[発行日:2007.06.01] vol.28 石岡小学校の環境教育
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┃ ┃ 株式会社トンボ 環境事業企画室
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★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行日:2007.6.1 ━★
こんにちは、トンボ環境事業企画室の小桐です。今日から6月に入り、衣替
えの季節となりました。これから入梅も迎え、いよいよ動植物の活動が活発
になっていくと思われます。昨日は、第27号をお届けしましたが、本日は
28号をお届けします。アサザ基金様が取り組んでおられる小学校での環境
授業についてです。
もくじ 【1】石岡小学校の環境教育
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【1】石岡小学校の環境教育
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NPO法人アサザ基金の向山です。アサザ基金は、霞ヶ浦・北浦アサザプロジェ
クトの担い手である子供たちの日常空間“学校”での総合学習支援を事業の
柱として活動しています。
前回(4月度25号)、小桐さんが報告されていた石岡市立石岡小学校も、
お世話になっている学校のひとつ。石岡小学校での今年度の総合学習につい
て、ご紹介します。
アサザ基金は、一般の環境教育が調べて学ぶ・体験することに収束してしま
うことを課題として捉えています。
環境と共生することを考えてこなかった大人や先進国ができることは、子ど
もたちや途上国に「このままだとひどい未来になるから悪いことはこれ以上
しないようにしよう」「絶滅する生きものはこれとこれとこれだよ、珍しい
から保護しよう」ということではなく、「良い未来をつくっていくために何
が問題なのか、困っている人や生きものと共に暮らしていくためにはどうし
たらよいか」ということを共に考え、身近なことから実践していくことでは
ないでしょうか。
このため、わたしたちアサザ基金は、環境教育プログラムを学校へ提供する
ことをとおして、子供たちが地域や地球の課題に対し身近なことから前向き
に取り組む力を育むお手伝いができればと考えています。
とはいえ、学校の状況や御要望は様々です。総合学習もずいぶん浸透し、年
間のテーマやフローを考え、やりがいを持って取り組んでおられる先生方も
大勢いらっしゃいます。
先生方が考えておられる学習のお手伝いをさせて頂く、というスタンスで打
合せ、年間の計画作り、授業実施をさせて頂いています。私たちがお邪魔す
ることで、バラバラだった学習が、子供たちにとってつながりを持って捉え
られるようになったり、様々な人や生きものと出会うことで、子供たちの世
界が広がっていくことを願ってお手伝いをしています。
今年度の石岡小学校ですが、4年生は次のような流れを先生と打合せしまし
た。
1.生きものとお話しよう(生きものの観察の方法、生態系の基礎知識を学
びます。観察による気づきを、課題設定や問題解決に活かしていくため
の動機付けです。)
2.生きものとお話しよう・実践編(学校ビオトープで実際に生きものの観
察をします。なぜここにいるのか、どこからどうやってここまできたの
かといった問いかけを通して、より深く、より広い関心を子供たちに持
ってもらいます。)
3.生きものの道を見に行こう(どこからどのように学校へやってきたの
か、学校とまちを生きものの視点で調べます。新たな課題や気づきが生
まれます。)
4.学校に生きものを呼ぼう@(生きものの視点でビオトープやまちを観察
したことで、問題に気づきます。さらに、その問題を解決するための方
法も考えられるようになります。そこで、自分たちで考えた解決策を実
践してみます。どんな生きものがどこからどのようにやってくるか、仮
説を立てて行う実験です。 ビオトープの水草抜き→霞ヶ浦への水草植
え付け)
5.学校に生きものを呼ぼうA(今度は各自が発見した場所の解決策を各自
で考えてみます。プラン作り、プラン実現のための計画作り、友達や先
生、地域の大人との意見交換やディスカッションをとおして、プラン実
現を目指します。)
このような街づくり学習は牛久市で先行しています。谷津田再生を実現させ
た学校もあります。この過程では、大人以上に合意形成が進む様子に私自身
もびっくりしました。それは何より子供達が相手の立場に立つことのできる
想像力と、壁にぶつかったときに代替案を考える創造力を持っていることの
証だと思います。石岡小学校の子供たちもきっとすばらしい案を出してくれ
るにちがいありません。
5年生は、先生の方で稲作体験を柱にした食育というテーマをお持ちですの
で、お招きがあるつど、お手伝いすることになっています。アサザプロジェ
クトでは現在、霞ヶ浦の外来魚を栄養分として湖から取り出して肥料化、畑
やハス田、畜産で用い、収穫した農作物を大手スーパーで販売するという循
環型事業を行っています。また、菜の花油を調理に使い、その廃油からでき
たBDF燃料によって、エネルギーを地産池消するという事業も提案中です。こ
れらの事業の要素を効果的に組み込むことで、食を通して生きものや霞ヶ
浦、そして様々な人たちとのつながりを実感してほしい、自分たちの課題解
決に役立ててほしいと願っています。
このような学習を流域170校の子供達が行っています。目指すのは100
年後にトキが舞う霞ヶ浦。今年は100年計画の7年目に当たりますが、す
でに10年目に来てくれるだろうと予測していた鳥やトンボたちが戻ってき
ています。湖は確実に子供たちの活動を評価してくれているのです。
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NPO法人アサザ基金では、東京の小学校でも環境授業を開始されました。
石岡小学校と同じ4年生です。でも学校の周りの環境は結構違います。
都会の学校だけにほとんど自然の土がなく、プールは屋上にあります。
周囲も自然豊かというわけには行きません。そのような中
先日は、プールでヤゴ救出作戦を行いました。4階という高いところにもか
かわらず40匹のヤゴを救出しました。アキアカネが中心でした。これか
ら、環境授業は続きますが、救出したヤゴを羽化させて終わりではなく、ど
うしたら次の世代を産んで増やすことができるかについて考えていきます。
学校の中にビオトープをつくりたいと言う意見も出て子供たちの目は輝いて
います。次回の授業までに設計図を考えてくれるそうです。都会の中の学校
ビオトープがどうなっていくのか楽しみでもあります。私も何かお手伝いし
ようと、周囲2kmほどの自然環境調査をしています。調査中には絶滅危惧
種のトンボも見ることができました、これからビオトープがどうなるかが、
いろいろと楽しみです。
ビオトープによって子供たちが生き生きして、自然を守り育てる将来の大人
として虫やそのほかの生き物たちと話ができるようになることをアサザ基金
の方々と一緒に応援したいと考えています。
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