[発行日:2007.02.28] vol.23 子ども達の心と知識を育てる 「ビオトープ & 図書」 教育 板橋区立蓮根第二小学校 他1件

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┃     QQ     【スクールビオトープ メールマガジン】
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┃     ┃ 株式会社トンボ 環境事業企画室
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★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行日:2007.2.28 ━━★

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https://www2.tombow.gr.jp/merumaga/eco.php

こんにちは、トンボの小桐です。昨日、昨日第79回アカデミー賞が発表さ
れ、アルゴア元アメリカ副大統領が制作した映画「不都合な真実」が受賞し
ました。ゴア氏自身が、自分で取材し、まとめた地球環境悪化の現実、もは
や誰もが無関心でいられない、無関心でいてはいけないということを痛切に
感じさせる映画でした。

全世界で3000万本の木を植え、森をそして生態系を復活させてこられた
ブループラネット賞の受賞者 宮脇 昭氏(横浜国大名誉教授)が言われる
には、「生き物は競争しながらお互いに少し我慢して限られた空間の中で共
生していくことが一番健全、人間もまた、一つの生物にすぎない。共生をし
なかった文明は過去にことごとく滅んだ」と。不都合な真実はまさに、その
事実、未来の事実を訴えかけます。是非本、映画か、DVDでご覧くださ
い。DVDはもうすぐ発売のようです。

今回は新しい視点でのビオトープ教育の実践例と、自然体験活動をする際
に、楽しく進めるためにリーダーが留意するポイントという内容をお届けし
ます。



もくじ 【1】子ども達の心と知識を育てる
       「ビオトープ & 図書」 教育
                
    【2】体験 自然体験活動リーダー(農林)養成講座
        これで私もCONEリーダー



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        【1】子ども達の心と知識を育てる
          「ビオトープ & 図書」 教育

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第2回全国学校ビオトープコンクールで日本生態系協会会長賞を受賞した東
京都板橋区立蓮根第二小学校、その後のビオトープ教育についてお話を伺い
ました。

2002年の受賞から早5年、寺田校長から後任の中里校長へとビオトープ
教育はさらに発展する形で受け継がれていました。主に屋外の活動であるビ
オトープを使った授業と屋内の活動である「図書」をつかった授業を併せて
行っておられます。
ビオトープ教育と図書教育の連携の狙いは、本からだけの知識というだけで
なく、現場・現物と知識を交互に見ることで、疑問・興味→確認・解決→さ
らなる興味・学習へと発展するサイクルを自然と身につけさせることです。

< 学校の特色 >
創立28年の同校は創立以来、保護者が積極的に学校に関わる風土がありま
す。PTA以外に保護者ボランティアが3つあり継続して活動を行ってお
り、保護者と教師、主役の児童の連携を図って学校教育が運営されていま
す。そのために、ビオトープ教育については50名強、図書教育については
20名以上が毎年見学に訪れるとの事です。 

< 教育方針 >
きらきら すくすく にこにこ  表現ゆたかな 蓮二っ子
の実現のために、学校図書、学校ビオトープの連携で効果をあげています。

< 学校ビオトープ教育と活用について>
ビオトープができた当初は、系統だった教育プログラムがなく、担任の独自
性が強かったので、教師全員が主体的に取り組めるように改革を実施。「串
団子ビオトープ教育」が開始しました。串がビオトープで、団子は各科目。
それを各学年の発達に合わせてプログラムを組みました。そして、授業の年
間計画として整備されています。詳細がお知りになりたい方は下記よりご連
絡ください。

 https://www2.tombow.gr.jp/otoiawase/eco_project.php

1.児童の関わり
・日直が、朝ビオトープを見て変化を報告します。普段から児童の生活にビ
オトープが入るようにしています。新しい変化があると児童達は休み時間に
かけつけます。
・ ビオトープニュースの発行。図書館横の廊下の壁にビオトープニ
ュースとこれまでの歩みを貼り出し、誰でも、いつでも見る事ができます。
2.先生の関わり
・環境教育の全体計画と学校ビオトープを活用した授業例の一覧表が作 
 成されているので、参考にして授業を行います。
3.保護者ボランティアの関わり 
・授業では保護者ボランティアがゲストティーチャーとして参画するこ
 ともあります。それ以外に整備を児童も参加して毎月第一、第三土曜日の
午前中に実施。同時に観察も行います。
実際の自然と触れ合うために年1-2回「ビオトープのつながりを体験する
会」を近くの荒川で開催しています。

<図書教育>
保護者ボランティアとの連携による整備と活動の継続により、読書と学習セ
ンターの機能が充実しています。 
1先生の関わり
・ 図書主任を中心に読書活動の全体計画を作成します。同時に図書
館活用の年間計画をすすめていきます。
・全クラスでの読書活動の公開授業を実施
・ 都区図書館部、保護者との連携も図っています。

2保護者ボランティアの関わり
平成15年7月に図書館大改造に参加しました。そして、今でも
・月1度の全クラス読み聞かせ
・毎週金曜日の整備
・児童図書委員会との交流 保護者と児童の役割分担
・夏休み 15日間 図書室開放 プール開放と合わせて実施
・意見交流会、研究会への参加 学校間の交流で情報交換

<学校ビオトープと学校図書館を活用した事例>
・1年生 国語「わたしはなんでしょう」ビオトープにいる好きな生物
を観察して、クイズに出します。
現状認識 → 図書資料確認 → 現状再認識 → 新たな疑問発見 → 
図書資料確認 → 作品製作(クイズ製作)
・3年生 総合 生き物の一生を調べる  ビオトープにいる生き物が
どのように暮らしているかを調べ、生き物を大切にする心を育てる。
 1年生と同じく、現状認識からのサイクルを繰り返す         
         

ビオトープを作った際の記録書籍とビデオを製作し販売されています。書籍
¥500ビデオ¥1000。残念ながら店頭には置いてないので。学校へ問
い合わせが必要です。

12月に取材した越谷市立大袋東小学校、この板橋区立蓮根第二小学校の二
つを見たことで、公立小学校におけるビオトープを使った教育のあるべき姿
が明確になってきたように思われます。大袋東小は先生が牽引役、蓮根二小
は校長がコンダクターで保護者積極参加の保護者・教師バランス型というと
ころでしょうか。ビオトープへのよき理解があるからこそ、活用の仕方もわ
かるというもの、日本のパイオニアと言えると思います。
環境教育という観点では 自然環境教育で いのちの大切や生物同士のつな
がりを学び、消費者環境教育では、今の地球の現状を知り、これから自分達
がどのような行動をとるべきかを理解、体験させることが大事です。

児童は体験しないと理解できないので、大袋東小のように学内に、企業やN
POを招いて展示会形式で体験授業を開催したり、日常生活の中での省エネ
を体験しながら家庭自体のエコレベルを上げるキッズISOプログラムへの
取り組みは大変有効であると考えます。このキッズISOプログラムは国連
の支援も受けて世界各国での取り組みが始まっています。今後ビオトープを
使った教育と並行して取り組む学校が増えそうです。



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    【2】体験 自然体験活動リーダー(農林)養成講座
           これで私もCONEリーダー

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自然をキーワードに活動している団体が手をとりあって生まれたのが
NPO法人 自然体験活動推進協議会 Council for  Out
door & Nature Experiences(通称CONE)で
す。自然体験活動憲章の精神に基づき、自然体験の指導者が活躍する新しい
しくみ作りを柱に自然体験の活動・普及に取り組んでいる団体です。文部科
学省、農林水産省、林野庁、国土交通省、環境省とも協力関係にあります。
CONEの詳細はこちらからどうぞ
     http://www.cone.ne.jp

今回は、千葉県より委託されたNPO法人千葉自然学校のスタッフによる養
成講座に参加しました。対象は農林業経験者や酪農牧場経営者など自や林業
のことを伝えたいという人たちでした。一般の方々で自然を体験したい人に
いかに楽しく、自然を体験してもらうか、継続してもらうか その入り口で
のガイド役となる方のための最初の一歩です。環境、つながり、経済、の3
つの面からも有効な自然体験は今後全国で増えていきそうです。

参加者を知る・基礎技術、自然体験活動の理念、自然の理解、安全対策、
指導方法、プログラム作りの基礎知識というジャンルを凝縮したものでし
た。千葉県では、これまでに500名強の方がこの講座に参加して、リーダ
ーになっているそうです。ここでは特に印象に残ったことをお伝えします。
このメルマガ21号で紹介した「思いを伝える技術を学ぶ」とはまた、少し
角度の違うものです。目指すものは同じで、いかに参加者が楽しく、安全に
かつわかりやすく自然に親しめるように導いていくかというものです。

冒頭はお互いに打ち解けて、プログラムの進行をスムーズにするという目的
をもつ「アイスブレイク」。参加者の年齢や体力、体調や経験などを考慮し
て、簡単なゲームを組み立てます。今回は30名、年代も20代から60代
と幅が広かったので、あまり動きの激しくない、それでいてウォーミングア
ップにもなるし、心も打ち解けるという7つのゲームを体験しました。リー
ダーは自分が太陽を向く、参加者を眩しくさせない、できるだけ平地を選ん
でその広さに合わせてゲームをします。

初めは二人組で向かいあう相手の手のひらを押しあう、押し相撲。その後は
ミラーストレッチ、一人が相手の動きを鏡のように真似します。次はじゃん
けん大会、相手を変えて3回早く勝った人から順番に並びます。最後は輪が
できます。この輪はゲーム全体が終わるまの配置です。お互いがお互いの顔
が見えるための配置です。

次に苗字の50音順にならびます。名札をつけているのでわかりやすいので
すが、並んだ後は名前だけの自己紹介、このあたりで、大分お互いの顔が見
えてきます。その次は言葉を使わず、生まれた月日順番に並びかえ、指のジ
ェスチャー中心ですが、結構盛り上がるのです。
それからスキンシップ。輪になって後ろで手をつなぎ、リーダーが手を強く
握ってそれを順番に左右に握って伝えていくゲーム、最後は「みんなと一
緒」というゲーム。手をつないだままリーダーの言葉に合わせて、みんなで
唱和し、前後左右に一歩ずつ動きます。途中に「言うこと一緒」という言葉
と動きを逆にするものも加えて、右へいったり、後ろへ行ったり。全体で約
30分強なのですが、参加者はこれで結構会話もでき、心もほぐれます。特
に屋外で、多くの人が何かを始める時、このゲームをするかしないかで、後
の楽しさが大きく違うということに気づかされました。

講習の最後は、ブラインドウォーク。2人がペアになり、ひとりが目をつぶ
り、もう一人が相手に触れずに、言葉や音で目的地まで案内します。
やってみるとわかるのですが、目をつぶると大変歩くのが怖くなります。
如何に安心して歩けるようにガイドするか、導かれる方は、相手を信頼す
る、効果的な質問をするなどの方法しかありません。今時分がどのような所
に居て、どこへ行こうとしているのか、わかるだけでも心の落ち着きは違い
ます。導くことの難しさ、伝える技術を学びます。

そのほか、イベントを開催するための事前準備やプログラムでメリハリ
をつけるなどの留意事項、危険箇所を共有するコミュニケーションの大切さ
などについて学んだ、あっという間の6時間プログラムでした。
本格的には21時間プログラムも準備されているとの事です。地球人とし
て、みんなが温暖化対策を進める中での自然とのふれ合いは大切です。その
時に、楽しくリードできる技術もまた、これから求められる能力では、ない
でしょうか?




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