問教師は近藤先生を加え3名に充実。

今回は特に動きのあった「ホタル生殖研究」「地域との連携」について紹介
します。

< ホタル生殖研究 >
今年は「昼のホタルの観察会」と銘打って夜に見られない生徒のために、部
員が知恵を出してホタルを昼間に光らせました。
5/21より暗室を準備、タイマーをセットして1週間で45分ずつ夜の時
間をずらしました。これを8週間続けてホタルに昼夜の時間を逆に感じさせ
ることに成功しました。3日間で30名の生徒が見学に訪れました。

一方この期間幼虫からの羽化率が通常の1/4位と悪かったことが判りこれ
から原因を究明をしていきます。

一方、同校の近隣に位置する印西市の亀成川に棲むゲンジボタルが数が少な
くなっているとの相談を受け、これまでの繁殖技術を活かして今後増殖にも
チャレンジする予定になっています。

< 地域との連携 >
7/23には近隣の幼稚園のお泊り会にホタルを水槽ごと派遣、園児達に観
察をしてもらいました。翌日には5月に近隣の小学校にあげた470匹のヘ
イケボタルの羽化後の勉強会OBも参加して行ないました。精力的に地域と
の交流を続けています。

そのほかの研究課題として県内養老渓谷のタゴガエルの調査、三番瀬の貝の
調査なども行なっており、活動の幅が広がっています。学校ビオトープから
発展して地域の生態系へも研究、保全の対象を広げる同校の科学研究部。
これからの活動が楽しみです。


 
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    【3】島の暮らしに持続可能な未来を探す
           矢掛高校 白石島研修
                 
            
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昨年のこの時期にご紹介した岡山県立矢掛高校の白石島研修。ESD(持
続可能な開発のための教育)の一環として行なわれる研修に新しい動きが
ありましたのでご紹介します。

7/17 28人の生徒が白石島へやってきました。昨年と違うのは、O
Bの大学生が5名も参加してくれたこと。
白石島の2日間の研修で体験したことを学校に持ち帰り、自分達の研究課
題として9月以後取り組みますが、その課題設定のためにOBとしてでき
ることを手伝いたいという思いでの参加でした。


2日間のメニューは初日の午前中に白石島の公民館館長 天野さんに島の
概況を伺い、50年間放置され、メタンガスとヘドロがたまった島の緩衝
池の視察、午後はシーカヤックで島の裏側へ移動し漂着ゴミの現状を確
認します。夜は、無形文化財白石踊りを島民の方々と一緒に踊り、2日目
は、島の高台までの遊歩道整備を午前中に行い、午後から自分達の今後の
学習テーマを見つけるためのグループ討議と代表によるパネルディスカッ
ションを行ないました。

新しい動きとは、初日の午後 同島で栽培されている元禄綿(島古来の和
綿)の畑と有志で行なっている綿花栽培後の糸紡ぎ、機織の現場を視察す
るメニューが加わったことです。2回目の参加メンバーとOBが主体とな
って天野館長に案内され、栽培の現場に向かいました。

初めて見る綿花畑と綿の花、小学校の体育館跡に設置された昔から使われ
ていた綿繰り機(タネを取る手回しの道具)、篠を作るための弓、糸車、
機織など江戸時代から続く道具の数々。 天野館長がそれぞれの道具の使
い方を説明し、実際に種取りや糸紡ぎを体験しました。

18世紀半ばから日本で普及した綿花栽培はそれまでの麻と比べて1/5
の手間で繊維製品を作ることができ、布団の綿にもなったので当時の日本
人にとっては、大変な衣料革命でした。瀬戸内海では肥料となる魚も豊富
だったので、各地で栽培されました。現在のジーンズや制服が地場産業と
して残っているのもこの綿花栽培のお蔭です。

右手と左手の感覚だけ行なう糸車を使った糸紡ぎは慣れるまでが大変。実
際に体験してその難しさに学生達はびっくり。産業革命がおきたことで量
産が行なわれ、繊維製品が普及することでその貨幣価値はだんだんと下が
り現在に至っていますが、手仕事の原点を体験し、持続可能な暮らしの一
端に触れる事が出来ました。

来年はさらに多くの生徒に糸紡ぎを体験させたいと指導する室先生は話し
ておられます。お金を投入し、ボタンを押すことで何でも手に入る今の日
本の社会システム。労働の原点とその意味を知ることで、未来が見えて来
るのではないかと仰います。来年は同校でも綿花栽培を計画するそうで温
故知新の中に新しい何かが生まれる事が期待されます。
研修の模様はこちらからどうぞ
http://www2.tombow.gr.jp/merumaga/save_up/5-file_uqadqP.pdf



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   【4】オーガニックコットンに挑戦 綿(わた)が出来ました

                         
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8月の残暑が厳しい最中に綿が結実しました。18株のうち4株ほどが実
をつけました。本当に受粉するのだろうかと心配していたので嬉しい反面、
こんなに早く結実したのはなぜ?の疑問が湧きました。
5月1日に撒いてから4ヶ月未満での結実です。

種を分けていただき、和棉のシードバンクを営まれている鴨川和棉農園の
田畑代表に確認すると、プランター栽培の場合 今年のように残暑が厳し
いと朝晩2回の水遣りでも土が乾燥するため、根が水を吸収出来なくなり
秋が来たと勘違いをして結実するのだということ。

水遣りの量が半端ではないことを思い知らされました。

結実したのは地面に近い第1番目の花だったところ上部はまだ花が咲く前
の蕾が沢山ある状態です。これからもしっかりケアして行きたいと思いま
す。

天候と農作物の関係にいまさらながら驚かされる日々です。
結実した様子はこちらからどうぞ
http://www2.tombow.gr.jp/merumaga/save_up/5-file_Axv3O9.pdf


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