[発行日:2011.09.30] vol.83 東京湾内埋立地 海の森での生き物調査

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★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行日:2011.9.30━★




こんにちは、トンボ環境事業企画室の小桐です。

9月最後の日となりました。
今月は2つの台風で日本列島のあちこちで被害が発生した月でした。
弊社の物流センターも台風12号で被害を受け、一部商品が水につかって
しまいました。 豪雨のすごさをまざまざと体験しました。

同町内では床上浸水の被害に遭った住宅も出て、ボランティアで畳を片付
ける作業をお手伝いしました。水を吸った畳は大変重く、大人4人がかり
でやっと持ちあがるほどでした。
畳の裏からは、藁がふやけてはみ出していました。畳表はもちろんイグサ
ですが、私たち日本人の生活は農業からの恵み、自然の恵みによって支え
られていたことを痛感しました。

今回は、弊社が支援する環境NPOが主催して行われたイベントにスタッフで
参加しましたのでその様子をご紹介します。



   もくじ【1】東京湾内埋立地 「海の森」での生き物調査

           
      


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      【1】東京湾内埋立地 「海の森」での生き物調査
      
            
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去る9月23日、台風15号が日本列島を縦断した直後に、東京湾に浮か
ぶごみの東京都最終処分場 中央防波堤内側埋立地 通称「海の森」の植
林地において弊社も企業会員となっているNPO法人樹木環境ネットワーク
協会が主催をして、都民の参加者約80名を対象にした1日の生き物調査
が開催されました。

このイベントは、数多くの企業が協賛したり、その社員を運営ボランティ
アとして派遣しており、その中の1スタッフとして参加しました。

東京湾に浮かぶ、ゴミと残土で埋め立てられた中央防波堤内側埋立地。
この、高さ30メートルにおよぶゴミの山に苗木を植え、美しい森に生まれ
変わらせる計画が「海の森」プロジェクトです。市民、企業、NPOなど多
様な主体が参加して作っていく新しい森作りのプロジェクトとして注目さ
れています。

皆さんは最終ごみ処分場と聞くとどのようなイメージをもたれますか?
この埋立地は、昭和48年から昭和62年にかけて1,230万トンのゴミによって
造成し、リサイクル土や建設発生土などで表面に層を形成しています。
面積は、約88ヘクタール(日比谷公園の約5.5倍)。これまでに多数の植林
が行われ、今後も48万本の植林が行われる予定です。

ここでは、ゴミと土を交互に被せたサンドウィッチ構造となっており、
何層にもなって土塁が築かれています。
土は、剪定枝葉から堆肥をつくり、浄水場発生土のリサイクル土を利用し
たものが使われていて、資源循環型の森づくりと言われています。

新しい埋め立て地は土の中からメタンガスが発生しているところもあり、
ガス抜きにパイプが立てられていたりします。近くには風力発電の風車も
2機設置されていて新しいエネルギースポットという顔もあります。
また、都心へ向かう風の道の性格も合わせて持っています。

30年前から埋め立てられた場所は既に何万本もの植樹がされており、草
が茂り、樹木が大きく成長しています。もちろん、今年植林されたばかり
の場所もあります。
平成28年(2016年)に概成予定で、いずれこの地を市民が憩える海の森と
して開放予定であり、そのための定期的な調査の一つが今回の生き物調査
です。
 
海の森の場所はりんかい線東京テレポート駅から車で10分未満と比較的
近いのですが、普段は一般の方は入場できません。

今回は、植物、昆虫の専門家の方4名を講師に迎え、小学生を交えたファ
ミリーが参加し、8グループに分かれて植物や生き物調査を実施しました。
これまでにも何回も専門家による植生調査や動物の調査も行われています
が、今回のように100名近い一般市民が参加しての調査は初めてでした。
当日は、台風によって倒れた木も多く見られ、自然による淘汰もまた見る
ことが出来ました。

今までの調査で棲息している主な動植物を掲載したハンドブックや代表的
な昆虫、樹木を印刷した下敷きが当日配布され同定の手引きとなりました。

植物、動物の専門家のお話を聞きながら、捕虫網で生き物を捕まえてはハ
ンドブックや講師の方に同定をしていただきました。
昆虫は持ち帰れないので、その変わりに生き物カードをゲットこれが小学
生にはとても魅力的だった様です。はじめ虫に触れなかった女の子も最後
は手づかみでショウリョウバッタを捕まえたりしていました。

タブノキ、スダジイ、シラカシ、マテバシイ、ウバメガシ、オオシマザク
ヤマモモ、エゴノキ、ムクノキなど多くの樹種が植樹されていますが、
草本類は土の中にあった種子が発芽したり、風や鳥、昆虫などによって
自然と運ばれたりしたものだけです。それでも数多くの草が生えています。
クズは伸び放題、エノコログサだけもアキノエノコログサ、エノコログサ
キンエノコログサなど3種類あります。

アイスブレイクでエノコログサを使った手品、『穂を逆さに持ち、握った
り緩めたりすると穂が上に上がっていく』を教わった子供たちはいきなり
自然の世界へと溶け込んでいきました。

水の流れは無いのですが、1箇所だけゴムシートで作られた池がありここ
にはヤゴが棲息するなど水辺のビオトープも形成されています。

驚いたことに、アキアカネの成熟したオスを発見できました。あまり水溜
りも無いようなところですが、どこからか水の匂いをかぎつけてやって来
るのでしょう。そこに住む生物は羽を持って移動してくるものだけではあ
りません。ツユムシ、エンマコオオロギ、オオカマキリ、ミツカドコオロ
ギ、クルマバッタモドキ、トノサマバッタなどのバッタ類もいますし、
女郎蜘蛛などのクモも当然います。

秋の生物調査には初めて参加しましたが、これほどに沢山の種類の生き物
が棲息しているとは思いませんでした。都会の入り口に広がる貴重で広大
なビオトープでした。

ここは、2020年東京オリンピック立候補の際の馬術やボート・カヌー
の競技予定地にもなっているそうです。小学生たちの生き物観察など自然
と触れ合える教育の場としての新しい森づくりとして期待されます。

当日の模様はこちらからどうぞ
http://www2.tombow.gr.jp/merumaga/save_up/5-file_NN2thB.pdf


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