[発行日:2009.11.30] vol.61 第一回生物多様性日本アワードグランプリを授賞して、エコプロダクツ展出展のご紹介

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┃     ┃ 株式会社トンボ 環境事業企画室
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★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行日:2009.11.30 ━★


こんにちは、トンボ環境事業企画室の小桐です。
まもなく12月を迎えます。近くの田んぼでは、春の七草ホトケノザが
咲いています。本当は年明けて咲くはずでは?と思っていたところこんな
話を聞きました。

昔と違って稲刈りの時期が早くなっており、畦の草刈も早い時期に行なわ
れるので、本来は枯れ草になるはずが、刈った後からホトケノザなど春に
咲く花が秋〜冬にかけて顔を出すことになるそうです。
このことが、奥山に近い地域では、シカ、イノシシなどの冬場の餌作りに
なり、獣害の影響の一つとなっていることです。農業の変化が生きものに
も変化を与えることになるのだと実感した話でした。同じく人間の行為と
自然が密接に関わる話題を今回はお送りします。



   もくじ【1】第一回生物多様性日本アワードグランプリを授賞して 
        < NPO法人 アサザ基金 >

           
      【2】霞ヶ浦のアサザが再び危機を迎えています。
         < NPO法人 アサザ基金 代表理事 飯島 博氏 > 


      【3】2009エコプロダクツ展 出展のご紹介   
                  
      


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    【1】第一回生物多様性日本アワードグランプリを授賞して 
        < NPO法人 アサザ基金 >
          
  
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2009年10月9日、名古屋市内で開催された第一回生物多様性日本アワード授
賞式において、優秀賞8団体の中からアサザプロジェクトがグランプリを授
賞しました。
「地域企業との協働による谷津田の保全」が受賞対象の活動です。
「谷津田の再生を農業の視点で取組み、地域の酒造会社の日本酒製造技術と
多様な企業の人的、経済的支援を活用し、再生された谷津田で生産された酒
米を原料として日本酒を醸造する独創的なアプローチで「持続可能な利用」
を具体化したこと」が高く評価されました。

表彰式には秋田県で出前授業をしている飯島の代わりに、顧問の牧がプレゼ
ンを行い、事務局の諏訪とともに小沢環境大臣から賞状や記念品、賞金をい
ただきました。

生物多様性日本アワードは、2010年に名古屋で開催予定の生物多様性条約第
10回締約国会議(COP10)に向けて、環境省とイオン環境財団が「生物多様
性の保全と持続可能な利用」を推進することを目的に創設したものです。

霞ケ浦の流域には水源となる「谷津田」が数え切れないほど沢山ありますが、
その多くは農業人口の減少や高齢化、農業機械を利用しにくい地形なども手
伝って、荒れ果てたまま放置され、問題となっています。
アサザ基金では、地域、NPO、企業の環境啓発事業を連携させて「水源地保
全のための酒米づくり」を2004年から始めました。荒れた水源地谷津田を復
田して、企業の参加者(多くはご家族)がすべて手作業で「田植え→草取り
→稲刈り→脱穀→酒仕込み→蔵出し」をボランティアで行いま

自分達が育てたお米からお酒を造るこのプログラムは大変好評で、現在では
流域のあちこちで多くの企業がそれぞれの社風を生かして取り組んでいます。
年間の参加者は2000人程になります。無農薬、無化学肥料、湧水で育ててい
る田んぼには、多くの生きものがいつのまにか集まってきます。とりわけ、
トンボやカエルたちには暮らしやすい場所として評価されているようです。
ニホンアカガエルやアズマヒキガエルが田んぼ全体で見られるようになりま
した。トンボではオニヤンマやシオカラトンボはもちろんのこと、シオヤト
ンボ、オオアオイトトンボ、ノシメトンボ、ウチワヤンマ、マイコアカネ、
アキアカネなど一度は姿を消してしまった生きものたちが戻ってきています。

サシバやオオタカも頭上を旋回していますし、時折シマヘビも田んぼの水面
をダイナミックに泳いでいます。かつてのように、豊かな生き物を育む場所
は、そこにかかわる人々をも豊かにしてくれるようです。

農作業に参加している子ども達にとっては、この生きものたちとのふれあい
が大きな楽しみの一つです。汗だくになって農作業のお手伝いをした後で、
泥まみれになって生きものを追いかけている姿は本当にほほえましく、自然
と人間のかかわりの大切さを改めて実感致します。

アサザプロジェクトは1995年から、霞ケ浦の自然再生を流域の子ども達の環
境学習を中心に学校や行政、農林水産業や市民の皆さんなど、多くの方々の
ご支援をいただいて大きな成果を上げてきました。今後も自然と人間が共存
できる豊かな社会を、次世代を担う子ども達の環境教育を通して実現してま
いりたいと考えています。

アサザプロジェクトを応援して下さい!

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上記のように表彰された市民運動アサザ基金が危機を迎えています。
アサザ基金からのメールでその危機についての意見書が送られてきました。

「霞ヶ浦湖岸植生帯の緊急保全対策評価検討会」の廃止と、
生態系に配慮した適切な水位管理に関する委員会の設置を求める要望書
として国土交通省 霞ヶ浦河川事務所長 宛に出した要望書は受け入れられ
ませんでした。そこで再度前原国道交通大臣宛に送った書簡です。
是非ご覧下さい。 

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     【2】霞ヶ浦のアサザが再び危機を迎えています。
      < NPO法人 アサザ基金 代表理事 飯島 博氏 > 

  
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「霞ヶ浦の生物多様性を損なう水位上昇管理の中止を求める要望書」

国土交通大臣
前原誠司  様                2009年11月16日  
       NPO法人アサザ基金
                        代表理事  飯島 博
                  
1万人を超える小中学生が湖に入って再生活動に取り組み、18万人を超え
る市民が流域で多様な取り組みを続けてきた霞ヶ浦再生事業。
そのシンボルとなってきた湖の水生植物アサザが絶滅の危機に追い込まれて
います。多くの人々による長年の努力の結晶が、いま硬直化した行政によっ
て踏みにじられようとしています。

来年日本では生物多様性条約国会議の開催が予定されていますが、生物多様
性保全の分野では国内外に先進的な事例として知られ、自然再生推進法のモ
デルとして取り上げたアサザ保護の取り組みが、行政の無理解によって継続
不可能な状況に追い込まれている今日の状況を、世界の人々はどのように見
るのでしょうか。

国土交通省霞ヶ浦河川事務所は、湖の生態系に悪影響があるとして中断され
ていた湖水位の冬期上昇管理を、私達の反対を押し切り2006年から再開
しました。それと同時に、それまで回復傾向にあったアサザ群落は次々と消
滅をはじめ、絶滅の恐れのある状態にまで追い込まれてしまいました。

このような危機的な状況にありながら、霞ヶ浦河川事務所は有効な対策を一
切講じることもなく、アサザが絶滅へ向かって減少を続ける状況をただ傍観
しているだけです。
(この水位上昇管理は、将来見込まれる水需要のために実施されているもの
で、現在の水需要に対応したものではありません。
実際に、将来の水需要予測はすでに下方修正され、現在は水余りの傾向にあ
ることを行政も認めています。つまり、湖の水位を上昇させる必要は少なく
とも現在無いのです。)

しかし、この間に霞ヶ浦河川事務所は自らが保全の対象としているアサザに
対して一切の一切の保護措置を講じてきませんでした。
それどころか、今年の6月には長年地域住民や小学生がアサザ等の復元に取
り組み再生させることができた植生帯を、実験と称して霞ヶ浦河川事務所が
何の説明も予告もなく重機を入れて破壊するという事態まで生じています。

また、霞ヶ浦河川事務所は水位上昇管理の影響を評価する「霞ヶ浦湖岸植生
帯の緊急保全対策評価検討会」(以下、評価検討会)を開催してきましたが
湖全域で進行するアサザ群落やヨシ原の減少を認めず、必要な保護措置につ
いても検討を行ってきませんでした。

11月13日付けで、霞ヶ浦河川事務所は今年度も冬期の水位上昇管理を実
施すると回答してきました。このままでは、アサザのみならず湖の生態系は
壊滅的な影響を避けられません。すでに、1996年から2000年までに
行われた冬期の水位上昇管理によって失われた植生帯の再生事業には、34
億円の税金が投じられています。ところが、このようにして再生された植生
帯が、再開された水位上昇管理よって再び消滅を続けているのです。
(先述したように河川事務所自らが重機による破壊も行なっています。)

このように硬直化した行政を放置することは、自然環境の破壊のみならず財
政的にも今後国民に対して膨大な負債を負わせることになるだけです。
また、長年たくさんの市民の善意と努力の積み重ねによって再生しつつあっ
たアサザ群落をはじめとした植生帯を破壊し続けることは、多くの国民から
行政への信頼を奪う行為であることを自覚するべきです。

霞ヶ浦開発事業の運用規則において、水位の管理は植生帯の保全に配慮して
実施することが定められています。現在は需要見込みの無い水量を確保する
ために水位を上昇させ、霞ヶ浦の自然環境に大きな損害を与え続けている現
在の水位管理は抜本的に見直すべきです。

このような危機的な状況にありながら、現場の霞ヶ浦河川事務所では全く有
効な措置を講じることができない状態が前所長当時から続いています。
この閉塞状況を打開するために、国土交通大臣の指導が必要です。
国土交通大臣には、国民の信頼回復に向けて早急に適切な措置をとられる
とを求めます。

以上の理由からわたしたちは、以下の要望をします。
1.冬期の水位上昇管理を速やかに中止すること。
  
上記の要望について、2009年12月1日までに文書にてご回答ください。


 

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     【3】2009エコプロダクツ展 出展のご紹介
          
  
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明日から12月 今年もエコプロダクツ2009に出展します。今回で11
回を迎えるエコプロダクツ展、12月10日(木)〜12日(土)までの
3日間、東京 有明ビッグサイトで開催されます。

潟gンボでは今年も出展、トンボのエコ活動についてアピールします。
また、支援するNPOの活動も大きな日本地図で紹介します。
場所は 東4ホール の072。東4ホールの入り口から入って右斜め方向
へほぼ中央付近に「トンボ学生服」のブースがあります。

展示内容はこちらからどうぞ
   http://eco-pro.com/eco2009/guidebook/index.html
ここにトンボと打ち込んでください

ブースでは、小学生〜高校生、一般来場者の方にトンボクイズをビンゴ形式
でチャレンジしていただきます。9問の問題から縦横斜めの1列を選んで答
えていただきます。3問正解すればトンボオリジナルプレゼントをさしあげ
ます。

これまでの学校との取り組みも展示しています。岡山県立矢掛高校に制服
の残り布を差し上げ、その布でマイバッグを作って地元の幼稚園にプレゼン
ト。園児と保護者でアップリケをつけてオリジナルマイバッグを作ってもら
いました。狙いは地元の川に棲む絶滅危惧種スイゲンゼニタナゴの生息地を
守るため、川ゴミで一番多いレジ袋の削減を呼びかけ合わせてCO2も削減し
てもらうためです。

このコラボ企画は11月1日に行なわれた岡山県のエコイベント エコ&フ
ードフェアの中のCO2削減コンテストで優秀賞を受賞しました。
これまでにトンボでは制服の残り布を230校、3600名を超える学校の生徒さん
たちに配布しています。この受賞を機会にさらに残布の有効な活用を実行し
て行きたいと思います。

当日の発表の模様はこちらからどうぞ
   http://www2.tombow.gr.jp/merumaga/save_up/5-file_3sHGAv.pdf





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┃ 発行者: 株式会社トンボ  環境事業企画室
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┃      岡山市北区厚生町2−2−9
┃      Tel 086-232-0368 Fax 086-225-6680

┃ ホームページ:http://www.tombow.gr.jp
┃ 問合せページ:https://www2.tombow.gr.jp/otoiawase/eco_project.php

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