[発行日:2007.05.31] vol.27 第18回全国トンボ市民サミット 報告 

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★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行日:2007.5.31 ━★


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こんにちは、トンボ環境事業企画室の小桐です。5月第2回目の発行です、
今回は、さる5月12日に東京都江東区で開催された全国トンボサミットの
話題をお届けします。



もくじ 【1】 第18回全国トンボ市民サミット 報告 




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     【1】 第18回全国トンボ市民サミット 報告

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東京都江東区文化センターで開催されました。
今村大会実行委員長のお話の中で、「赤とんぼがいなくなったという話を聞
くが、私たちにとっても危機。日本人とともに居たアカトンボはなぜ、いな
くなったのか? 国民は、アカトンボがいなくなったことすら気がついてい
ないのではないのではないどろうか?
原因追求も大切だが、数を増やす努力もしていきたい。

先日、山形鶴岡の庄内平野の穀倉地帯に烏一匹すらいなかった、トンボ、ス
ズメがいない風景を見てきた。 
土をどのように大切にするのか? 歌に歌われる赤とんぼがずっと私達と一
緒にいるようにしたい。


◆アカトンボ調査のねらい・趣旨説明 新井 裕氏
アカトンボは あるグループの総称で、2つの捉え方がある。
1.アカネ族 のグループ 日本で20種類 オレンジや赤い色 中にはブ
  ルーや黒い色のもいる。
2.赤いトンボとするグループ。アカトンボ オレンジや赤い色 赤くない
  ものは呼ばない考え方

今回の調査は代表的な2種類に絞り込んで実行したい。
アキアカネとウスバキトンボ(これはアカネ族ではないが)

地域の研究者に聞いてみたら 減ったという地域と減っていない地域があり
そうだ。穀倉地帯が減っているようだ。全国レベルで3年間調査してみよう
ということになった。
水辺環境がどうなっているのか 学校のプールでも調べてみよう。

その昔 秋津州(あきつしま)と日本は呼ばれていた。日本はトンボの島だ
った。
アキアカネがそのアカトンボだ。稲刈りのあとに田んぼに産卵、初夏に卵か
ら孵化、田んぼからアキアカネは発生する。昔どこにもいたアキアカネが見
られなくなった。

ウスバキトンボは精霊トンボ、関西では盆トンボと呼び、南方からやって来
て、お盆に多く見られる。関東では盆トンボとは言わない。
全国的にはどうなっているだろう。
トンボ取りを含めて調査し、文化として残していこう。どれくらい日本に親
しまれているか アカトンボを通して水辺環境に目をむけていこう。プール
のヤゴの救出作戦も全国のプールで実施したい。救出しないと トンボはわ
なに掛けられたようなものだ。

秋津島の名に恥じない。日本人の心を取り戻したい。結果はトンボサミット
実行委員会がまとめて3年後に発表する。


◆失われていく日本の原風景 アカトンボ類減少の原因を探る
                 石川県立大学 環境学科 上田教授

減少の原因究明で、水田に依存したアカネ類の生活史が考えられる。
1つには、田んぼの変化。温室で稲の苗を育て、田植え前に農薬をまく。 田
植えの頃は農薬濃度が高い、このころトンボの孵化時期にあたり、これに問
題があるのではないかという仮説や圃場整備による乾田化 という仮説もあ
る。アカトンボが意外と減っていないと答えたのは東京、神奈川だった。


◆事例発表1 横浜市の小学校と市民グループの取り組み
横浜市の小学校350校 中学校150校 近くに水辺がすべてあるもので
はない。プールでのヤゴ救出は20年になる。1000匹取れたこともあ
る。総合的学習の時間でヤゴ救出作成もできるようになった
市民ボランティアも参加してくれる。

救出したヤゴは初め水槽に入れて飼っていたが、最近はペットボトルで飼っ
ている。これが共食いもせずに、マイ水槽として一人一人がじっくり観察で
きるので良い。イトミミズ、アカムシなどの餌を教室や家で与えて飼ってい
る。「横浜トンボを育てる会」生育がマニュアルを配布してくれて、市内全
体の小学校で取り組めるようになった。

自然や生きているものとの関わりは小学生にとって重要だと感じる。
子供は水辺や虫が好き。小さい時期は動くものが好きだ10歳くらいまでは
特に。中学生からは少し離れるが小さい時に触れていると大人になっても戻
れる。
小学校1年生で50%は金魚の匂いが分からない。生臭さを感じたことがな
い。命という文字が書けても命の意味を感じることはまた違う。死んだハム
スターが冷たくなるとかさまざまな生き物やその死に接することがないと生
きた知識になっていかない。
季節の移り変わりと生き物のかかわりなど、まわりの身近なものに触れるこ
との大切さを感じる。

市民グループと学校が一緒になって活動をすることがある。鶴見川の支流梅
田川 川と親しむイベントを「水辺の楽校」として土曜日や夏休みに実施し
ている。そのときには、川の上から見るのでなく、中に入って網ですくう。
そうすると色々な生物がいることが分かる。ホトケドジョウ、ザリガニ、ト
ンボなどがいることが分かる生物の多様性を認識する。そうすることで、自
然と地域の生物多様性への理解深まる。先輩が後輩に教える。分かり易い解
説となる。田んぼの復元もできたりしている。子供が応援することで、地域
活性になった。池や川があると生物相が豊かになる。トンボが必ずいる。

◆事例発表2 横浜の小学校の取り組み
学校田んぼと子供とトンボ 横浜市内で色々な活動を実践している。
3つの小学校がブロック田んぼを実践、ベントナイトという土に水を含ま
せ、こねて田んぼを作っている。サイズ調整や移動が可能なのが利点。

学校での稲作体験は児童の自慢になる。同時に子供にとって良い体験。
稲の観察が毎日できる。稲の受粉について見る(稲は自家受粉 おしべがは
じけて出てめしべにつく。)
命とふれ合い、生き物たち ウンカ カマキリ アマガエル ケシカタビラ
アメンボなどを観察ができる。

◆企業と学校で連携している環境教育事例の企業側からの発表。
東京ガス 環境エネルギー館での参加体験型 ビオトープの説明がありまし
た。 
6階建てのビルの屋上にあるビオトープですが、当初140種類の植樹が2
70種類と増加。鳥の糞、風、動物にくっつく、壁を登るなど色々な方法で
やってきたようです。 動物もヤマアカガエルとも地元のクロメダカのみい
れたところ、現在は250種にも増えています。自然の力はすごいもので
す。
身近な自然の復元、屋上緑化によるエネルギー削減で電気消費を抑えている
とか。
 
◆今回のサミットで楽しかったのは音楽のコーナーです。ハーモニカの調べ
地元の竹田津さんが演奏してくださいました。 赤とんぼ、トンボのメガ
ネ、など全6曲もっと聴いていたいと思わせるすばらしい演奏でした。
それから、「トンボの歌2」という新曲も披露され、みんなで合唱これが、
なかなか良い歌、みんなで盛り上がりました。

午後からは分科会が開催され、 プールのヤゴ調査の分科会では、江東区の
トンボ救出作戦の事例や横浜市の別の小学校の実践報告がありました。 

◆横浜の小学校では、昨年から「卒業生クラブ」を結成し、現役小学生との
交流を行っています。トンボの専門家呼んで話を聞き、池の周りの木道作
り、蛍の飼育を6年生と一緒に実施しました。 
また、東京ガスエネルギー館訪問。大岡川トンボ調査をしています。
これは大変珍しい事例だと思います。このように保護者、OB、 地域、市民
団体、企業との連携を実施。 昔遊びや草笛遊びなど(低学年)中学年地域
の人と学校の自然を指し度探検 高学年 稲刈り、餅つき、藁細工づくりで
「ふるさと」を作っています。

最後に参考になるトンボ飼育その他、質疑応答がありましたので紹介しま
す。

質問:プールでのヤゴ取り あとの餌をどうしたらよいか?今は餌を与えて
ない水草は入れている。羽化はするもののそれでよいのか?たくさん飼うと
共食いで元気になるが

回答:イトミミズ、アカムシ大変なので 家の外に水入れた缶でボウフ
ラ産ませ、それを餌にやっている。ギンヤンマの餌に めだかをやるとよく
育った。ダンゴ虫も餌になる。

回答:プールで取ったものは餌をやらずに共食いをさせる。 個体数が増え
すぎることを制御している。(昆虫博士 須田先生) 

以下 須田先生の解説
餌の集め方:イトミミズは 入っている泥をひっくり返して道の上にひ
っくり返してその上にぬれ雑巾を掛けていると1箇所に集まる。簡単に
集めることができる。

観察について:2月にイトミミズをヤゴに食べさせてあごが伸びること
を学ばせるとよい。

ヤゴの特性:洋食派はギンヤンマ グッピーをよく食べる。卵胎生なのでち
ょうど良い オニヤンマは5−7匹食べる。 和食派はイトトンボ めだか
を食べる。

ザリガニの駆除について:神代植物公園 自転車カゴを池に入れてザリ
ガニはいるのを待つ かごの中に仕掛けをして体が隠れるようにした
ら1年間で駆除できた。

子供の育成について:小学校の先生の影響によって理科系のプロが育つ。
とノーベル賞受賞の小柴教授が言われたそうです。

なお、NHK『クローズアップ現代』で本大会が特集 される ことになりまし
た。是非ご覧ください。

 NHK総合:6/14(木)19:30〜
   BS2:6/14(木)20:32〜



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