[発行日:2005.08.03] vol.13 コラム C.W.ニコル氏  私の「里山」との出会い、いのちの森の日  稲毛第二小学校  

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★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行日:20005/8/3 ━★
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  もくじ 【1】 ビオトープ取材記
         いのちの森の日  〜 稲毛第二小学校 〜
                
      【2】 コラム C.W.ニコル氏
          〜 私の「里山」との出会い 〜        
            
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こんにちは。株式会社トンボ、環境事業企画室の高橋です。
八月に入り花火大会やお涼み会など夏祭りの季節となりました。
私の地域では旧暦の七夕が始まります。この時期だと織姫様と彦星様
も会える確立が高くなりますので実際に星をみながら子供たちに星の
話を聞かせてあげられるので旧暦七夕を是非お勧めしたいと思います。
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    ★     1.ビオトープ取材記事       ★
         
        いのちの森の日  〜 稲毛第二小学校 〜      
 
                   
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 学校ビオトープ実践校のご紹介をいたします。千葉県にある稲毛第二小
学校のビオトープ“いのちの森”を訪問いたしました。学校が建っている
所は東京湾の埋め立てよって作られた(昔は海だった)住宅街の中です。
今回ビオトープ活動を中心で活躍されています横田氏を訪ねていろいろお
話を伺いました。
■ビオトープ概要
 稲毛第二小学校のビオトープは1999年から始まり、今年で6年目。
2002年の「第2回全国学校ビオトープコンクール」で文部科学大臣賞
を受賞し、今も精力的に活動されています。
 ビオトープは校庭の南側フェ ンス沿いに位置し、小川と池を中心に水草
や樹木が植えてあります。 子どもたちが親しみやすいように木にはロープ
やブランコなどの遊具を付けてアスレチックが出来るようになっています。
回りには水田に畑もあり、色々な体験学習に使われているそうです。
 水は地下水をポンプで汲み上げで利用しています。最近、一定の水量を
キープできるようにタイマー装置を設置したそうです。また緊急時や子ども
の体験用に手動式ポンプも 残してあります。池にはメダカやヤゴが生息し、
最近はここで生まれたホタルも見られるようになり、鑑賞会も開催したそう
です。■いのちの森の日
 ビオトープはつくった後にどのように活用するかが重要になります。
ここでは「いのちの森の日」として子どもたちに自然観察と体験学習をす
る企画を、その季節に応じた内容でビオトープを使って毎月開催していま
す。
 参加メンバーは稲毛第二小学校と稲浜小学校、稲浜中学校の3校の生徒
と幼児、保護者を合わせると100から200人が参加しています。
 私が訪問した7月は「流しそうめん」の月。自然観察は時間の都合で無
くなりましたが、ミドリガメのお話しを聞くことが出来ました。
 ミドリガメはビオトープに向かって校庭を歩いていたのを発見し捕獲し
たそうです。ご存知のようにミシシッピーアカミミガメという外来種で魚
や昆虫、水草などを食べる雑食性です。もし偶然発見されなかったらビオ
トープの生物がいなくなるところでした。こういった身近な事をきっかけ
に子どもたちに 生態系についてのお話しをされていました。
 メインイベントの「流しそうめん」ですが、そうめんを流すトイやコッ
プにお箸など道具をつくるとこはら始まります。材料はすべて竹。作り方
を指導しながら子どもたちが主体になってつくる体験学習です。中にはノ
コギリが上手く使えず斜めに切ってしまい傾いたコップがありましたが、
それはそれで、こぼさないような工夫や発見が生まれるのだそうです。
一生懸命働いて待ちに待ったそうめんの味を子どもたちに聞いてみると
「家よりずっとおいしい!」だそうです。理由は「流れているから」「外
で 食べるから」「お友達と一緒だから」とか色々ですが、「おいしい」
とい う言葉はみんな共通していました。子どもたちは毎月のイベントを
楽しみにしているようです。
 この日、残念ながら中学生は部活のため参加できなかったそうですが、
平日には「後輩のために」とビオトープの作業を手伝うそうです。ビオト
ープのテーマが息づいている証拠です。年々OBは増えていくので稲毛第二
小学校のビオトープ“いのちの森”の輪はますます広がっていくように感
じました。
■所感
このような活動に参加したのは今回が初めて。子ども達の楽しさが伝染し、
私も楽しい時間を過ごすことができました。
このビオトープは創設時の校長が退任後、崩壊の危機があったそうです。そ
ういった状況を乗り越えてきたのは現在も中心となって運営しているスタッ
フの熱い志しによるものだと強く感じました。「ビオトープは何のたに?」
その答えは挫折することが許されないほど重要であることを今回の訪問で教
えられたように思います。
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    ★     2.コラム C.W.ニコル氏       ★
         
         〜 私と「里山」との出会い 〜        
                 
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 私は1962年から東京の下町に住み始めたのだが、その2年後、私は
もっともっと緑が必要だと考えて、東村山の秋津に移った。
そこは、あたかもアニメ『となりのトトロ』の世界さながらだった。
小川の流れと木々が生い茂った豊かな自然が残り、わら屋根の家々があり、
そして未だ農夫がそこここにいたものだ。
 かつて、明治のはじめ頃、日本の田舎を始めて訪れた外国人は、『日本
人は田畑を持っていない。彼らは庭園を持っている』と評したそうだ。
数十年後にそれを読んだ私は、秋津に来て、彼が何を言おうとしたのか
理解できた。
 実際、かの地の農夫たちが果樹園や畑を手入れする様は、耕すと言うよ
りもガーデニングに近いと思われた。なかでも、今でも印象に残っている
のは、肥料のやり方。
 
 欧米の農場では動物性の肥料を畑一面に撒き散らすが、日本は、そんな
乱暴なやり方はしなかった。晩秋の里山に入っては大量に落ち葉を拾って
きて、適当な期間寝かせる。そして発酵させた落ち葉(推肥)を、野菜の
畝の間に浅く切った溝に撒き、その上から土を被せるという優しいやり方
だ。
 また、焚き木で沸かす昔ながらの五右衛門風呂や、ほとんどの家庭で使
われていた炭なども懐かしいが、それは、樹木と暮らす生活がしっかり
根付いていた証であり、また里山は子供たちの絶好の遊び場でもあった
ものだ。
私は週末になるとそれらの里山を歩き回り、そしていたずらっ子たちと走
り回ったものだ。
20代前半、まだ外国人だった私が『ニンジャ』ごっこや『ちゃんばら』
ごっこを覚え、セミのことや食べられる木の実を知ったのは、すべてこの
経験の賜物だ。
 今では、学習指導の一環として、あるいは大人に率いられた子供たち以
外に、森林で遊ぶ子をほとんど見かけなくなってしまった。また森林も手
入れされない結果、つたやとげのある潅木がはびこり、笹や竹も勢いを増
して過繁茂となり、木々の成長は止まり、薄暗く、うかつには入り込めな
い場所になってしまっている。
 江戸後期、日本の里山は、生態系を知りぬいた人々の手でよく手入れさ
れ頻繁に利用されてきたが、その当時、おそらく世界で最も高い生産性を
誇っていた先進地域だった。江戸期のノウハウやこころを以ってすれば、
材木は自前で充分まかなえるし、浪費はとまり、また海外からの輸入に頼
らなくて良くなるだろう。
 お金のことだけを考えたら、少々高くつくかもしれないが、それ以上に
はるかに美しく、健康的で、ハッピーな国になることは間違いないと断言
できる。
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