[発行日:2008.04.30] vol.40 第6回 森の聞き書き甲子園フォーラム報告、 共存の森 関東 平成20年度活動開始
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こんにちは、トンボ環境事業企画室の小桐です。初夏の薫りがする季節とな
りました。今年の4月は例年と比べ、雨が多く、寒暖の差があったりと落ち
・ゥない天候の多い日が続いた気がします。
先日訪れた、千葉の里山では、鶯がさえずり、おたまじゃくしが泳ぎ、代掻
きを終えた水田では田植えが始まっていました。
今回は、森の聞き書き甲子園フォーラムとその卒業生による共存の森の活
動をご紹介します。
もくじ 【1】第6回 森の聞き書き甲子園フォーラム報告
【2】共存の森 関東 平成20年度活動開始
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【1】第6回 森の聞き書き甲子園フォーラム報告
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< 主催者挨拶 >
今年で6回目を迎えた森の聞き書き甲子園フォーラム。全国から88名の高
校生が出席しました。
林野庁皆川次長は挨拶で、日本は森林率が70%超えている貴重な国だが、
今の森林は豊かでない。最近は間伐できネい、山では伐っても次に植える経
済力がないといった現状がある。
森林は温暖化防止にも貢献する。日本の削減目標のうち3.8%は森林で吸
収しなければならず、もっと木を使い、抜き伐りをして光を入れて下層植生
を復活させることも必要な状況。これまで森を支えてきた名人の技を伝承し
ようと始めた森の聞き書き甲子園。情報発信の場としてこのフォーラムが継
続することを期待。と話されました。
< 基調講演 >
共存の森ネットワーク理事 結城富雄氏が日本の暮らしの移り変わりについ
て話されました。
2000年前には東北にも田んぼがあった記録がある。家族で耕し家族で食
べていた、東北では、冬を越えるのに 稲作が必要だったのだろう。少し前
まで日本は71,314の小さな村の集まりであった。その営みとは300
年間 家族一日分の米が取れる小さな田んぼを育んできたことだった。しか
し、昭和40年代に買う暮らしに日本が変わっていった。
今、耕作放棄して10年になる田んぼを子ども達が守ろうとしている村があ
る。ろうそくをつけて夕涼みをする。この光を見て もう一頑張りせねばと
老人達は話す。高校生は森の名手名人の話を聞いてどう理解して、人間とし
て生きていくために一番大切な森をどうするか
< 映像化プロジェクト >
聞き書き卒業生達が、後輩の聞き書きの模様を取材した映像が2本紹介され
ました。愛知県 三河材のそま師(そまは切り倒した木を虫から守るため表
面を削る仕事で昔は多くのそま師が居ました。)と大阪府貝塚市の櫛作りの
名人取材の模様です。「聞き書きOBが映像を撮っているだけにつぼを押さえ
ている。レポーターの職を奪われそう。」という阿川佐和子さんの感想もあ
りました。
< 名人と高校生の話を聞く >
阿川佐和子氏 塩野米松氏のお二人が名人と高校生に聞き書きを体験してど
うであったかのインタビュー、原木椎茸名人の話を紹介します。
原木椎茸作りの名人:埼玉 久保田 勝氏49歳
筑波大学附属坂戸高校2年:島田 杏奈 さん
高校生:菌床椎茸だと収穫量が多いのになぜ原木椎茸かが聞き書きしてやっ
とわかった
塩野:原木椎茸は原木を伐ってコマ打ちして二夏経過するとできる。 菌床
はおがくずを固めたものでハウス120日で椎茸発生 簡単に出来る。 今
はパックにきちんと区別が書いてある、70%が菌床。味も違う、見た目は
菌床はきれい。
阿川:原木の調達は簡単だが 流通業者はそろっているものを欲しがる消費
者は美味しいものではないか?
名人:1パック20円くらいの差がある。中国産は残留農薬の関係で最近は
入ってきていない。労力ではぜんぜん違う。値段は余り考えない、良いもの
を作りたい。
今回名人に選ばれたのが 原木から沢山の椎茸を出させるのがうまいから。
木を見ながら水の具合など確認する。音楽を聞かせたり叩いたり、時に逆さ
まにしたりして菌が良く回るようにすると椎茸が沢山出る。ゴールデンラジ
オ(阿川番組)を聞かせている。
高校生:原木を貰って帰ったが、温度が足らなかったので貰った原木から椎
茸が出なかった。
名人:お勧めの食べ方は椎茸の刺身 熱湯10秒 氷で絞めて 醤油か塩
で食べると美味しい。
高校生:森と生きるのがどんな事だろうが分った。原木椎茸栽培を通して、
人間が森を思い行動すると森が人間に恵みをくれる 共存共生が分った。
名人:詳しく教えると言うことが初めての体験だったので忘れていたことを
思い出させてくれた。良い機会だった。
< 意見交換会 >
フォーラム終了後 別会場に移り、グループに分かれて意見交換会を実施。
聞き書き卒業生達が進行役となって進めていきます。自己紹介、聞き書きし
た名人の紹介、学んだこと、感動したことなどを振り返りました。
・茅葺の屋根に葺く葦が水を浄化することを名人から学んだ
・名人の仕事に対する真剣なまなざしが素晴らしい
・名人を支える奥様が居て初めて名人の仕事が成り立っている。
・先入観なしに自分達を見てくれる。生き様を知る事ができた。という
様々な感想が聞かれました。
ある意味大量生産、画一、スピード、競争、儲けとは線を画した人たちの人
生の積み重ねから学ぶことがだからこそ高校生の心奥深くに沁み込んだとい
えるのではないかと感じます。
< 植樹体験 >
翌日は 東京都の「海の森」事業(ゴミの埋立地を自然公園にする活動)の
一環としてアカマツの苗木200本を植樹し、高校生たちは全国へと帰って
いきました。
フォーラムの模様です。
http://www.tombow.gr.jp/Biotope_melmaga/08.4.28.pdf
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【2】共存の森 関東 平成20年度活動開始
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森の聞き書き甲子園卒業生達が 千葉県市原市鶴舞で活動する「共存の森関
東」の新年度の活動が始まりました。
< 今年度の活動計画 >
昨年は、地元の名人古関さんに炭焼きを学びましたが、今年は新たに、米作
りの体験を加えます。田植え、草取り、稲刈りの体験とこれまでの活動拠点
であった鶴舞創造の森で見つけた炭焼き窯の保存作業を行うという計画を立
てました。
< 新メンバーの参加、代表交代 >
先月フォーラムに参加した第6期生の2名が今回から新たに参加。1名は現
役の高校2年生です。また、今回より2年生の女子学生へとリーダー交代で
す。
4月19日は 鶴舞創造の森フィールドに新人を案内し、同時に春の植物の
観察や翌日整備する歩道の手すりの痛み状況などを確認しました。ヤマザク
ラの淡い緑に心が和みます。
< 環境変化とコミュニケーション変化 >
午後から、この1年間お世話になる地元の方々と顔合わせ。中心メンバー4名
以外にも前町会長、現町会長など総勢8名が参加され、鶴舞、山小川地区の
今、昔、これからについて懇談を行いました。
市原市でも北部は人口増、南部は若年層がいなくて、今年の同地区は小学生
ゼロとなり学校の廃校が進む状況です。
一方、来年圏央道という高速道路が延伸して、すぐ近くにインターチェンジ
ができることから、土地利用についての環境変化に気をつけて行きたいと話
しが出ました。
このインターから横浜まで1時間弱で行けるので、休耕田が住宅地に変わり、
地元と接点のない人が住むことで起こる街の変化や産廃業者の土地利用によ
って汚染などが起こる可能性もありと様々な面での変化を気にされていま
す。
一方、共存の森活動では地元の関心の高まりと学生初めとする参加者の広が
りが感じられます。昨年の11月の炭焼き体験では、林野庁の職員はじめ4
0名近くが参加するなど、50戸程度の山小川地区に新しいコミュニケーシ
ョンが起きようとしています。
< 再評価すべき伝統的な暮らし >
共存の森ネットワーク副理事長の澁澤寿一氏から、この学生の世代は自分た
ちの食べ物を自分達で取ったことのない世代。お金がすべての世代。これか
ら先、天然資源は30年で枯渇が始まる。携帯電話を作る資源がなくなり、
石油が手に入りにくい時代に彼らは生きていかなければならない。当然年金
もなくなる時代にどうやって生きていったらよいのか?
今、ここ里山の持続的な暮らしを一緒に体験することで、過去の資源が簡<に
手に入らなかった時代の工夫ある暮らしを知り、これからの彼らの生活を考
えるヒントになるであろうとの言葉がありました。
夕方は、山菜採りとたけのこ掘りを行い、地元の旬の素材を使った地産地消
の夕餉。学生達は男女とも、てんぷら作りや配膳など忙しく立ち働きます。
< 田植えを経験し伝統的な暮らしを学ぶ >
翌日は鶴舞の森で、ベンチ作りと歩道の杭整備と田植え行う班に分かれま
す。田植えは初めての経験という学生が大部分。
ビニールハウスで育った苗を軽トラックに積み、いざ田んぼへと向かいま
す。午前中は、手押しの4条植え機と乗用5条植え機をそれぞれ体験しまし
た。
前日、籾の消毒から始まる、田植えまでの様々な準備と手間の数々を聞いて
いましたが、実際に体験することでそれが、どれくらいの時間と力を要する
仕事なのかが改めてわかります。
田植え後の水管理、稲刈り後の乾燥の度合いなど(水分16%が美味しいが、
食糧庁基準は14.5%)手間の大変かかる作業である事がやっと理解されま
す。午後からの班は、手植えを体験。あいにく曇りで水温が上らない中、裸
足で泥んこになって頑張った学生もいました。
< 森の補修をする >
今回は、ベンチ作りと歩道の杭打ち、ロープ張りを実施しました。スギの木
を玉切りし、皮をむき、ベンチになる部分は材にクサビを打ち込み、半分に
割って皮を剥ぐ作業です。女子学生が中心になり、鋸を引き、クサビを打
ち、カスガイでつないで何とか2つのベンチが完成しました。水気の多いこ
の頃のスギは比較的簡単に手で皮をむくことが出来るということも経験しま
した。
< 広がる地元での聞き書き >
感想は、とても楽しかったという言葉に尽きるようでした。自然との触れ合
いがいかに人を生き生きさせるかがいつもながら感じられる共存の森活動で
す。
今年度は、地元鶴舞桜ヶ丘高校の生徒達も地元の方々の聞き書きを授業とし
て体験するとのことで、9名の生徒が参加を希望しています。
地元の暮らしを地元の高校生が聞くことは世代がつながることであり、今後
の発展が楽しみです。
活動の模様です。
http://www.tombow.gr.jp/Biotope_melmaga/08.4.28.pdf
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