[発行日:2009.01.29] vol.51 コラム C.W.ニコル氏、稲毛二小 いのちの森のお正月 他1件  

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★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行日:2009.1.29 ━★

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  ★☆★トンボ・エコフォーラム掲示板を開設しました★☆★

 環境学習(自然環境教育・消費者環境教育)に関心のある先生や
 NPO法人会員、保護者の方の情報交換の場としてご投稿をお待ちし
 ております。お気軽にご利用ください。
 http://www2.tombow.gr.jp/eco_project/eco_forum/index2.html

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こんにちは、トンボ環境事業企画室の小桐です。今年はじめてのメールマ
ガジンです。オバマアメリカ大統領が就任して10日近くが経ちます。
環境政策はじめ、諸々の新しい政策が打ち出され、世界が期待をしていま
す。経済的には世界が大変な状況の中、企業が取り組む自然保護活動や生
物多様性の取り組みの後退が危惧されます。シンクグローバリー、アクト
ローカリー 今年も様々な地道な取り組みをご紹介したいと思います。



   もくじ【1】コラム C.W.ニコル氏 
         「プリンスオブウェールズ」

      【2】稲毛二小 いのちの森のお正月 

      【3】里山に学ぶこれからの生活2 桜川中学校

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  【1】コラム C.W.ニコル氏 「プリンスオブウェールズ」  


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何世紀にも渡って続いてきた英国王室の伝統。それはイギリス国王の王位
を継承する第1番目の男性は必ずプリンスオブウェールズになるというこ
とだ。

現在のプリンスオブウェールズは、エリザベス女王とフィリップ公の間に
生まれた長男チャールズ皇太子。
「エリザベス女王は息子が1人もいなかったジョージ6世の長女であった」
この伝統は600年以上前から続いている。
その昔、イングランド(アングロサクソン人)が英国を統治することに抵抗
するウエールズ(ケルト人)はたびたび暴動を起こした。{隣の島の北アイ
ルランドでは、つい最近まで続いていたが、それを収めるためイングラン
ドの王様がウエールズ人に約束した取り決めなのだ。

もちろんチャールズ皇太子もウエールズ人ではないけれども、ウエールズ
人の歴史、文化や言葉を良く学んだ。そしてウェールズのカーナーボン城
において行なわれたセレモニーで彼がプリンスオブウェールズになった時
には、歴史上初めて英語ではなくウエールズ語で演説を行なった。

それは英語とは全く違う難しい言語だ。ウエールズ人が皆感動をしたのを
僕は昨日のように思い出す。
現在、チャールズ皇太子は貧しい子ども達や若い人を支える慈善事業や有
機園芸や有機農業、人間と野生生物の双方が利用する森林の改良などに対
して自身の人生の大部分とお金を捧げている。
日本は、残念なことに故ダイアナ妃のことだけが注目されてしまい、この
ような活動は知られていない。
そして、食料自給率や農業の衰退などの問題は深刻になる一方だ。
英国も同じ道をたどっていたが、皇太子がとったリーダーシップにより有
機農業が盛んになり地方が元気を取り戻している。
私は、もっと日本と英国が仲良くなって欲しいと願っている。

僕が初めて日本に来たのは1962年(昭和37年)で、黒姫で住むよう
になったのは1980年(昭和55年)。私は他の国で過ごした時間より
も日本での生活が長い、そして1995年に日本国籍を取得して日本人に
なった。
私は日本人であるということに誇りを持っているし、それと同じくらいウ
エールズ人であることにも誇りを持っている。

私たちの黒姫にある里山『アファンの森』を皇太子が訪問したがっている
という話を聞いた時、私は大変誇らしく幸せで胸がはじける思いだった。
そして、彼は昨年の10月30日にやって来た。皇太子は想像していたと
おり大変知性豊かで魅力的な人であった。野生生物や森について造詣が深
い皇太子は、私たちがどのように様々なキノコを育てているか、そして大
スズメバチと戦う唯一の種ニホンミツバチについて特に興味を持ったよう
だ。

ニホンミツバチはスズメバチの先鋒がやってくると集まって周りを取り囲み、
羽を擦って体温を上げて熱でスズメバチを殺してしまうすごい能力をもった
生物だ。

そんな話をしながら私達は1時間半ほど森の中を歩き、焚き火の前に腰を下
ろし日本ミツバチの蜂蜜を入れたお茶を啜りながら語りあった。実に満ち足
りた時間だった。



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        【2】稲毛二小 いのちの森のお正月  


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昨年7月以来半年振りの行事紹介となった「いのちの森」の活動です。
千葉市立稲毛二小ビオトープで、1月18日にお正月にちなんだアクティビ
ティが沢山行なわれましたのでご紹介します。

< お飾りの解説 >
いつもどおり、会場には約50名の児童とその保護者達が集まりました。
はじめに、グループ2000代表の横田さんから、日本のお正月について話
があり、お飾りの意味などを聞きました。お飾りのウラジロは「葉の裏が白
く」これは、「腹黒くない」ことを意味している。鏡餅は鏡というのは神様
が宿るという言い伝えがあり、鏡の形を象ったお飾りで一年の始めを神様と
共にお祝いする、その上に飾る橙は子孫が代々繋がるようにとの意味が込め
られているなど。お飾りの意味を聞く機会の少ない子ども達は、神妙な顔を
して聞いていました。とは言っても一度に理解できるはずもなく、毎年同じ
話を繰り返し聞くことで分かっていくのだと思います。

< 知恵を絞ったアクティビティの数々・スタンプラリー >
毎年1月はお正月にちなんだ伝統的な日本の遊びや行事を体験します。毎年
同じメニューでは、飽きるとのことでスタッフも色々と知恵を絞っておられ
ます。

この日の自然観察は「虫の冬越し・ふゆごもりスタンプラリー」です。
いのちの森のいたるところに隠れている虫たちがどんな格好でどこにいるの
かをスタンプラリーで探します。どんぐり、ホタル、トンボなど色々な生き
もの11種のスタンプはスタッフの一員である児童の保護者が消しゴムを削
って作りました。とても手作りとは思えないできばえ。児童たちは、ラリー
用紙を片手に池や田んぼ、ツリーハウスの周りなどを巡りました。
       < 伝統的な遊び 羽根つきと凧揚げ >
3年ぶりに復活した羽子板は干支の丑の絵を描く子供たちが沢山いました。
羽根つきは、トンボが飛ぶ姿を現しているといいます。羽根が病気を運ぶ蚊
を食べてしまうトンボに 似ていることから、子が蚊に刺されないように、無
病息災の意味につながったとも言われています。羽の黒い玉は「 無患子」
(むくろじ)という大木の種です。字のごとく子が患わない羽子板が 無病息
災のお守りになった由来です。羽子板はスタッフが桐の集成材の板を切り抜
いたものおよそ150個も用意されており、準備の大変さがわかります。

羽根つきの次の外遊びは凧揚げです。クラフト「はがき凧作り」に挑戦。
丁度良い風も吹いてきて、走り回ると凧もぐんぐん揚がりました。
この季節、普段外で遊ぶことの少ない子ども達、外で走りまわったり、羽根
つきで体を動かしたりする事が体力づくりにも役立つのです。

< 初春にお抹茶をいただく >
「動」の次は「静」。ドームテントでは、お茶席が用意されました。公民館
でお茶を教えておられる先生が和服姿で子ども達に日本の礼儀作法を教えて
くださいます。参加者のお宅にホームステイしているタイの留学生も参加し
て国際的なお茶席となりました。お茶を点ててくれたのはいのちの森のOG
です。

< どんど焼きで無病息災 >
「どんど焼き」も行なわれました。いのちの森の田んぼの稲藁や羽子板をカ
ットした板切れなどで焚き火をして、篠竹などの先に餅を刺して焼きます。
今回は、スタッフ横田さんの実家岡山でついたという豆餅をほおばりました。
関東では豆餅は珍しいとのことで、遠く離れた岡山の味を堪能しました。

だんだんと忘れ去られる日本の伝統行事ですが、ここいのちの森では、スタ
ッフの方々の知恵と努力によって日本のお正月が生きています。幼い頃から
の伝統行事の体験が大人になった時、自分たちのお正月スタイルとして受け
継がれ、次の世代へと引き継がれることを切に希望した、いのちの森のお正
月でした。
当日の模様はこちらからどうぞ

   http://www.tombow.gr.jp/Biotope_melmaga/09.1.27/1.pdf



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     【3】里山に学ぶこれからの生活2 桜川中学校  


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< 桜川中学 環境学習の概略 >
11月に始まった桜川中の里山授業ですが、12月に2回目の授業で、桜川
中学校のある板橋区と今回ご紹介する多摩動物公園地区(里山)の土地利用
の今昔比較を行ないました。どのように変化をしたのか、現在里山がどのよ
うになっているのかなどを生徒は学びました。そして、3回目に実際作業を
する雑木林の保全活動の内容や方法そして注意事項も聞き、今回の実習に臨
みました。

< 活動メニュー >
冬晴れの1月16日に生徒130名が多摩動物公園にやってきました。
今回の学習は、午前中に笹刈りと間伐そして、ドングリのポット苗作りを行
ないました。午後からは森の調査隊と銘打って、五感で味わう自然体験に取
り組みました。そして、最後の体験は自分達が使った鋸や鋏の手入れです。

生徒の指導はNPO法人樹木環境ネットワーク協会のグリーセイバーを中心
に21名が担当しました。生徒は8名が1グループとなり、班単位の行動で
す。

< 間伐と笹刈り >
冬の里山は落葉が積もり、乾燥するとすべり易いので歩き方の注意から入り
ます。体操をして体をほぐし、作業場へ移動。
4つの場所に別れ、森を暗くしているヒサカキ、イヌツゲの間伐とアズマネ
ザサの伐採を行ないました。
ある程度の太さのヒサカキなどは、受け口を切り込み、追い口に鋸を入れて
伐採。当然ヘルメット、ゴーグルなどの服装も整え、抜倒方向に人がいない
ことを確認してからの作業です。30分弱の短い時間でしたが、それぞれに、
木を伐る事の難しさ、楽しさなどを体験してくれたようです。

笹刈りは地道な作業、横一列に並んで隣の人と間隔を保って根元を刈ります
が、黙々とこなす生徒、1本切っては運ぶ生徒など色々。効率をもとめるの
ではなくあくまで体験することに意義があるので安全に気を使ってもらいな
がら笹刈りに取り組んで貰いました。ふざけると怪我をするという注意はあ
ったのですがそこは、やんちゃ盛りの生徒、男子1名が指を切る怪我をしま
したが、それもまた経験。

< ドングリのポット苗づくり >
次ぎに、発芽したドングリ(コナラの実生)のポット苗づくりです。牛乳パ
ックの底角に穴を開け、土を入れ、ドングリをいれさらに土を薄くかぶせま
した。先輩達もポット苗作りには取り組んだのですが、2年経過して残って
いるのは3本程度と自然界の厳しさがひしひしと感じられます。学校に持ち
帰り苗を育てるとのことですが、どれくらいの数が育つのか楽しみです。

< 森の調査隊 >
午後からは、森の調査隊。指定されたポイントでクイズラリーです。全部で
8箇所用意され、クイズ、自然体験それぞれ4箇所が準備されました。
クイズコーナーでは、
1.先輩達が植えたドングリのポット苗の成長現状を観てどうすればうまく
  成長するかを考える。
2.アズマネザサを刈った後のエビネの群生地を観て、笹刈りの意味と効果
  の確認
3.昆虫を育てるための枯れ木の山積みで、人が手を加えることによる森や
  生物の変化
4.シイタケの栽培地で森を利用する人の暮らし

について説明を聴き、理解を深めるためのクイズをしました。
自然体験コーナーでは、臭いや香りのするもの、尖ったもの触ると痛いもの、
指定された形を見つける、音を探す、色や光を見つけるなどを体験しました。
普段里山で過ごす経験の無い生徒たちにとって、自然を教師に、自然から学
ぶというのは勝手が違い戸惑うことも多かったようですが、それなりに楽し
く経験ができたようです。

最後に自分達が使った鋸、鋏の手入れを行い、一日の実習を終えました。
生徒一人一人の感想を聞くことは出来ませんでしたが、普段の学校内の授業
と違う経験から、生徒達は何かを得たのではないかと思います。

幼い時の自然体験ほど効果が有るといわれます。大人でも森林の保全活
動で生き生きしてきたという例を多く耳にします。
今回の活動を通して森の大切さや楽しさ、森と人との関わりなど少しで
も生徒の心に残れば、体験授業の意味もあったのではないかと考えます。
体験授業の模様はこちらから
 
   http://www.tombow.gr.jp/Biotope_melmaga/09.1.27/2.pdf

最後に
生徒たちの声を先生よりいただきましたので抜粋して紹介します。

http://www.tombow.gr.jp/Biotope_melmaga/09.1.27/3.pdf

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