[発行日:2013.06.27] vol.105 トンボ王国 「トンボ学生服池の様子」、生きていた蛍、稲毛第二小ビオトープで蛍の観察会ほか

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┃     QQ    【 トンボ エコ&ESD メールマガジン 】 
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┃  ⊂≡⊃‡⊂≡⊃       vol.105         
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┃     ┃       株式会社トンボ 環境事業企画室   
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★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行日:2013.6.27━★



こんにちは、トンボ環境事業企画室の小桐です。
まもなく、7月を迎えます。今年の梅雨は地域的に差があり、西日本
は前半が空梅雨で直近は大雨と厳しい状況です。ご自愛夏下さい。

さて、突然ではありますが、今号を持ちまして「トンボ エコ&ESD 
メールマガジン」の配信を終了させていただくこととなりました。

2003年6月に第1号を配信させていただいて以来、月に1度のペ
ースでビオトープや学校での環境学習や持続可能な活動に関する取り
組みそして、株式会社トンボの環境活動などお伝えして参りました。
これまで、ご愛読いただき有難うございました。
どこまで皆様のお役に立てたかは分かりませんが、読者の皆様からは
アドバイスや励ましそして至らない点もご指摘を頂き、100号を超
える配信が出来ました。重ねて御礼申し上げます。

いつの間にか11年の月日が経ちました。その間私たちを取り巻く自
然環境は良い方向に向かったのでしょうか。却って悪い方に向いてし
まったのではないかと感じてしまいます。

生きものの棲む場所をビオトープと呼ぶならば、地球は大きなビオト
ープです。どうも便利な暮らしと引き換えに私たちはビオトープの面
積を縮める暮らしに懸命になっているように思います。

エコロジカルフットプリントという考え方がありますが、既に地球上
の生きものを養うのに1年間に1.4個の地球がいる状態です。

先代から受け継ぎ次世代以降に引き継ぐ財産を継承財というそうです。
環境はまさに継承財であり、今の私たちは亡くして初めてその価値に
気づくのではないでしょうか。この財はお金では買えません、私たち
の暮らしぶりが反映されます。自分達だけでなく、未来の世代がずっ
と自然の恵みを受けられるように、このメールマガジンで微力ながら
その一助となる情報を提供させていただこうと進めて参りました。
道半ばではありますが、今後は皆様の行動・活動にバトンを託させて
いただこうと思います。どうぞよろしくお願いします。


皆様のご健勝とご活躍を祈念して最終号とさせていただきます。
なお、バックナンバーはこちらよりご覧いただくことが出来ます。
http://www2.tombow.gr.jp/bbs/eco_backnumber.php

最後は3件の話題提供です。



 もくじ【1】VOL2「聞き書き」手法で岡山の中学校で総合学習 

     
    【2】トンボ王国 「トンボ学生服池の様子」
           

【3】生きていた蛍、稲毛第二小ビオトープで蛍の観察会

   
      
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このメールマガジンのタイトル ESDとはエジュケーション フォ サス
テナブル ディベロップメントの頭文字です。日本語では持続可能な開
発のための教育と訳されます。日本が国連に提唱した考え方で、エコに
とどまらず持続可能な社会を構築するための教育活動全般を指します。

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    【1】VOL2「聞き書き」手法で岡山の中学校で総合学習 
                      
            
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前回ご紹介した日生中学校2年生の聞き書きの授業、今回は、地元の漁業に
携わる5名の方を話し手として6月17日に本番の聞き書きが行われました。

話し手の最年長は79歳、若い方は48歳と長年,日生の漁業を支えてこられ
た方々です。日生の海や漁業、生活の変化などについて10人程のグルー
プ編成で聞き書きをしました。
今回もNHK岡山と地元のケーブルテレビ局が取材をされています。

質問テーマ
A.早川 雅清さん 55歳 「日生の海」について 日生漁協理事、小型   
              底引き網漁

B.藤生 泰三さん 66歳 「アマモの生態について」壷網漁、牡蠣養殖

C.磯本 実 さん 79歳 「日生漁業の歴史について」流瀬網漁、牡蠣
              養殖

D.川淵 義徳さん 48歳 「日生の生活や文化」について」流瀬網漁、
              牡蠣養殖 日生漁協筆頭理事

E.天倉 辰己さん 51歳 「日生漁協の活動・歴史について」日生漁協専
              務理事 

最初に前回同様、共存の森ネットワーク事務局長吉野さんがガイダンスを行
い、話しての簡単なプロフィール紹介、広がる質問の仕方説明と共に代表質
問者の選出を行いました。
話を理解し易いようにと日生の海の変化の歴史と、話し手の年齢を対比でき
るメモを作成してゲストを迎えました。つまったら5W1Hで質問をします。

また、円滑な運営のために、今回も聞き書き甲子園OBの大学生と事務局スタ
ッフの5名がファシリテイター役で各グループをサポートしました。

中学生達は、事前に準備をしたメモを元に一生懸命質問をしました。中には、
質問の主旨が良く分からんなーと言われた質問もありましたが、ファシリテ
イターのサポートで内容の濃い話が聞けました。

5名の話し手が語られたいくつかのお話を紹介します。
・海を育てるためには、山を育てる必要がある。海の透明度が上がるだけで
 はだめ。
・アマモの生えている藻場は酸素の供給源、浅瀬では夏は酸素がなくなる、
 だからこそ酸素を供給できるアマモは重要
・昔はシャコがたくさん獲れた、いくらでも取れていて、食べ物というよ
 り畑の肥料として使っていた。魚のアラも肥料として使い美味しい野菜が
 採れていた。
・アマモ場の減少と共に魚の水揚げ量も減っていった。
・PCB汚染が全国的な話題になった時は、全然魚が売れずに困った、県庁に
 何とかしてくれと座り込んだこともある。
・自然はコントロールできない、台風は良い面と困る面の両方がある。浜に
 漁船が打ち上げられる被害もあれば、普段は獲れない魚がたくさん獲れる
 事もある。
・昔は体を使って仕事をしていたが、今は機械を使うので体は楽、しかし、
 その分お金が必要。これからは高齢者でも続けられる漁業が必要。
・昔のように丼勘定で漁業はできない、今は経費管理をしっかりしないとい
 けない。
・漁業は家族の助けがないと出来ない仕事。自分だけではできない。
・日生の漁業はみんなで協力する漁業、他の地区とは違う、牡蠣いかだの移
 動もみんなで協力し合う。
・牡蠣の中毒の原因はノロウイルス。それだけに、検査をして安全管理に気
 を使う。
・今の子どもは海に近づかない、もっと海のことに興味を持って欲しい。
・しっかり日生の魚を食べて、美味しいことを宣伝して欲しいとの言葉が最後
にありました。

先生のまとめの言葉では、現在、日生の漁業は危機に瀕している。日生の海
を守り、命をつないできてくれた先人達に感謝をしよう。未来を担う世代と
して日生の漁業を受け継ぐ義務がある。自分達に何が出来るか今日の話をま
とめる中で考えて欲しい。共に生きることが大事。

次回9月のアマモの種付けの授業でグループ発表をするとの事、さらに追加の
質問もしながら文章にまとめていきます。同時に自分達が何を出来るかを考
えます。そして、11月に東北で行われるアマモサミットで代表の生徒が外部
に発表をすることになっています。 

地元の大人の話を聞き、自分達の郷土に愛着を持ち、自分達の未来を考える。
日本財団の助成で行われているこの授業が生徒一人一人の成長につながる素
晴らしいものになると感じた聞き書きの授業でした。

聞き書きの授業の模様はこちらをご覧下さい。
http://www2.tombow.gr.jp/merumaga/save_up/5-file_8Q2Igx.pdf




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       【2】トンボ王国 「トンボ学生服池の様子」
           
                   
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3月24日にオープンした高知県、四万十市トンボ王国の「トンボ学生服池」
ですが、休耕地から池に変わった途端にたくさんのトンボが新しい産卵場
所として訪れています。
ビオトープの評価は人間でなく、「生きものがする」をトンボと自然を考
える会 杉村常務理事からいただく写真で痛感しています。

5月から今月までの動きについて杉村さん情報をご紹介します。
5月2日には、来て欲しいと考えていた「オオイトトンボ」が飛来しました。
そして、産卵シーンが撮れました。同時に、新たにジョウジョウトンボと
ハラビロトンボの飛来を確認、ハラビロトンボとアジアイトトンボの産卵
も確認できました。

5月20日にはギンヤンマ、オオヤマトンボ、ショウジョウトンボ、コフキ
トンボなども飛来しており、それぞれ撮影に努力しているところです。

6月半ばに入り、浅すぎる位の水深ながら、ウチワヤンマやオオヤマトンボ
などの大形種もやってくるようになりました。
6月13日に、1本の止まり木を巡って5種のトンボが覇権争いする場面を撮影
しました、同池の賑わいを連想願えると幸いです。

これまでのトンボの写真は以下をクリックしてご覧下さい。
http://www2.tombow.gr.jp/merumaga/save_up/5-file_XqnivN.pdf

トンボ王国の一番新しいそして変わった形の「トンボ学生服池」この夏
にさらにどんなトンボが飛来してくれるか楽しみです。




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【3】生きてい蛍、稲毛第二小ビオトープで蛍の観察会
           
                   
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これまで、何度かご紹介してきた千葉市立稲毛第二小学校のビオトープ
をベースにした「いのちの森活動」今回は蛍の鑑賞会についてご紹介し
ます。

このいのちの森のビオトープは、元、海の埋立地に出来たビオトープ、
すぐ横をバスが通る環境です。停電すると干上がってしまう池や小川。 
しかし、そこで途切れることなく営まれる自然の営み。 森にいると野
鳥が水浴びに来たり、ニホンアカガエルがぴょんと散策路上に飛び出し
たりします。
いのちの森にヘイケボタルが自生して11年目、昨年までは順調に育って
いたのですが、昨夏とんでもない危機が蛍たちに訪れました。

8月の中頃、井戸ポンプが空回りをし、池が底の土にひびが入るほど干上
がってしました。給水しても、給水しても、水がたまらないほど土が乾
いてしまい、本来の水位になるのに7日間もかかりました。 
10年間で初めての出来事で、正直、ホタルは絶滅してしまったと覚悟し
たそうです。

ところが、今年の5月15日に1匹のホタルを発見し、驚きと喜びで、その
場を動けませんでした、本当に奇跡ですと活動の代表横田さんは語りま
す。それから、鑑賞会をできるまでの数が出てくるか、半信半疑で毎夜
ホタルを調査され、6月9日に12匹となり、急遽6月15日に蛍の鑑賞会を開
催されました。

短期間の告知にも関わらず鑑賞会参加者の数は、340人。当日はかなり
強い雨、それでも、20人のスタッフの思いが通じたのか鑑賞会の頃には
雨も上がり、生き延びてくれたホタル20匹の静かにやさしく光に訪れた
参加者は心を癒されたようです。

蛍の光は即ちいのちのバトンリレーでもあります。
昔は、身近にあった豊かな自然環境。ホタルやメダカが絶滅することな
ど、考えることさえなかった私たち。今は、自然体験をしたいと思えば、
電車や車で遠くまで行かなければなりません。

今年も蛍の鑑賞会が無事終了したことに横田さんはとても感動そして周
りの全てに感謝の思いを感じられ、ブログに思いを綴られました。

「いのちの森」は、全校児童、全教職員、保護者、地域住民、環境ボラン
ティアが協力し、千葉の里山をモデルに、子どもたちが日常的に自然体験
ができる場所として作った学校ビオトープです。

我々人間も自然の一部であり、自然があるから生きられる。そんな当た
り前のことさえ、考える機会もないあわただしい日常。 
自然の中に身を置き、生きものにふれる体験がなければ、自然の大切さ
やいのちの大切さに気づくことはできないでしょう。 

日常的な自然体験がなによりも必要だと思います。
私たちは、この小さな作られた自然から、多くのことを学ぶことができ
るはずです。そこで毎月行われる「いのちの森の日(自然体験活動)」は、
自然の仕組みやいのちの大切さについて考えるために実施しています。 

これからもずっといのちの森の活動が続いていくことを祈念します。
残念ですが、写真は準備中に1枚だけしか撮れなかったそうです。
こちらをご覧下さい。
http://www2.tombow.gr.jp/merumaga/save_up/5-file_C7rTvF.jpg

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┃ 【スクールビオトープ メールマガジン】

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