[発行日:2008.07.30] vol.44 コラム C.W.ニコル氏 生物多様性は可能性に通じる、いのちの森の竹取物語 

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★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行日:2008.7.30 ━★



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      【1】 コラム 生物多様性は可能性に通じる
               C.W.ニコル氏


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  僕達がアファンと呼んでいる小さな林の25年にわたる活動の原理原則
の一つは、この森を健康的で生物の多様性に満ちた森に戻すことだ。

日本の森は南の端の西表島から北は知床半島まで連なり、素晴らしく豊かで
多様性ノ富んだ生命を育んできた。だが不運なことに、特にこの数十年で、
人間の手により、この豊かな森が壊されてきた。

しかしながら、古い森が持つ生命の営みの機能(食物連鎖)は、まだかろう
じて残っている。私たちが野生生物を入植させるのにふさわしい空間や棲み
かを作り直す事が出来れば、生物多様性を取り戻すことは可能だ。

例えば、僕達が活動を始めた時、新しく植えた若木の根っこをネズミがかじ
ってしまうことに悩まされた。その時はネズミを食べるフクロウを待ち望ん
だ。

森には洞(うろ)の有る古木がなかったので、フクロウのために巣箱をつく
り、設置した。するとふくろうが棲み付いてネズミを食べるようになり、被
害が減った。若木はどんどん成長するようになった。

今年になって初めてシラカバの木に小さな洞ができ、フクロウのつがいが棲
み付いて雛を育てた。私達は大変嬉しかった。
そこからそう遠くないところにまた新しいフクロウの巣箱を設置した、しか
し、これにはフクロウは棲み付かず、森にとって初めての種、ムササビが棲
み付いた。

その上、最近下草刈りと植林をして新しく森になった場所にアナグマも発見
した。昨日、松木さん、石井さんや他のスタッフと歩いている時にアナグマ
がミミズを食べるために掘ったと考えられる穴があるのをウッドチップを敷
いている小道で見つけた。

今朝は、長い間このあたりに棲んでいなかった新しい侵入者のイノシシが掘
ったま新しい跡が見つかった。

現在この森には、21種類の長野県の絶滅危惧種である昆虫、鳥、植物や動
物 が生息している。これからも今はいない絶滅危惧の生物がこの森にやっ
てくると自信を持っている。

北海道で開催されるG8サミットでは(この文はサミット開催前に書かれて
います。)地球に存在する生命の生存のためにきわめて重要なテーマである
生物多様性について話し合われるだろう。

日本は、どの地域も、人間以外の生物のために生息地が必要であることを理
解し、彼らを回復させる自然を協力して改善することで、ひとつひとつの場
所が持つ重要な役割を担うことができる。

生物多様性は、生物とその相互作用によって、多くの命が生存できるチャン
スをつくる。全体としての生命は常に答えや解決を見つけようとしているの
だ。私達は妨げるのではなく、手助けをしなければならない。

最近のアファンの森の様子です。

        http://www.afan.or.jp/



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      【2】 いのちの森の竹取物語 2008バージョン


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これまでに何度か紹介した 千葉・稲毛2小 いのちの森の活動。
今回は「夏の涼」と「森の恵み」を体験するイベントです。
竹を使い、自ら食器を作り、涼を食する。2週間にわたる準備とイベントの
模様をご紹介します。 竹取物語の始まりです。

< 竹取物語 第1章 >
晴天の7月5日 翌週に控えた「竹まつり」ならぬ「流しそうめんイベン
ト」の主役となる竹を切りに 親子連れ12名、スタッフ5名が参加して、
千葉県は袖ヶ浦市の竹林に向かいました。

戸外は30℃を超す暑さ、しかし、一歩足を踏み込むとそこは竹林の涼しさ
が感じられる別世界です。
同日の竹取翁は 稲毛2小の「いのちの森」の「命の水」の井戸掘りで、お
世話になった上総掘りの名人の鶴岡先生。
上総掘りの説明を聴いて、竹を使い井戸が掘れることが分った子ども達、そ
の後竹の切り方やのこぎりの使い方を習ってから竹伐りに挑戦しました。

< 竹取物語 第二章 >
12本ほどの大きな孟宗竹を切り倒し、それを5m強に伐って、枝払いを行
います。涼しいといっても少し体を動かせば汗が噴出。脱水症状にならぬよ
うに水分補給をしながら、児童と保護者が竹を切り、力を合わせてトラック
に積み込みました。 この竹林には真竹も生えており、食器用として持ち帰
りました。藪蚊との戦いまた、子ども達には良き思い出となりました。
竹取りの風景は以下です。

     http://www.tombow.gr.jp/Biotope_melmaga/08.7.28/1.pdf


< 竹取物語 第三章 >
7月13日のいのちの森の日は、お天気にも恵まれ、260名もの参加があ
りました。前週に獲った孟宗竹でそうめん流しの樋が作られています。つな
がれた竹の樋は、さながらヤマタノオロチのごとく長いものでした。

< 若いボランティア スタッフ登場 >
当日は千葉大学の学生3人がボランティアスタッフとして参加。環境学習の
次の代を担う若い人が加わってくれることは大変に嬉しい限りです。前日の
準備は夕方の激しい雷雨で途中止め、早朝5時からの準備で
なんとか間に合わせたとの事です。

< 竹と人間の生活の関わり >
いよいよイベントの開始、スタッフ代表 横田さんが、子ども達に「竹と人
間の生活の関わり」について話をします。
昔の日本人は里山とともに暮らしていた。里山とは、山、田、家、畑があっ
て、人間とさまざまな生物が共に暮らす社会だった。家の裏には竹藪があり
生活に欠かせないものだった。

< 竹の役割と見分け方 >
竹藪は 防風林の役目を果たし、地震のときの逃げ場にもなり、大切な食
糧、燃料にもなった。竹には、孟宗、真竹、破竹があり、それぞれの竹の性
質を利用して生活に利用していた。竹の見分け方は節で見分ける。
1本が孟宗、2本あるのが真竹と破竹。破竹は節がより黒く、粉を吹いたよ
うなくすんだ緑。

孟宗竹からはタケノコをいただき、真竹は箒や物干し竿として使い、破竹は
茶の湯の茶筅などとして使った。
プラスチック製品の普及等に伴い、竹が利用されなくなり、農家の高齢化が
さらに拍車をかけるかたちで、竹林が荒れている。

< 竹製品の数々 >
昔から作っていた色々な竹笊、団扇、すだれ、箒、蒸篭などの竹製品が展示
してあり、親子ともどもに竹の有り難さが分ります。さらに、真竹で作った
尺八で演奏も行なわれました。尺八の由来はその長さ一尺八寸(54cm)
からきている。江戸時代に僧侶が吹いたのがはじまりとか

< 体験 竹の道具作り >
話の後は、体験です。竹の樋、おわんに箸を自分達で作りました。

竹の樋作りは、孟宗竹の先端の方にナタを入れ、割り口を広げ、登り棒を利
用して、2つに割ります。割れ始めるとビリビリーと音を立てて一気に割れる
と歓声と拍手がおきました。あとは金槌で節をとり、樋ができあがり。 

竹のお椀作り。孟宗竹を一人一人ががんばって切りました。お椀ができた
ら、真竹で箸作り。「竹割り」という道具を使って5つに割った後、ナタを使
って、箸を作ります。「竹を割ったような性格」とはよく言ったもので、ナ
タを入れると一気にまっすぐ割れ、サンドペーパーで磨いて箸ができあがり
ました。

< メインイベント 流しそうめん >
いよいよ「流しそうめん」の始まり、始まり。3班に分かれて、5m強の竹
を5本半円状につないだ竹の樋を約90人が取り囲み、流れてくるそうめんを
取り合いました。そうめんが終わるとミカンの缶詰やミニトマト等が流れま
した。食べた後の班は 竹の風鈴作りに挑戦しました。

竹という自然の恵みのありがたさを享受した子ども達、竹林を守る心が育つ
ことを願う 竹イベントでした。
いのちの森のイベントの模様はこちらからどうぞ

    http://www.tombow.gr.jp/Biotope_melmaga/08.7.28/2.pdf






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