[発行日:2012.08.31] vol.95 C.W.ニコル氏コラム、トンボスケッチ会開催、第11回聞き書き甲子園研修開催

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┃     QQ    【 トンボ エコ&ESD メールマガジン 】 
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┃     ┃       株式会社トンボ 環境事業企画室   
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★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行日:2012.8.31━★




こんにちは、トンボ環境事業企画室の小桐です。
8月の最終日となりました。今月はやはりオリンピックの月でした。

ロンドンオリンピックで活躍した日本の選手は本当に立派でした。
結果メダルに届かなかった選手の努力もきっと素晴らしいものだった
と思います。皆が周りの人たちの応援やサポート、指導に感謝をして
いたのが印象的でした。

人は一人では生きていけないし、ましてや自然の恵みなしには存在する
ことも出来ません。

明日からはバックトゥキャンパス 児童生徒が学校に戻ってきます。
この夏にどれくらいの子どもたちが自然とのふれあいをしたのでしょう
どんな体験や感動に出会ったのか一人一人に聞いてみたい気がします。

今回は夏休みに行われた弊社が支援するイベントのご紹介です。




 もくじ【1】C.W.ニコル氏コラム 森は人間の心の故郷だ
     
    【2】トンボスケッチ会開催
    
    【3】第11回聞き書き甲子園研修開催



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このメールマガジンのタイトル ESDとはエジュケーション フォ サス
テナブル ディベロップメントの頭文字です。日本語では持続可能な開
発のための教育と訳されます。日本が国連に提唱した考え方で、エコに
とどまらず持続可能な社会を構築するための教育活動全般を指します。
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     【1】C.W.ニコル氏コラム 森は人間の心の故郷だ
         
            
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森は人間の心の故郷だ。森林と里山が無ければ、人間の文明や文化は存在
しないだろう。
自生する木がない遠く離れた北極圏で暮らすイヌイットでさえ、流木を利
用しており、それらが無ければカヤック、そりや銛を作ることはできなか
っただろう。 

砂漠に住むアラブ人も、彼らのオアシスの周りに小さな林を持っていて、
暮らしのために貴重な木材を利用する。

健全な森林には、落葉の腐植により様々な栄養素と微生物のいる豊かな土
壌がある。土は水を蓄え、徐々に放出するスポンジだ。木々の葉は日陰を
与えるだけでなく、暑い日には水分を蒸発させ涼を作る。
そしてもちろん、私たちに酸素を与えてくれる。

人類の歴史を通して木々は、燃料として薪や炭を、そして、様々な食品、
果物や果実、木の実、若芽などを提供してくれている。

森林はキノコと薬を恵み、森の動物や鳥たちは、私たちに肉、皮革、毛皮、
縫製の道具、武器の元となる骨や鹿の角を与えてくれた。
木がなければ、私たちは家や城も建てられなかっただろう。屋根や扉や家
具が無いからだ。また森は私たちに音楽も(楽器を作るための非常に多く
のものは木で作られている)与えてくれた。
祈るときに合わせる両手のようしっかりと土や岩を掴む樹木の根が無け
れば、険しい山の辺は致命的な鉄砲水や地滑りをもたらすだろう。

ああ、森林は驚くほど多様な命と可能性を与える!
およそ人間の特性の半分は森の中で進化した。私たちがストレスに悩み、
心が疲れ果てている時に森へ行き、子ども頃の心や好奇心、全身で命の
不思議さを感じようとするならば、森は我々に穏やかな癒しを与えてく
れるだろう。

日本は土地の面積の67%が木々に覆われた幸運な島国だ。しかし、残念
ながら森や林のほとんどはこの40から50年以上放置され、不健康な状態
となっている。

年間3万人以上の尊い命がなくなる高い自殺率と失業率の上昇、そして絶
望から本当にこの国を癒したいと願うならば、私たちは方向を転換し、
愛、知識、汗を森と里山に注ぐ必要がある。そうすれば生物多様性と持続
可能な生産性のある生き生きとした社会が戻ってくる。

それを実践するのが私のライフワークだ。




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         【2】トンボスケッチ会開催
              
                    
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去る8月2日晴天の日に、河童の住む町 茨城県牛久市 神谷小学校の
ビオトープでトンボのスケッチ会が開催されました。

主催はNPO法人アサザ基金、テント貸し出しやビオトープの場所開放
は神谷小学校と先生方にお世話になりました。飲み物などのサポートを
茨城トンボ株式会社が行い、市内2つの小学校から18人の児童が集ま
ってくれました。

トンボのスケッチや捕まえる指導は同基金代表理事の飯島氏。未明に行
われたなでしこジャパンの観戦でやや眠いとの事でしたが、そこは、子
どもと生き物が大好きな飯島先生。子どもたちと一緒にトンボの捕獲か
らスタートしました。

立っているだけで汗ばむ暑い日差しの中、小学生達は思い思いに網を振
りますが、トンボはなかなか捕まってくれません。
この日に姿を見せてくれたのはシオカラトンボ、ムギワラトンボのほか、
赤のきれいなショウジョウトンボ、ナツアカネと思われるアカトンボの
ほか、ギンヤンマ、それに低空飛行をするアジアイトトンボ。
残念ながら、オオシオカラトンボは捕まらず、今年はオニヤンマの姿を
見ることが出来ませんでした。

活発に産卵活動をしていたのはシオカラトンボ。オス同士の縄張り争い
やおつながりでの交尾風景など普段神谷小の児童達とアサザ基金が一緒
に整備する田んぼビオトープでいのちのリレーの営みをしていました。

早い子は網を振り始めて3分ほどでトンボを捕獲、そうするとあちこち
ら捕まえたとの声がしてきます。中にはカゴにトンボを入れるのに苦労
した女の子もいましたがなんとかカゴに入れ、30分ほどするとほぼ全
員のカゴにトンボが入りました。次は観察とスケッチです。

力が湧くよと差し入れしたきびだんごを頬張りながら真剣にトンボの顔
や足のつき方、羽の様子を描きました。飯島さんからは大きく描くとい
いよ。先生からはトンボが画用紙からはみ出してもいいんだよ。などア
ドバイスを貰いながら思い思いに描きました。

飯島さんは普段の授業でも上手な絵を描かれますが、出来るだけ自分が
感じたことを描いて欲しいとテクニックは敢えて教えていません。
トンボを捕まえ、観察し、自分ながらの構想で描くことが大事です。
その日に全部は描けませんでしたので、帰ってからの完成になりますが
どんな絵になるかとても楽しみです。

あの夏トンボを捕まえた、神谷小の田んぼビオトープにはトンボのほか、
バッタや色々な生き物が居て、スケッチをして楽しかった。植物や生き
物がたくさんいるとなんだかとても楽しいし、ほっとする。こんな思い
出が子ども達の心に残れば良いなと感じた今年のスケッチ会でした。

参加、ご協力をいただきました皆様にはここより御礼申し上げます。
トンボスケッチ会の様子です。
http://www2.tombow.gr.jp/merumaga/save_up/5-file_SfuwH9.pdf




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        【3】第11回聞き書き甲子園研修開催

              
                    
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暑い夏に球児たちが熱闘を繰り広げた甲子園ですが、もうひとつの甲子園
が8月11日に始まりました。今年で第11回を迎える聞き書き甲子園。
会場の新宿、東京都民ホールには全国から100名の高校生達が集まりま
した。

昨年は、東日本大震災の影響で希望を縮小して行われましたが、今年は例
年と同数の規模に戻り、森の名人80名、川・海の名人20名に高校生達
が9月から聞き書きをはじめます。

この研修は3泊4日で行われます。初日は、聞き書きとは一体どのような
もので、どのようにするのか、そして、名人から自分は何を引き出せば良
いのか。名人と出会い、レポートをまとめることで、自分の中の何が変化
し成長するのかなど自分と聞き書きの対峙の仕方をOBの話や、インタビ
ューからレポート作成までのドキュメント映像を観て学びます。

2日目からは、作家の塩野理事長やOBの指導の下、支援企業の方々の協
力を得て名人役として仕事・人生についてのお話を聞き書きします。その
他カメラの使い方の指導も受け基本的な技術を習得します。
また、実際の森での仕事について森の中で学ぶ時間も用意され、現場での
話の聴き方のシミュレーションも出来るようになっています。

また、初日は協賛企業の支援が10年目を迎えるにあたり(初年度は林野
庁、文部科学省の事業として実施)長年の事業支援に対し、林野庁より感
謝状が贈呈されました。弊社も第4回目から学校への手渡しによる告知の
支援をさせていただいていますが、これまで10年の聞き書き卒業生が今
年で1000人を超すということで、今更ながら、一人一人の聞き書きの
積み重ねがあったことを実感し、これからも出会いのチャンスをサポート
する責任を痛感しました。

今年は、122人の応募があり、選抜により22名が残念ながら、聞き書
きに参加することが出来ませんでした。聞き書きに参加できるかできない
かで実は高校生にとって大きな差があると感じています。

初日の基調講演で第1期生のOBはこのように語りました。彼女は東京出
身。奈良県の吉野の杉の種取り職人の方に聞き書きしました。
自分の仕事の結果(成長した木)を見ることは出来ないが100年、20
0年先の森のことを考えて仕事をする人がいることを知り、大変な衝撃を
受けました。
「森は家や人間だけでなくほかの生き物にとっても大切な家や」という名
人の言葉が自分の人生を変えたと語りました。  
名人との出会いで、学ばせてもらったことで今の自分がある、チャンスと
共にターニングポイントであった。

そして、彼女は昨年の東日本大震災の被災地にボランティアで出かけ、失
われ、戻ることの無い被災地での生活とかつて、そこに暮らしていた人々
の人生を聞き書きしました。
避難所生活で話を聞く中、入浴のためにバスで温泉に行かれた方が彼女の
ためにこけしのお土産を買ってくれました。しかも通帳もなく、手持ちの
現金が底をつく中でのお土産でした。

聞き書きは、話し手に寄り添い、その人生を受け止めることで、記憶が記
録に変わると共に時は話し手自身を勇気付けることにもなると彼女は気づ
いたのでした。
聞き書きは話しての言葉で文章をつづります。話し言葉を一字一句漏らさ
ないように文字に変換し、その中から重要な言葉をつなげ文章とします。
今年の高校生もまた、素敵な名人と出会い、自分の人生のターニングポイ
ントとして欲しいと感じた開会式でした。
開会式の模様です。
http://www2.tombow.gr.jp/merumaga/save_up/5-file_u1SSXk.pdf


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