[発行日:2006.10.31] vol.19 「都会の真ん中にあたらしいスタイルのビオトープ」 東京都 獨協中学校、継続は力(地から)なり、地域に根ざした環境教育 千葉市 稲毛第二小学校

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┃     ┃ 株式会社トンボ 環境事業企画室
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★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行日:2006.10.31 ━★

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こんにちは、株式会社トンボ 環境事業企画室の小桐(おぎり)です。
今月より再びこのメルマガの編集を担当することになりました。
7月の発行からずいぶん時間が経ってしまい申し訳ありません。
その分がんばって、20号は予定通り11月中におとどけします。
日本を代表する昆虫トンボに負けないよう日々勉強してまいります。
これからもよろしくお願いします。


もくじ 【1】杉村 光俊氏  ハイビジョン「トンボ王国のビデオ完成」

    【2】ビオトープ訪問紀  東京都 獨協中学校
       「都会の真ん中に新しいスタイルのビオトープ」
                
    【3】ビオトープ訪問紀  千葉市 稲毛第二小学校
       「継続は力(地から)なり、地域に根ざした環境教育」
   
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   【1】杉村 光俊氏  ハイビジョン「トンボ王国のビデオ完成」
 
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 トンボ王国のプロモーションDVD改訂版ができました。同様の映像資料
は、既にVHS仕様で3年前にも制作しておりましたが、昨年4月中村市と西
土佐村とが市村合併し市名が四万十市になったことと、私自身ビデオカメラ
をハイビジョンに変え素材の画質が格段に向上したこともあり、今春から編
集に取り組んでいました。
内容は、トンボ王国の歴史、スイレン池や湿地保護区などトンボ王国それぞ
れの環境でみられるトンボ、あきついお四万十川学遊館の展示物や体験学
習プログラムなどをまとめた「四万十とんぼ王国」が約20分、四季の移ろい
を追いかける形でトンボ王国内でみられるトンボを中心として四季の花、蝶
やセミなどトンボ以外の昆虫などを紹介した「トンボ王国図鑑」約30分の豪
華?2本立てとなっています。
前者にはBGMの外、高知なまりのナレーションが入っています。後者は季
節に合わせた日本の曲によるBGMと、種名キャプションでまとめていま
す。ユニークなトラフトンボの産卵行動や幻のトンボとさえ呼ばれるマルタ
ンヤンマ♂の休止など、トンボ好きなら涎がでそうなシーン満載です。この
DVDは「あきついお」ロビーで常時繰り返し上映している外、総合学習な
どでトンボ王国をよくご利用頂いている学校などに進呈させて頂いておりま
す。

一方、約5.5haにまで広がったトンボ王国保護区内のうち、駐車場を含む約
1.2haが借地で、年間約100万円の借地料を要します。
その経費の大半を会費収入の約1/2で対応しているのですが、会員数はこ
こ数年高齢化によるご逝去や退職等で減少の一途です。
そこで入会キャンペーンと称し、先のDVDをトンボ王国の応援団として新規ご
入会下さった方及び、会員勧誘にご協力頂ける既会員の方々などに無償で
お送りさせて頂いております。詳しくは本会事務局まで。

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   【2】ビオトープ訪問紀  東京都 獨協中学校
     「都会の真ん中にあたらしいスタイルのビオトープ」

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10月2日NHKの朝のニュースで、東京都文京区にある獨協中学のビオトー
プが紹介されていました。特徴的だったのは太陽光発電を行って水を流して
いるとのこと。早速取材をさせていただくことにしました。
偶然にも、弊社の制服納品校でもありました。当日は、永井校長、笠井教
頭、担当の大山先生が応対して下さいました。創立120年の伝統ある私立の
男子中高一貫教育校にビオトープとは大変珍しいことです。

ビオトープづくりの背景について伺うと、学校のモットーは、「あたりまえ
のことがアタリマエにできる」という行動指針と共に「生命あるものと地球
上で共生するための人間教育」とされているそうです。これを実践すべく、
教育理念の具現化の一つとしてビオトープ作りに至ったとのこと。校長自ら
ドイツへ出向き自らビオトープ研究もされたとのことでした。また、「プロ
ジェクトWILD」という自然環境に関する体験プログラムの本なども授業で応
用しながら机上ならびに体験学習を進めていらっしゃるとのこと。
本論のビオトープについてですが、
5月より環境教育委員会を立ち上げ、獨協環境通信の配布で生徒、保護者
への意識を高めていった。
「仮称ビオトープつくり隊」の募集をすると46名の中学生徒の応募、最終57
名が自主的に参加。ビオトープ作りについて専門家の意見を聞こうと探した
ところ、卒業生の保護者に多摩動物公園に勤務している方がおられ6月23日
に講演をいただく。キーポイントは「多孔質空間」

7月13日にビオトープ建設予定地の草むしりを実行。その後ビオトープ製作作
業が具体的に始まると、それまで無関心だった先生方も積極的に参加、生徒
の参加も増えた。実質10日ほどの施工作業を行い完成した。
水の循環にはクリーンエネルギーを使いたいと考えていた。群馬県太田市の
ソーラー発電施設の設計をした方と知り合い設計を依頼、最終ボランティア
で工事ならびに、太陽光発電パネルを2枚いただけた。
水質を高めたいと、マイクロバブル発生装置をとりつけた。これにより、水
中酸素濃度がアップ、メダカなど30℃で死ぬのが36℃まで死なずにすむ。
植物はミツガシワ、ミゾソバ、ヒツジグサなど植えた。ヨシは入れていな
い。小動物はヌマエビ、メカエビ、ヨシノボリ、クロメダカ5匹など、近所の
ヒキガエルもやって来るのを期待。ギンヤンマは訪れて産卵した様子。
植物プランクトンが発生しており、緑のアクができている。顕微鏡で確認し
てわかった。まだ動物プランクトンはいない様子。今後は理科の授業で、観
察などができるとの大山先生談。
完成は9月の末、文化祭の当日にNHKが「太陽光発電をもった初めてのビオ
トープ」と紹介した。実は男子校としては初めてだそうです。
費用は全部で計算上は100万ほどかかったが、太陽光発電パネルや設置
ポールなど30万以上は寄付を頂き、実質は59万ほど、これも学校すべて、保
護者、教職員の寄付でまかなった。
付近には自然が結構残っていて沢蟹も棲むところがあるとのこと。場所は秘
密ですと校長。また学校も多いことから、点から面への環境教育の拡大を狙
い、「東京環境教育実践研究会」を組織し、学校間の連携を図られていま
す。
縦の長さ15m 幅2m強とさほど大きくないビオトープですが、付近の自
然の状況から考えるとビオトープ回廊として機能できるという風に感じまし
た。ビオトープに早くいろんな動植物が来てくれことが待ち遠しい感じで
す。私学だけに先生が継続的に取り組むことができるメリットは大きいで
す。
来年度は屋上緑化に取り組むとのことです。今回は中学生が中心だったの
で、高校生たちが来年こそはと張り切っているとのこと。都会の真ん中で新
しい形でエコスクールが出来上がろうとしています。

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   【3】ビオトープ訪問記  千葉市 稲毛第二小 
     「継続は力(地から)なり、地域に根ざした環境教育」 

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今年で7年目を迎える千葉市にある稲毛第二小学校のビオトープ。1年ぶりの
取材です。このビオトープは第2回全国学校ビオトープコンクールで文部科
学大臣賞を受賞された学校です。当時の校長先生も引退され、ビオトープを
作った児童も今年19歳になるとのこと。児童数も大分減ってきており、二
小単独では参加も少ないこともあり、(以前から近隣校の児童や幼稚園児も
参加)今年度からは、稲浜公民館の主催事業となり、「稲毛二小のビオトー
プ」を使った稲浜中学校区の「自然環境体験学習プログラム」となったそう
です。でも学習・遊びの内容は変わっていません。高学年の児童はスポーツ
活動などいろいろ忙しいので最近は低学年や幼稚園の参加が中心とのこと、
10月15日風が吹き、小雨交じりの肌寒い日曜日、9:30すぎから子供たち
がやってきました。総勢35名もの児童の数です。保護者も10名弱いま
す。
当日のプログラムは「これであなたもバッタ博士!?」ではバッタの紙芝居
と草むらでバッタ釣り、これが、結構釣れました。 次は、「種の旅」とい
うプログラムでいのちの森の中を散策しながら種を探し、増やし方ごとに分
けノートにテープで貼るというものです。 「種の飛行模型作り」は強風の
ため、残念ながらお持ち帰りということになりました。
続いては、いのちの森の田んぼの「脱穀・籾摺」。手作りの竹の脱穀機で、
わいわい楽しく脱穀、籾摺体験も少しですけどできました。
12時になって、焼き芋もできて、おにぎりと一緒にたべて、13時過ぎに解散
となりました。
それから、片付け、スタッフ以外に参加した保護者も一緒にしまいます。
でも、「自分ができる範囲でやる」のがルールとか、無理をしすぎるとだん
だん人間関係が悪くなったり、気まずくなったりするそうです。用事がある
人は帰る。
長い間いのちの森の運営にかかわってきたボランティアの代表横田さんやス
タッフの方々はその後も残って夕方まで片づけをされていました。
参加者の中に、「いのちの森の日が楽しいから」とわざわざ転校してこられ
たお子さんとお母さんに出会えました。ここでは子供たちがのびのびする。
家では「あれしなさい、これしなさい」「あれはだめ、これもだめ」といわ
れている子供たち、「ここに来れば森もあれば、ブランコもある、別に話を
聞かなくても自分が自由に楽しめるし、叱られたり、強制されることもな
い。大人も一緒に童心に帰って楽しめる。だからそんな心や雰囲気のある小
学校に通わせたかった」と言われていました。なるほど、ここはいのちの森
なのですね。
スタッフの方々の努力には脱帽。こんなに熱心なビオトープを軸にした学習
会はあまり見られないのではと感じます。この活動を他の地区で実践すると
なるとできるのだろうか?こんな疑問が生じたのも事実です。
みんなが無理をしない範囲で楽しめるビオトープを使った活動はどうやった
らできるのだろう?コアスタッフ以外の方々は本当に無理をせずに参加して
いるという感じがしました。コアスタッフの方も無理はせずに本当に好きだ
からのめりこんでいるという感じです。
ここは学校の授業ではないので楽しみながらやれる部分もあります、参加者
も広範囲からやってきます。授業だとまた、別の視点も必要でしょう。これ
もビオトープを軸にしたひとつのあり方だと思います。
 これからもずっとつづく「いのちの森の日」。最後は晴れやかな空が広が
る10月の日曜でした。

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┃        〒700-0985
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