[発行日:2013.02.12] vol.100 冬のトンボ王国、アキアカネが戻ってきた たつの市立小宅小学校、高校生が授業で取り組む持続可能な衣料作り

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┃     QQ    【 トンボ エコ&ESD メールマガジン 】 
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┃  ⊂≡⊃‡⊂≡⊃       vol.100         
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┃     ┃       株式会社トンボ 環境事業企画室   
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★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行日:2013.1.28━★



こんにちは、トンボ環境事業企画室の小桐です。
2013年が始まり、1ヶ月が経とうとしています。
まだまだ寒い日が続いており、まさに真冬の寒さです。旧暦では師走の
18日、来月の10日が新年の始まり、2月4日には立春を迎えるので
春も近づいているのですが、まだその気配遠しと感じる今日この頃です。

2003年6月に始まったこのメルマガが今回で100号を迎えました。
これまでのご愛読有難うございました。
今後も「環境と持続可能」をテーマに話題をお届けしたいと思います。
これからもよろしく御願いします。


 もくじ【1】冬のトンボ王国
     
    【2】アキアカネが戻ってきた たつの市立小宅小学校

    【3】高校生が授業で取り組む持続可能な衣料作り
 
           
    
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このメールマガジンのタイトル ESDとはエジュケーション フォ サス
テナブル ディベロップメントの頭文字です。日本語では持続可能な開
発のための教育と訳されます。日本が国連に提唱した考え方で、エコに
とどまらず持続可能な社会を構築するための教育活動全般を指します。
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           【1】冬のトンボ王国
         
            
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去る1月22日に高知県、四万十市にある「トンボ王国」正式名称四万十
トンボ自然公園を訪問し、同公園を管理する 公益社団法人トンボと自然
を考える会の酒井会長と杉村常務にお会いし、冬のトンボ王国を見せてい
ただくと共に今後の活動についてのお話を伺いました。

昨年の11月、このメルマガで皆様にもトンボ王国の窮状をお知らせし、支
援を御願いしました。弊社でも社員全員に声をかけ、緊急募金や会員参加
DVD購入を呼びかけました。最終的には会員申込み3件、DVD購入2件それ
に加えて社員一人当たり200円強の募金が集まりお届けすることが出来
ました。さらに会社としても別途支援をしました。

トンボの棲む自然の大切さを広く次世代に知ってもらうために始まった
「WE LOVE トンボ」絵画コンクールですので、トンボ王国自体が持続可
能でないとコンクールの意味が半減してしまいます。

同会としても困ったから都度支援を御願いするだけでは行けないとトンボ
王国の魅力をアピールする改善策を練っておられました。

・より多くの人にトンボ王国に足を運んで貰いたい。一度来た人は多くが
 リピーターになっているので、県外からの客誘致を強化したい。
 そのために、グリーンツーリズムを旅行会社と計画中。パンフレットも
 刷新する。

・トンボ王国会員になることでのメリットを告知強化すると共に増やしたい
・ホームページの更新も企画中とのことでした。

当日はNHKのラジオ番組でホソミイトトンボやホソミオツネントンボが見ら
れるかの問合せがあり、杉村さんが取材を受けました。暖かい日だったので
すが残念ながら個体は見ることが出来ませんでした。

冬のトンボ王国のメインの仕事は沈殿したスイレンを掬い上げることです。
毎年冬季に3ヵ月半かけて実施、そうしないと暖かくなるとヤゴが酸欠で死
んでしまうとのこと。春から秋に掛けて多くのトンボの飛翔する姿が見られ
るのは冬の冷たい水に使ってのこのような作業があるからでした。
春〜秋にかけて行われる年5回の草刈と合わせて重要な仕事です。
この仕事を5人のローテーションで行っています。

自然というと何もせずにほうって置く事と勘違いする人がいるが、トンボの
棲む自然は絶えず人の手が必要であることを知って欲しい。自然とは人と生
物の相互作用だと杉村さんはおっしゃいます。

池の中や周りを整備するボランティアも歓迎だそうです。トンボ社員として
も会社としても今後話し合いを重ね、有効な支援をしていきたいと思います。
高速道路も延長され、岡山から4時間ほどで行ける様になりました。
周りは豊かな自然たっぷりです。是非トンボ王国へお越し下さい。
冬のトンボ王国の様子はこちらをご覧下さい。
http://www2.tombow.gr.jp/merumaga/save_up/5-file_q9d6eT.pdf



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        【2】アキアカネが戻ってきた
            〜 たつの市立小宅小学校 〜
 
                   
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これまでに数回ご紹介した兵庫県 たつの市にある小宅小学校のビオトー
プ。学校にビオトープを作り、童謡「赤とんぼ」に歌われているアキアカ
ネを呼び戻そうと活動を始めて4年目にとうとうアキアカネが戻って来る
という嬉しい知らせが届きましたのでご紹介します。

小宅小学校の傍には、山根川という川幅4mほどの小川が流れています。
2008年からたつの赤トンボを増やそう会が中心となって始まった活動
ですが、2009年に小宅小では、当時の5年生と一緒に山根川横の土地
に小さなトンボ池を作りました。池の横の土地は総合学習で稲作をしたり、
芋を作ったり、綿花栽培をしたりとその年によって違う学習が行われてい
ました。

継続していたのは、傍を流れる山根川の清掃活動です。はじめは学校横だ
けだったものが次第に上流にも広がり生き物が住みやすい環境が整備され
ていきました。そしてついに、4年経ってアキアカネが戻ってきました。

1年前は同市内でもアキアカネが見られたとの報告があったのですが、小
宅小学校のビオトープまでは飛来していませんでした。

2012年トンボ池の横では稲が栽培され田んぼになっていました。
そこにアキアカネが帰ってきた、トンボ池にもアキアカネがやって来たと
担当の先生より年明けに写真が送られてきました。

5年前にアキアカネを学校に呼びたいというお話をいただき、少しずつ進
めてきたことが実を結びました。トンボ池のビオトープ維持・管理は決し
て十分とは言い切れません。トンボ池があるからアキアカネがやって来た
とは思いません。それよりも稲作を続けていることや山根川の整備であっ
たり、市内でのたつの赤トンボを増やそう会の活動が実を結んだのではな
いかと思います。

なぜ戻ってきたかもこれからヒヤリングを通して確認していきます。
昨年秋にトンボ池横の田んぼで見られたアキアカネとトンボ池の写真をご
覧下さい。
http://www2.tombow.gr.jp/merumaga/save_up/5-file_kngEKM.pdf




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     【3】高校生が授業で取り組む持続可能な衣料作り

                    
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岡山と倉敷どちらが有名?実は倉敷の方が有名です。美観地区や大原美術
館には毎年多くの観光客が訪れます。この観光地からさほど遠くない所に
今回ご紹介する倉敷工業高校があります。

同校のファッション技術科では老人ホームとタイアップしたユニークな授
業が行われています。8年前から続くこの授業。初めて知ったのは昨秋に
岡山で開催された全国の実業系高校の研究発表の場サンフェア岡山です。

素晴らしいひざ掛けの展示と共に、毛糸を電動紡糸機で紡ぐ体験と、織
機で布を織る体験が出来るものでした。草木染で染色も行うとのことで、
繊維の基礎を学び作品を作るということがとても素晴らしいと感じて今回
授業を取材させていただきました。

高校生達は2年かけて作品を作ります。1年目は、羊の毛刈から始まりま
す。指導される藤岡先生から普通に出る言葉に思わずびっくり。工業高校
で羊も育てているとは・・・実は近くの老人福祉施設2箇所で合計7頭の
羊を飼っており、毎年5月に毛刈りに行くそうです。その臭いはとても強
烈だとか。羊によるアニマルセラピーで人の心が癒されるそうです。
この羊毛の量が丁度40人分の作品を作る量に匹敵するとか

刈り取った羊毛は洗浄し、近くのカーディング業者にて毛を引き揃えても
らい、その後草木染めで自分達の思う色を染めていきます。食堂で使うタ
マネギの皮も貴重な原料、校庭のリンゴの剪定枝や近所に生えている刈安
(黄色)栗のイガ(茶色)の他、オリーブ園の葉や枝(薄緑)なども集め
ます。コチニール(エンジ)やログウッド(紫)など一部購入する染料も
あります。藍色だけは藍から作るのではなく化学染料です。
同じ染料でも媒染材により色が違います。配合の割合なども学び自分達で
色を作っていきます。

最終の作品は「ひざかけ」です。実は、このひざ掛け完成後は自分用以外
に老人ホームに寄贈され、入居者の方々に使っていただくことになってい
ます。原料をいただいたところに作品が戻ります。

染色のためには設計が必要となります。デザインを考え、必要な量の羊毛
を染め、糸を紡ぎます。糸が出来ると木枠を使った整形機に糸を張り、そ
の後手織り機 高機(タカハタ)に縦糸を張ります。ここが一番根気の要
る作業です。180本ほどの縦糸を一つ一つ通していきます。
なんとこの織機は同校で作ったものでした。16台あります。

そして横糸をシャトルに巻き取り一機ずつ織っていきます。
いきなり、大型織機で180本の糸通しは難しいとのことで最初は綿の糸
を使ったコースター作りをします。

この綿もまた、自分達で糸車を使い糸紡ぎをします。教室の横のプランタ
ーに綿花が2株未収穫のまま残っていました。
さすがに量が足らないので綿花は購入するとのことでしたが、栽培した綿
花は綿繰り(種取りまで)経験します。手動での体験ではなく、電動の機
械を開発したとのことさすが工業高校です。

このように、栽培や毛刈からスタートして自然の資源を最大限利用し染色
糸紡ぎ、機織をして衣料品を作るというかつて日本の家庭ではどこでもや
っていたことを経験できる授業はとても貴重な体験です。
持続可能な社会を考えるときにこの体験をした高校生達には物事の本質を
知る力がつくような気がしました。

『残念ながら、ここでの経験は次のステップでは殆ど生かされない、延長
線上に職業はなく、アパレル関係の他にはネイルアーティスト、ブライダル
関係の学校に進む方が多い』と先生の談でした。

学校と社会、手工業と機械工業のコントラストを感じた取材でした。
同校の卒業生は弊社でも貴重な戦力として活躍してくれています。

授業の取材の模様はこちらからご覧下さい。
http://www2.tombow.gr.jp/merumaga/save_up/5-file_AzVfgG.pdf


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