[発行日:2010.10.29] vol.72 COP10イベント会場で見た生物多様性、ビオトープ管理と綿花栽培ほか

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┃     ┃ 株式会社トンボ 環境事業企画室
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★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行日:2010.10.29━★


こんにちは、トンボ環境事業企画室の小桐です。
生物多様性COP10が名古屋で開催され、生物資源の持続的な利用やそ
の公平な配分をめぐる協議が行なわれる間の2週間に 奄美大島では未曾
有の大雨による水害や台風、一転1週間ほど後には北は雪、本州は氷点下
に近い温度に日本列島が見舞われるなど、広い日本とは言え、激しい気象
変化に見舞われています。異常気象はもはや以上でなく日常になりつつあ
るのかもしれません。

今回は、話題のCOP10を視察して感じたことと和棉のその後の
成長についてお伝えします。


   もくじ      
           
      【1】COP10イベント会場で見た生物多様性
            
      【2】第25回WE LOVE トンボ絵画コンクール入賞者決定

      【3】和棉栽培とオーガニックコットン

 



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      【1】COP10イベント会場で見た生物多様性 
                 
            
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生物多様性COP10の会期終盤、会議場の横のイベント会場を訪ね、200
を超える団体のブースを見学しました。日帰りと言う制約もあり一部の
ブースしか見られませんでしたが、一定の潮流を知る事が出来ました。

潟gンボとしてやはり気になるのは企業の生物多様性への取り組みです。
参考となったのは、企業と生物多様性イニシアティブに属する企業の展
示でした。

特に生物多様性を原材料調達から研究開発、製造、物流、使用、廃棄
までの総合的な影響評価として生物資源への影響も加味して捉える姿は
今後のビジネスの潮流であり、企業のCSR経営に大きく関わるものだと
感じました。これまでは自社の製造工程における環境影響負荷低減に
取り組む企業は多かったのですが、地球環境の悪化による生物への影
響はビジネスリスクとして考えて行かねばならない段階に来ていると痛
感しました。

同時に生物資源の利用は持続可能な形で行なわなければならない、生物
資源を保全するのは直接益を受ける企業だけの問題では無いようです。
生物資源の利益配分をめぐっての問題が今回のCOP10の大きな焦点ですが
今後リスクを避けるための国産原料調達という動きもそのうちに出てく
るような感じです。

次に感じたのは、企業と市民、NPO、学校との連携です。
次代を担う学生世代への学習機会を学校の授業だけでは出来ない現場体
験と座学を通じて提供。NPOの専門知識を活用して、地域の自然環境に生
徒の意識の広がりをもたせる取り組みを見る事ができました。
企業ブースで学校と一緒に取り組んだ生物生息域を守る活動を企業ブー
スで行なう小学校もあり、エコプロダクツ展とは一味違うイベントとい
う印象でした。

弊社もNPO法人樹木環境ネットワーク協会と協働して里山授業を行なった
りしていますが、環境に関心を持つ人材育成と共に、自社のグッドイメ
ージを形成するブランディング活動としての意味も持つようです。

最後に市民と自治体、NPOが地元の生物に関して、その生息域を保護した
り、生活を切り替えることによって、自分達のふるさとを守る動きも多
く見られました。

まずは、自分達が自然の恵みによって生かされていることを感じ、現在
の自分達の生活が知らないところで、どのような影響を与えているかを
もっと市民一人一人が知る必要があると感じたイベントでした。 

企業、市民、行政、学校の垣根を越えた交流がこれから社会を良き方向
に導いてくれそうです。残された時間は決して多くないことも感じた
COP10イベントでした。

会場の雰囲気を少しご覧下さい。
http://www2.tombow.gr.jp/merumaga/save_up/5-file_nvDfEU.pdf



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   【2】第25回WE LOVE トンボ絵画コンクール入賞者決定 
                 
            
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今年で四半世紀を迎えたWE LOVE トンボ絵画コンクール(朝日新聞、
朝日学生新聞主催、潟gンボ協賛)はこれまでで最高の応募数
170,008点が集まりました。

1次審査、最終審査を経て入賞作品が決定、11月20日に朝日新聞本社
浜離宮ホールにて表彰式が行なわれます。最終審査では力作の中から各賞
を決定するのに審査員の方たちも頭を悩ませました。
表彰式が終了しましたら25回の優秀作品を弊社ホームページに掲載しま
す。どうぞお楽しみに。




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        【3】和棉栽培とオーガニックコットン 
                 
           
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5月から栽培を始めた和棉栽培ですが、かなりの量が収穫できましたので
ご報告します。まだ、花が咲いていてもう少し収穫量は期待できそうです。
18本の綿から種を含めて80グラムほどの綿花が取れました。
綿100%のTシャツに換算すると約半分くらいという量だと思います。

一番数の多かった地元の備中棉が9株で41グラム、後の大島綿、河内綿
がそれぞれ5株で20グラム前後です。
分量は41グラムがこんな感じです。
http://www2.tombow.gr.jp/merumaga/save_up/5-file_hGp9cL.pdf

嬉しい事に 収穫できずに地面に落ちた綿の種子から発芽して2世が出来
ています。2世というのは変な言い方ですね。これまでずっといのちがつ
ながってきているのでものすごい世代数のはずです。
最新の発芽した種子は寒くなるので花が咲くところまで成長は難しいとは
思いますが、折角のいのちなので暫く見守りたいと思います。
こんな風に育っています。
http://www2.tombow.gr.jp/merumaga/save_up/5-file_ouKfOM.pdf

和棉栽培を通して教わることは色々有りました。先月ご紹介した小宅小学
校では、来月綿の収穫後の糸紡ぎが始まります。みんなでがんばって紡い
で布を作って、12月冬休みにマイバッグを作る所までやります。

さて、弊社では来年の新商品としてオーガニック体操服を発売します。
これは、海外トルコの地中海に面した地方の綿花ですが、和棉と違って実
は大きいです。商業生産をする以上は綿が大きいものが良いのでしょう。
もともと和棉は全体華奢な印象です。

オーガニック綿は3年間以上農薬を使っていない土壌汚染のない畑で遺伝
子組み換えのない綿花を無農薬で栽培したものを、さらにオーガニック認
証基準に基づいて、洗浄したり、紡いだりして、布や編みたてをしたもの
です。製品に占める綿の割合により、オーガニックコットン製品のマーク
がついたりつかなかったりします。

オーガニックコットン製品の世界の普及量は全体の0.1%程度というこ
とです。まだまだ、農薬や化学肥料を使った栽培が多いということです。
インドでは、農薬栽培からオーガニックコットン栽培へ切り替えを進める
動きもあります。2年間は収量が落ちて収入が減るので、切り替えの間の
収入のサポートをしてオーガニック綿を増やそうとする日本企業も出てい
ます。3年未満の無農薬栽培の綿をプレオーガニックコットンといいます。

また、インドでは、1代限りのF1種を作るのに労働内容や背丈の都合で
児童の労働が充てられているところも多いといいます。インド全体で児童
労働が40万人はあると言われ(綿花以外の労働含む)ます。

もともと自家受粉で実をつける綿ですが、収量の多い綿花を作り出すのと、
毎年種を買ってもらうために欧米の種苗会社がコストの安いインドで種を
作っているとの情報です。そこで育てられた種は、インドだけでなくアメ
リカでも栽培されているようです。

日本へは各国から入ってブレンドされるのでオーガニックコットン以外は
どの国のものがどれくらい入っているかは解りません。

持続可能な衣料品とは? 今回綿花栽培を通して色々な事がわかりました。
生物多様性(遺伝子組み換えによる生物への影響)、栽培する人の健康問
題、児童労働など 普段の生活では見えない事が見えました。

このメルマガの読者の方は決して激安綿商品は買わないで下さい。そこに
は必ず明らかにされない問題があります。 オーガニック商品が広がる事
が地球にとっても私達にとっても持続可能である事がわかりました。

今後、出前授業で児童生徒に綿栽培の体験をしてもらい、オーガニック綿
の価値を伝えていきたいと思います。


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